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暗い、暗い闇が広がる。
眼が開いていることすら分からない程に深い闇。
眼を凝らしても何も見えないその中に。耳を澄ますと、僅かに"何か"の音が響いている。
獣の様な唸り声。地を這うような音。何かが砕けるような音。割れるような音。
全て、全てが闇に溶けていく。
何も 見えない。
耳障りなアラート音が聞こえると共に、暗闇に一瞬ノイズが走る。
何も無かった世界に。滲むように、じんわりと光が満ちていく。
最初に眼に映ったものは、所狭しと点滅する薄赤いエラー表示。ちかちかと自己主張するそれらは端から端までびっしりと視界を埋め尽くしていた。
──ふと、気付く。
そのエラーの大群の奥。
上手く像を結ばないが、人らしきシルエットが見える。どうやってもその影に焦点が合わない。
「…お?■■■■て目が覚め■■■■」
「んー、恐■■■■は出来とる■■■■が…なんか変化■■■■か?」
「目が■■■■がする」
──先程から鳴り続けるアラート音で、上手く周りの音が聞き取れない。
視界の右側半分以上が黒く塗り潰されており、自身がどこにいるのか見当が付かなかった。
──頭の中に霞がかかっている様な感覚。思考が纏まらない。
ふわふわと浮いているようだ。
「とり■■■■動は出来たから、一回落とす■■■■もげとるからな。これ■■■■ちにしろ動かんし、■■■■けるにしろ電■■■■にゃならんだろ」
「そうだな■■■■目覚めたば■■■■し訳ないが■■■■度、ゆっくり休■■■■」
視界の左側に写る人影が、こちらに向けてゆっくりと何かを動かす。
頭上の辺りでしばらく何か動いたかと思うと、世界はふつりと再び闇に落ちた。




