キャットフード
「にゃ」
可愛く鳴くので、あたしはクリスを抱き上げた。
あたしこと、古屋 胡桃は先日猫を拾った。
耳がピンッと立った愛くるしい猫。
「そろそろ、夕飯の時間かな――――――ねぇ、凱。猫って何を食べるのかな」
「うーん」
「まずはキャットフードかなぁ」
あたしは猫を床に降ろして、買ってきたキャットフードを一握り目の前に置いた。
だけど、クリスはふいっと顔をそらして、見向きもしない。
「うーん――――――あっ、じゃぁ、猫まんまかなぁ」
あたしは夕飯の残りを猫まんまにして、台所から持ってきた。
またクリスの目の前に置いてみる。
だけど、クリスは猫なのに顔をしかめたように見えた。
そして顔をそむけて、結局食べない。
「ねぇ、凱〜〜。この子、何を食べるのかなぁ」
「そうだよね――――――」
珍しく凱が、クリスに寄ってきた。
そして不意に、初めてクリスを抱き上げた。
じっと、クリスを見つめている。
「――――――胡桃ちゃん、お魚をあげてみたら?」
「魚?」
「猫には魚でしょう?」
確かに猫には魚のイメージだけど、魚を食べる猫なんて贅沢ものじゃない?
首をかしげながらも、あたしは、明日の夕食にとっておいたサンマをクリスの目の前に置いた。
「あっ、食べた――――――」
クリスはペロッとサンマを舐めたかと思ったら、ぱくぱくと食いついていった。
ちょっと贅沢ものじゃない?
――――――なんて、思ったけど、うちの贅沢ものは一匹じゃないしね
「胡桃ちゃん、僕もそろそろ、ご飯を――――――」
「あっ、クリスが顔を上げた!」
可愛い、なんてあたしが声をあげると、凱は唇を尖らせる。
「クリスティーヌのやつ――――――」
なんだか、背後から殺意を感じてがばっと振り返ると、凱がギラギラした目でクリスを見下ろした。
「が、凱?」
「ん?」
「吸血鬼って、猫も食べるの?」
――――――凱は、ショックを受けたような顔で固まっていた。




