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幼馴染ができました

私が前世の記憶を思い出したのは3歳の時だ

正直3歳で思い出せてよかった

だってもしも学園に入ってヒロイン虐めてる時にでも思い出したら最早どうしようもない

記憶持ったまま死ぬ

それに本来のリリスは超我儘でプライド高いデンプレ貴族みたいな感じのキャラだったから、もし学園に入る前に記憶を取り戻していても使用人の人たちとか両親とかからは見放されてるだろうし学園を平和に暮らせてもそのあとが地獄だ

3歳ならそれ以前はまず言葉もしゃべれないような幼子だから、ちょっと大人びたなーくらいに誤魔化せる


そう、だから油断してたし忘れてた

【悪役令嬢】だよ??攻略キャラの過去に何かしら絡んでるに決まってるじゃん……と言うことをすっかり忘れてたんだよ!


5歳の時だ、お父様が親しいらしい貴族の方の息子を紹介された


「私の友人のトーリ・シリエルと、彼の息子のリーヤ君だよ、リリス。これから長い付き合いになるだろうからね」

「トーリさまとリーヤさま?えっと、リリス・クルスフィアです、よろしくおねがいいたします」

「おぉ……ウィル、君の娘はまた可愛らしくなったなぁ!覚えてないと思うけど実は君が赤ん坊の時に会ったことがあるんだよ。ほらリーヤ、お前も挨拶なさい」

「………リーヤ・シリエル。」


トーリ様の後ろに隠れて顔を背けながらぼそりと呟くように言ったリーヤ様に、トーリ様はため息を吐いた


「すまないウィル、リリスちゃん。リーヤは人見知りでね……まったく」

「気にしてないさ、そうだ、リリス。リーヤ君と一緒に遊んでおいで」


……父様、人見知りの男の子に初対面の女の子と遊んで来いっていうのはなかなか酷なことですよ

久々に会えたトーリ様と話したいのは分かりましたけど、っていうか父様が友人と話す時、なんか女子会みたいに見えるの私だけですかね


はぁ……めんどくさ、それに私前世からアクティブな人間じゃないよ?

父様だって知ってるよね、私この家の図書室みたいな部屋に籠って本読みまくって滅多に外で遊んだりしてないこと

これ位の年齢の男の子って外で遊びたい盛りじゃないの?


なーんて思いながらも父様は既にトーリ様とわいわい話し始めてますしー……


仕方なくリーヤ様の手をとってその場から退散

その時びくってリーヤ様が体を震わせた、あ、人見知りの男の子の手を握るのってアウト?

まぁ仕方ないよね気にしないで行こう


「リーヤ様はなにかしたいこととかありますか?」

「……べつに」

「じゃあ普段何してますか?私は基本的に本ばっかり読んでて、前にセラに怒られちゃったこともあります」

「……ほん?」


お、もしや私の仲間かな?

それなら仲良くなれそう……っていうか一ついい?

なんかリーヤ様見てると何か忘れてるような気持ちになるんだよね……とっても大事なこと……

なんだっけ?


「はい、ここですよ!いっぱい本があって、家の中で私のお気に入りの場所の一つです!」

「……いっぱい本がある……俺の家、あんまりない、から……」

「良かったら一緒に読みますか?私のお気に入りはこれとか……あとこれも!」

「……ええの?……俺が、読んでも」

「?全然構いませんよ?寧ろ誰かと感想言い合ったりしたかったんです。父様以外、あんまり本を読む人いませんでしたから」


この世界じゃ本を読む男の人は少ない

多分男で本を読みふけるのは前世でいうもやしっ子みたいな印象を受けるんだと思う


ぱあっと顔を輝かせたリーヤ様は私が見せたお気に入りの本をもくもくと読み始めた

その姿に何処か既視感を覚えた……んー……何だっけな……喉元まで出かかってるのに……!


うんうんと悩んでるとなぁ、と声をかけられてつい変な声を上げてしまった


「ご、ごめん……その、これ……続き、ないん?」

「続き……えっ!?もう読んだの!?」

「う、うん……俺、本読むのだけは、早いから…」


いやいや……確かにこの本はそこまで厚くないけど私が悩んでた時間って精々十数分だよ!!?


「すごい特技ですね」

「……そんな事ないよ、ただ読むの、早いだけ」

「いやいやいや……!これは特技って言っていいですよ!こんな早く本私読めませんもん!」

「……そうかな」

「はい!」

「……ありがと。あと、さっきみたいに……敬語とかなしでえぇ……様も、付けんでいい」

「そうです……そう?なら、私のこともリリス、って、呼んで!」


リーヤとはどうやら本の趣味が似てるみたいで、私達は父様達が来るまで二人で本を読みふけっては感想を言い合ったりしていた

リーヤの読む速さは私よりも断然早いけど、リーヤは律儀に待ってくれていた、くっこの歳の男の子でこんな気遣い出来るなんて将来はきっといい男になるよ!それにかっこいいし!


帰り際、リーヤは「また遊びに来ても、ええ?」と聞いてきた

私としてはむしろ全然来てくれて構わない、一緒に本を読んで感想を言い合ってくれる人なんて今までいなかったから、むしろ嬉しい

リーヤの手を握って「寧ろまた来て!」と言ったらリーヤは嬉しそうに笑顔を見せて……その笑顔で思い出した



そうだ!リーヤ・シリエル!【知識の塔のお調子者】!攻略キャラの一人だ!

リリスの幼馴染で幼い頃からリリスに虐げられていたリーヤは女嫌いになって、その癖女遊びが激しいキャラだった!

【悪役令嬢】の幼馴染なんだから何かしらあるに決まってたのに何で気づかなかった……!


あ、でもリーヤが女嫌いになる原因はリリスに虐げられてきた過去のせいだけど、私はリーヤに酷いことした覚えは一切ないし、寧ろいい関係が築けそうな感じだから結果オーライになるのか…?


その日からリーヤは週3のペースで私の家に遊びに来るようになった

もしや私は無意識的にフラグを一つ叩き折った……?


まぁそのフラグの行き先は私の死亡フラグだから寧ろ良くやった、なのかな

あぁ……考えすぎてめんどくさくなってきた

別にもうなんでもいいや、死亡フラグが一本なくなったって思っとこう



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