金縛りの秘密
白いタオルの蹲る
山盛り洗濯物
途中で切れた髪の毛
ささやかな晴れの風
夕方には湿る
闇より出でし
裸足の後
声を張り上げても
聞こえない
ベッドの上で
周りに黒い人だかり
小脇には黒い猫ばかり
暑い暑いと
額のあぶら汗
振り回そうと
動かぬ身体へ
力を込めるが
全ての命令
受け付けず
黒い手が目の前を
塞いで行く
叫び声上げるが
声帯は震えず
聞こえるのは
いつもの
部屋の中にある生活音
暗闇に隔離された
存在
黒い人だかり
何処にも去らず
黒い猫ばかり
顔に寄ってくる
透き通りながら
存在を見せつけ
回していた扇風機
風だけを感じる
目を閉じて
眠りに就く
次に目を開けば
全ては夢だと
縋る縋る
それに縋る
押し潰されたくらいに
何もせず
動かず
今度は
自らが作り出す
闇に落ちる
目を開けば
いつも通り
トイレに行く為の
足は動く
さっきのアレは
何だったのか
分からないが
結論は頭の中
浮遊している
階段を下りれば
知った顔があり
冷蔵庫へ向かえば
飲み物がある
浮遊感のある身体に
液体が入って行く
少し落ち着き
窓の外見れば
そこには黒い影
人型と猫型の黒い影
見間違いじゃないが
見ていない事にした
柔らかな風の真夏の夜