現れた敵 1
「初めまして」
玄関のドアを開けたまま、あたしは固まった。
派手な金髪頭、ガラス玉のように青い瞳の青年が立っている。
顔立ちから見ると、イギリス人のようだ。
「――――――どちら様でしょうか?」
あたしの視線に彼はにこーっと笑った。
「イギリスから来たジェームスという者です。くるみちゃん」
あたしの名前を知っている?
――――――怪しすぎる。
あたしは、じとっと彼を見つめた。
肝心の彼はひょうひょうとしていて、あたしの視線も気にしていない様子。
「凱はいるかな?」
「凱のお知り合いですか……?」
「うん」
彼は無邪気な笑顔で頷いた。
「凱と僕は仲間なんだ」
私は嫌な予感を感じた。
凱の――――――仲間――――――??
それってまさか――――――
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申し遅れましたが、私の名前は古屋 胡桃。
17年前、親に捨てられ、幸運にも牧師夫妻に引き取られた。
だけど4年前、牧師夫妻も事故で亡くなり、それ以来牧師夫妻の息子 凱が育ててくれている。
凱は今や牧師に継いでいるが、職業に合わない大きな秘密を持っている。
それは、彼が吸血鬼だということ。
嘘じゃないのよ?
マジで吸血鬼。
人の血を吸って生きる吸血鬼。
えぇと、これでわかったわよね?
凱の仲間――――――
それは、つまり――――――
「ジェームス・クライン。吸血鬼なんだ」
彼は歯を見せて笑った。
異様にとがった前歯が見え隠れしている。
「胡桃ちゃん。しばらく滞在するからよろしくね」
私は大きく息をついた。
今日からしばらく私の家には吸血鬼が二匹(?)、人間一人
なんか私、眠たくなってきた。
起きたらこれは夢でありますように――――――