初チュー
あたしこと、古屋 胡桃。
吸血鬼と暮らしている普通の女の子。
ただいま、17歳。
花の女子高生ってやつだ。
とはいえ、吸血気を飼うのも手間がかかるもので、まるで主婦しているけどね。
ソファーに寝そべって、雑誌を広げて読んでいた。
胡桃はポテチをかじりながら「うーん」と唸った。
「どうしたの?胡桃ちゃん」
「初チューの平均年齢って、15.7歳らしいの」
「は、はつちゅう?!?」
「うん。あたし、遅れてるのかなぁ」
うーん、と唸りながら言うと、なぜか、凱があせって駆け寄ってきた。
「もしかして、キスしたい相手でもいるの!?」
「――――――」
「いるの!?」
あたしは、くるっと目を動かして凱を見た。
「今のところ、居ないかなぁ」
凱はふぅーっと息をついた。
なぜか安堵の表情の凱に、あたしは首をかしげた。
「なんで、凱がホッとするの?」
「えっ?――――――あっ、まぁいいじゃん。それより、胡桃ちゃんはキスしたいの?」
「うーん、したいのかなぁ」
「――――――ふーん、したいんだ」
「いやぁ、どうだろう?」
「どっち!」
凱が異様に食いついてくるから、胡桃は眉をひそめた。
「凱?」
「もし――――――ね、もし、胡桃ちゃんがキスしたいなら、僕が――――――」
「あっ、初チューは一番好きな人って決めているから」
あたしはあっさりと凱の言葉を流して、笑った。
次の瞬間、背後からけたけたと笑い声が聞こえた。
と思ったら、凱の耳にだけ届くような小さな声で彼につぶやいた。
「馬鹿ね」
クリスティーヌが、けたけた、けたけたと笑っていた。




