第二話 始まりの人生
ほとんど説明のうえ、中途半端ですが投下します!ご容赦ください…
アルカナ⇒アルカナ鋼へ変更しました!
みなさんは輪廻転生と言う事を聞いたことはあるだろうか?
簡単に説明すると、一つの魂が生まれて死ぬというサイクルを無限に繰り返すことを言う。普通の転生ならば記憶はリセットされ、生まれ変わった後は新しいまっさらな状態で始めることだろう。
ただ、私の転生の場合はちょっと事情が違う。わたしという意識が残るのはこの人生からだ。
……理由は分かっている。この人生で起こった”ある事件”が原因だ。
………全てはそこから始まった…
◆◇◆◇◆
一度目の私はとある辺境に住まう貴族の両親の元に生まれた。
両親の二人ともに望まれて生まれた私は、『シェイラ・ユーグスティア』という立派な名前を両親から送られた。名前の意味は古代魔法言語で” 私達の光 ”だ。名前負けの感は否めないが、それでも大好きな両親からもらった名前は私の誇りであった。
私が生まれたこの国は、エルゴーラ王国と呼ばれ、王族を筆頭に、公爵・侯爵・辺境伯・伯爵・男爵・騎士 という順位で確立した貴族社会が存在する。
一般的な感覚から行くと辺境の貴族は権力闘争に負けて左遷された権力者とか、国の中枢から遠いため大貴族に追いやられた弱い貴族の総称だというイメージがあると思うが、そうではない。むしろ辺境に住まうということは、常に味方が近くにいない状態で敵と戦わなければいけないのでそれが普通にできる貴族という条件が付く。さらに、国防を任せられるだけの信頼と実績、そして一番大切なことは知力・財力・軍事力といった総合的な実力の三拍子がそろっていなくてはならないと言う事だ。
そんな理由から、第57代国王ラヴァレツァ・ダリア・エルゴーラは学生時代から親交のあった父にこの土地も治めるように、と王営の領地を下賜された。早い話が「おぉ、親友よ!余のために心労を減らしてきておくれ!」という丸投げだ。
王よ……それでいいのか!?……いや、確かに押し付け先の選択は間違っちゃあいないが…
それでも陛下からの一声で、それぞれの思うことがあっても大きな反対意見も出ずに決まったのはひとえに国へ忠誠を尽くし、それぞれの代で活躍してきたユーグスティア家の功績の数々が文句の言いようもないほど国の防衛に適していたからだ。
まあ、それでもいきなり決める陛下は規格外なわけだが……
この件で言うと陛下が規格外な人なら我が家は人外魔境であろう、と言う事だ。
王の知将とまで言われる父に魔力伝導素養と魔工技術の天才とまでいわれる母、王立クルト騎士学校を首席で卒業し、王宮騎士団に入団してから驚きの昇進を続ける長兄、魔導術式を開発することにかけてはもう右に出るものはいない次兄。
………そして莫大な魔力をもって生まれ、人外魔境のなか英才教育を受けたシェイラ……
我が家では「強さは自らを護る盾となる」という家訓のもとに、ひたすらに技術を磨いている。これは、我が家が貴族としてこの国に来る前から徹底されているものだというから筋金入りの家訓だろう。
…話はそれたが、莫大な魔力を持って生まれていたとしても私の上にいる者はまだまだ沢山居た。が、しかし私の魔力の容量は生まれてからもゆっくりと成長を続けていた。
魔力は初めの段階では念じれば動くという便利なものではない。血のにじむような努力の上に繊細な操作が成り立つのだ。しかし、そこは人外魔境のユーグスティア家。家族の愛と技術とアイディアの結晶によって楽しく苦戦しながら学ぶ遊びの時間となっていた。いやいや、おかしいって?でも本当にそうなんだよ。ふふ、楽しんでました。
魔力増幅期というものは8~12歳の年頃の子供ならば誰もが通る。…私の場合が特殊なだけで通常ならば増幅期が始まる前にある程度魔力回路を開いておいて、魔力の操作に慣れておくものなのだ。
ただでさえ馬鹿でかい容量なのに魔力操作をマスターする前に、さらに増えていたら大雑把にしかコントロールできないのもお分かりだろう。その大きくなりすぎた感覚を繊細に鋭く感じられるようにするところから始まった……
まずは母様特製の魔力回路鋼に細く、小さく、長時間魔力を込め続ける訓練を2歳から始めた。早すぎるだろうと思うが、うちの家族をもってしても無意識に暴走し続ける私を無事に抑えておける余裕は多く見積もったとしても後2年しかないだろうと第3回家族会議で決まったからだった。