俺が陰陽師の力で世界を変える決意をした話
「言霊」
古代日本で言葉でに宿っていると信じられていた不思議な力。
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今日で、16歳を迎える創平は考古学者である祖父から小包を受け取った。
「うわっ、埃くさっ」
そう言って創平は鼻をつまむ仕草をする。
目の前にいる創平の祖父はずっとニヤニヤしてるまま告げた。
「お前も16歳、もう大人だ。これを有意義に使ってみせろ」
そういって祖父は小包から黄ばんだ紙の束を渡した。
「誕生日プレゼントが汚い紙束なんて最高だよ!」
そう言う創平は真顔である。
「そんな皮肉らなくてもいい、見てろ。」
創平の祖父は紙束を開きそこに書かれてある文字を読んだ。
「逆液」
言い終わるのと同時に湯呑みの中のお茶が客間の天井めがけて浮く。
それを確認した創平の祖父は紙束を閉じた。
すると天井の液体が持つ位置エネルギーが運動エネルギーに変換され勢いよく湯呑みに落ちる。
創平の祖父は、言葉もでない創平に紙束の説明を始めた。
「この紙束は、昔の陰陽師の手帳だ。」
創平は、いきなり迫り来る情報を脳に押し込め、やっとの思いで口を開く。
「それがなぜ、ここに?」
孫の驚く顔が嬉しい創平の祖父は
「あ、ちなみにその陰陽師は、安倍晴明。しってるだろ?」
安倍晴明、それは歴史にうとい創平でもしっている。
「さっきの現象もその手帳が?」
驚く創平を見てどこか自慢気な創平の祖父は言葉を走らせた。
祖父が部屋を出たあと創平は紙束を見つめ説明された事を再度思いだした。
それは、晴明の隠し子が俺たちの祖先で。
いく度もなく晴明の子が争った中、勝ち残り。
祖父のずっと前の代から晴明の力そのものが宿った紙束を伝承していった。
創平は、高ぶる気持ちを抑え紙束を開く、めくるごとに指の皮膚に張り付く。
驚いたことに全部読んでいないのにどこに何が書いてあるのが理解できた。
なかには、人を殺すことや天気を操る言葉が書いてあった。
ここで血で血を争った祖先らしく創平は、あることを思いついた。
まだ祖父は帰っていないらしく、リビングで父に挨拶をしていた。
玄関に向かう祖父に、創平は紙束の記憶の覧から言葉を選んだ。
「記憶消去」
そう、記憶除去の言葉である。
さすがに予期せぬ事で祖父は驚いたが言い終わるのと同時に何事もなかったように玄関まで足を進めた。
「創平、悪いな誕生日プレゼント用意し忘れた、またこんどに埋め合せといてくれ」
創平は何事なかったように祖父を見送った。
創平は、部屋に戻り。新品のノートの表紙に何かを書き終わり。紙束も引き出しに入れ鍵を閉めた。
その作業が終わった創平は母に呼ばれリビングに向かった。
そう今から誕生日会が始まるのだ。
机に置かれた一冊のノート表紙は「世界破壊計画」と書かれている。
窓から吹く風で表紙がめくれ次のページには「家族殺害」と書かれている。
リビングからは物音一つもなかった。