表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者じゃなくて◯だった。  作者: トゥルーY
3/6

勇者じゃなくてドラゴンだった。

 俺の名は安達亮(あだちりょう)、警備会社で働く26歳だ。

 俺は、今日も仕事が忙しい。

 残業なんて当たり前、20連勤なんて当たり前、休日出勤なんて当たり前、急な呼び出しなんて当たり前、家で仕事なんて当たり前。


 そう、気づいたか?



 俺は、、、




 社畜だ!!!!!!!!!


 毎日毎日、仕事漬けだ。

 朝7時に家を出て、夜21時に家に着く。

 だから彼女なんて出来やしない。

 だけども彼女を作りたくない訳ではなく、それなりに女の子との出会いも求めてもいる。

 街コンにだって行った。

 初めてで緊張しまくってただのオブジェ、つまり6000円払って一言も女の子と話をせずに帰ったという事だ。


 合コンにだって行った。

 タイプの子がいて積極的に話しかけたけども脈なしだろう。

 だから他の女の子にも話しかけたり、連絡先交換して後日連絡するも、チャラいとい言われてしまった。

 これが、26年間生きてきて初めて言われたチャラいだった。


 そんな事があって少し落ち込んでいた。

 そう、俺はネガティブな面もあるのだ。

 どれくらいネガティブかというと社畜で合コンの二次会からの参戦する事になり、隣に座った女の子と大して話もしていないのに嫌われてると勝手に思い込んでしまった。

 そして、再びオブジェになっていた。

 でも、そんな俺だけども女の子とご飯に行くことだってあった。


 少し頑張ってイタリアンのコース料理を食べに行った。

 しかし、職場から電話がかかってきた。

 俺は、前菜のサラダだけ食べて職場に向かった。店側も驚いていた。

 サラダだけ食べて帰る客なんていないだろうから。

 女の子より仕事を取ってしまった。

 社畜の宿命だ、もちろんその女の子と連絡が取れなくなった事は言うまでもない。



 このまま社畜ではダメだと思い、転職もした。3回もだ。

 しかし、どの職場に行っても結局社畜になった。そう、俺は根っからの社畜の様だ。

 仕事に好かれて、仕事に生きていく。

 たまに、社畜でなかったらどんな生活をしていたんだろうと考えることもあったのだが、社会に出てからもう9年、そんなのは夢物語である。


 はー、明日も仕事だ。

 今日はもう寝ないとな、寝て起きたらまた社畜の始まりか。


 亮は、そう思いながら眠りについた。



 んんっはぁ〜


 亮は大きな手を伸ばした、翼を広げながら。


 朝か、仕事に行かないとなぁ〜

 亮は仕事に行こうとして、眠い目を擦って目を開けた。


 どこだ?ここは!

 亮は辺りを見渡した。

 少し薄暗く霧がかかった洞窟の様だ。

 なぜ?こんなところに俺はいるのだ?昨日の夜は家で寝ていたはずだ。

 早くしないと仕事に間に合わない!この洞窟から出ないと。

 あれ、なんか先に進めないぞ、どうなっているんだ。

 亮はとりあえず自分の状況を把握する事にした。するとなんか体がいつもより重い事に気がついて、自分の体を見てみた。



 なんだこれは!!!

 全身緑色で硬い皮膚、鋭い爪と牙、大きな目に口、そして、たくましい翼!

 ドラゴンになってる!!


 そう亮は竜になったのだ。


 なぜ竜に?りょうだからりゅう?な訳ないか?

 でもこれって異世界に来たって事だよな?となるとドラゴンだったら敵になるのか?いや、ドラゴンだから敵という訳ではないだろうな。

 きっとその物語によるだろう。


 でもここは、ドラゴンが勇者の味方をするという新しい物語にするのもいいかもしれないな。

 人として社畜だったけど、異世界でもドラゴンとして忙しくなるかもしれないな、困ったな〜

 異世界でも社畜か〜


 亮は少しずつ自分の状況を理解しつつあった。

 そして、もう一度外に出てみようと試みたのだが、、出れない!なんでだ。

 それになんだ、この俺の周りにある薄水色の壁みたいなのは、これが原因か?

 通れそうだけど、通れない。

 もしや?封印されているのか??

 まさか、異世界にいきなりきて、ドラゴンになってしまって、挙げ句の果てに封印された状態だと!!


 亮は嘆いていた。



 するとその時、勇者が目の前に現れた。

 お、勇者だ!!

 勇者は、体が傷だらけの状態で亮の前にやってきた。


 これは、勇者が救ってくれてそのお礼にドラゴンが仲間になるという展開ではないか!!

 亮は勇者に期待していた。


「どうだ?封印された気分は?」

 勇者が最初に放った言葉だった。


 え?俺の聞き間違いか?

「全く、大したドラゴンだぜ、おかげでこんなにボロボロだ」


 まさか!勇者に封印された?そして、俺がやったというのか、その傷は!?

 俺は覚えていないぞ、そんな事、多分俺がドラゴンになる前のドラゴン?の責任?なのか?

 つまりそれは、今は俺で、いやよくわからない!

 とりあえず話をしてみよう。

 話せばわかりあえるはず。


 そう思い、亮は勇者に語りかける。



「グオァァアーーーーーー!!!!」


 人の言葉を話せないタイプのドラゴンだったー!!!


 うわーまずい事になったぞ、まさか話せないとは、、

 亮はどんなに悲しそうに嘆いても、全て威嚇にしか聞こえない。


 遂には勇者はいなくなってしまったのだった。


 こんな暗いところに1人か、、

 しょうがない、とりあえず今は仕事にも行かなくていいようだし、社畜卒業ということで、今日はのんびりしよう。

 もしかしたら、また寝たら人間に戻ってる可能性だってない訳ではないからな。


 そう思い、亮は長年仕事漬けでやりたくても出来なかった事を考えた。

 それを時間のある今、実行しようとした。


 1つ目、時間を気にせずに飲み会に行く。

 いや、これは無理だ。ドラゴンの飲み会?いや、そんなの聞いたことがない。

 まず、ドラゴンの体内にALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)はあるのか?

 これがなければ、アルコールを分解する事が出来ない、つまり、アルコールを飲んではいけない体質という事だ。

 ソフトドリンクで乾杯だ!

 でも酒が飲めないドラゴンってギャプ生まれるんじゃないかな?

 亮くんってドラゴンなのにお酒飲めないんだね、可愛いとか言われてしまうのではないか。

 でもドラゴンに性別ってあるのか?

 まぁでもこれを実現させるのは無理そうだから次だ。



 2つ目、オシャレをしてみる。

 これはどうだ?

 ドラゴンだってオシャレしてもいいはずだ。

 キャップを後ろ向きに被って、色付きのサングラスをかけて、ネックレを首から下げて、ピアスを開ける。

 これは、最高だ!新しい自分が見えてきそうだ。

 だが、冷静になった。

 まず、ドラゴンサイズの帽子やアクセサリーなんてあり得ないか。



 3つめ、読書をしてみる。

 これなら、ここにいるだけで出来そうだぞ。


 あ、、、


 本がない!!!!!!



 ダメだ、全滅だ。


 よーしこうなったら忙しすぎて今までで1番出来なかった事だ。


 ぼーっとしてみる。


 こんな無駄な時間の使い方なんて、社畜の時にできるはずがない。

 こんな時だからこそ、やってみるか。



「・・・」


 10分後



「・・・」


 20分後



「・・・」


 30分後


 飽きた。



 せいぜい30分が限界だった。

 もうしばらくは、ぼーっとしなくてもいいと思った。


 その時、思った。

 社畜の方が良かったと、、忙しかったけど、一生懸命働いている時の方が輝いていたなと。

 こうして亮改め、ドラゴンはこの封印された場所でも出来る事を探し続けるのであった。いつか人間に戻れると信じて。


 勇者じゃなくてドラゴンだった。


https://ncode.syosetu.com/n8149fm/


こちらの作品も

零話〜やり直しが効くこの世界の

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ