新たな敵 7
「凱、君もおいでよ」
不意にジェームスが言った。
俺は呆気に取られて、言葉もなかった。
俺はイギリスには行かないとはっきり表明している。
今回の俺の態度でわかっただろう?
それなのにも関らず、あえて胡桃の前で言ったジェームスを俺は殺したくなった。
「凱もイギリスにおいでよ。君の仲間がたくさんいる」
――――――そんなものはいらない。
俺は最初からそんなもの必要としていない。
「僕には胡桃ちゃんがいるんですよ」
というかね、胡桃しかいらないんだ。
今はまだ17歳で幼い子どもの胡桃。
だけど俺は彼女の成長を待っている。
俺にとって胡桃は大切な大切の一人の女だ。
「そんな餌、どこにだっているよ」
ジェームスの言葉に俺はキレそうになった。
久しぶりに本気で熱くなる。
この刃を首筋に立て、干からびるまで血を吸いやげてやるか……!
胡桃の優しく微笑みながら問いかけるジェームス。
「連れて行ってもいいよね?」
その言葉を聞くか聞かないか、俺は口よりも手が出そうなった。
――――――同族争い?
吸血鬼同士の争いはご法度だと聞いている。
それがなんだって?
俺は胡桃を守るためなら修羅にもなれる。
だけど俺が手を出すより早く、胡桃が口を開いた。
「だめよ」
短い凛とした言葉に俺は呆然とした。
彼女が止めてくれると思わなかった。
いっつも怒鳴る胡桃ちゃん。
どうして俺を――――――
「だって凱は私の家族よ。家族は一緒にいるものよ。確かに凱は吸血鬼だけど、その前に私たちは家族だもの」
胡桃ちゃん。
俺は君にいつも救われる。
4年前も今日も――――――
君に救われるんだ。
俺は胡桃の肩を抱くと、ジェームスの微笑んだ。
「僕はここにいますよ。あなたとは行きません」
穏やかな俺の言葉にジェームスは苦笑して、小さく頭を下げて出て行った。
――――――ねぇ、胡桃。
早く「俺」のことを見てくれ。
こんなに可愛い君と一緒といると、いつか俺の理性はぶっ壊れてしまう。




