表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

新たな敵 6

次の日の朝、ジェームスが旅立つ。


彼が来て、私と凱の関係は少しだけ何か変わった気がする。


何が変わったのかって?

そんなのわかんない。


だけど、前とは少しだけ――――――少しだけ違いを感じるの。


なんでだろうね。


「じゃぁ、僕は帰るね」


ジェームスが玄関先でにこやかに笑った。



「たいしたおかまいもできませんで――――――」


大人びたことを言ってみたけど、彼はにこにこ笑っているだけ何も言わない。

途端に彼が私に手を伸ばしてきた。


そっと私の頭に触れる。


「可愛い子だね。僕でも食べてみたいと思うよ」


「えっ?」


私が顔を上げると、ジェームスはさらにニコッと笑った。


「凱、君もおいでよ」


不意にジェームスが言った。


「はっ?」


凱も私もあっけに取られる。


「凱もイギリスにおいでよ。君の仲間がたくさんいる」


「僕には胡桃ちゃんがいるんですよ」


やんわり凱が断った。


だけどジェームスは少しも諦めていないみたいだよ?


だって彼の目はずっと凱を見つめている。


「そんな餌、どこにだっているよ」


「え、さ?」


――――――そっか。

私って餌なんだ。


馬鹿みたいだけど、今気がついた。


吸血鬼にとっては私は餌。


食べ物と同じなんだ。


「ジェームス、貴様」


凱の声色が変わった。


怒気をはらんだ声が頭の上に響いた。


「だってね、君の仲間がたくさんいるんだ。胡桃ちゃんも凱は仲間と暮らしたほうがいいと思うだろう?だって、ここでは彼は孤独じゃないか」


不意に私に振られて、私は視線を宙に放り出す。


――――――確かにここには凱の仲間はいない。


もう凱のお母さんはいないから、このあたりで吸血鬼は凱一人だけ。


それって吸血鬼の凱にとっては孤独だったんだね。


「連れて行ってもいいよね?」


駄目押しのように問いかけられて、凱がとっさに口を挟もうとした。


だけど私のほうが先に口を開いた。


「だめよ」


短い言葉にジェームスが目を見開く。


「なぜ?」


その問いは短いけれど、怒気をはらんでいる。


ジェームスの怒りが見え隠れしている。


「だって凱は私の家族よ。家族は一緒にいるものよ。確かに凱は吸血鬼だけど、その前に私たちは家族だもの」


凱もジェームスも言葉を無くした。


黙って私を見ている。


――――――ねぇ?凱。そうでしょう?


だって、私たち17年前から家族だもの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ