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タマならぬクリスティーヌ

皆様、こんにちは。


古屋 胡桃です。


ご存じのとおり、あたしは吸血鬼の同居人と一緒に暮らしている。


そんな家にもう一人家族が増えた。


先日、雨の中、あたしが拾った猫。

震える猫を胸に抱き、連れ帰ったあたしは、猫を風呂でごしごしと洗った。


今、リビングのソファを我が物顔で寝ているのは、ふさふさの毛並みの白い猫。


まるで、ペルシャ猫のような白い長い毛。


うすピンクの鼻。


「凱、この子、名前付けないとね」


牧師の仕事を終えて、戻ってきた凱の背中に呼びかけた。


凱は白いガウンの方にかけた赤いストールを取り外しながら、生返事を返した。


「何かいい名前、ないかなぁ」


あたしは乗り気じゃない、凱を無視して猫の名前を考え始めた。


「タマ!」


「た、たま?」


凱は渋い顔をして、猫を見下ろした。


「だって、白い猫と言えばタマじゃない?」


「――――――胡桃ちゃんって、名づけのセンス微妙だね」


あたしは、ぷくーっとほほを膨らませた。


「じゃぁ、シロ」


「――――――犬みたいじゃない?」


「ペルなんてどう?」


「ぺ、ペルってどっから来たの?――――――もしかして、ペルシャ?」


「だめ?」


首をかしげたあたしに、凱はくくっと笑った。


「僕が決めちゃダメ?」


「凱が決めるの?」


「うん」


「だって、この子、飼うの反対だったんじゃないの?」


「別に反対じゃないけど」


言葉を濁した凱に、あたしは唇を尖らせた。


「だって、あたしが猫を連れ帰った日からこの子のこと無視しているし」


「そうだっけ?」


なんか、あっさりと流されてムカつくけど、まぁいいか。


「で、凱の決めた名前って?」


「うーん――――――クリスティーヌなんてどう?」


「く、くりすてぃーぬ」


豪華で、呼びづらい名前に、あたしは目を白黒させた。


反対しようとしたあたしを尻目に、猫がうれしそうに「にゃっ」と鳴いた。


「く、りすてぃーぬがいいの?」


詰まりながら聞くと、猫は再び「にゃっ」と鳴いた。



でもね、あたしはそんな肩こりそうな名前は嫌なのよね。


「じゃぁ、クリスね!」


「えっ」


凱がぎょっとして振り返った。


「いや、胡桃ちゃん。クリスティーヌがいいんじゃないかなぁ――――――」


「もう決めたの!うちのネコは、今日からクリスよ!」


猫は、頷くも頷かないもないまま、あたしをじっと見上げていた。

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