閑話 三番隊の問題児2 ~問題児は三番隊だけじゃないぜ!~
秋も深まったホーネスト王国。ここ異世界エルドランドにも季節の巡りが存在し、エルドランドに住まう人々は四季おりおりの風情を楽しむ事を知っている。
秋といえば夏の暑さが和らぎ過ごしやすい季節で人によっては運動の秋、読書の秋や食欲の秋など色々あるが、今王都フィリアロックでは秋ならではの味覚達が露店に並び行き交う人々がホッコリ笑顔で買い物をしていく姿が見える。きっと秋の味覚達を食卓で堪能するのだろう、秋ならではの味覚達は須く人々を楽しませてくれるに違いない。
そんな季節になって日の昇りが遅くなったある日の事。王都フィリアロックにある軍兵舎の廊下を勢いよく歩く女の姿が見える。朝日が昇る前の時間だというのに周りに気遣いを感じさせない位に足音を立てている、きっと寝ている人にはいい迷惑だろう。
勢いよく廊下を歩く女性の名はソルフィナ・ザワードという。
彼女は3番隊の問題児として王都民に知れ渡るほどの有名人である。まぁ、当の本人は自分が何で王都民に有名なのかは知らないが……。
そんな問題児として有名なソルフィナは今も尚周りに気遣いしない足音で廊下をグングン進み、目的の部屋に到着したのか部屋の主に入室を求めるノックをもせずに扉を勢いよく開け放ち大声を掛ける。
「30秒で支度しな!!」
寝ていたであろう部屋の主は急に大声を掛けられた為か慌てて飛び起きて周りを見回している。部屋中を見回し飛び起きる元凶を見つけると何事も無かったようにベットの中に潜り込んでしまう。
「あぁ! 何無視してやがりますか!!」
部屋主が再度ベットに潜り込んだ事によりソルフィナは機嫌を悪くしたのか声を荒げながら室内に入っりベットに潜り込んだ部屋主をベットから引きずり出そうとする。
「ちょっ! 何よ! 私は寝たいの!」
部屋主も部屋主でベットから引きずり出せれて溜まるものかと必死に抵抗を始める。二度、三度の攻防の果てに、このままでは埒が明かないとばかりにソルフィナはある“キーワード”を頑なにベットから出てこない部屋主に囁く。
「本当に寝てて良いのかしら? 今日は年に一度の白い山が食べれる日よ?」
ソルフィナの言葉を聞いた部屋主は勢いよくベットから起き上がり、ベット際に居たソルフィナの両肩を強く掴む。
「ちょっ! 起こすの遅いわよソフィ! 今何時? 急いで着替えないと!」
「私は起こしたよラズ。貴女がベットから出てこなかっただけじゃない!」
慌てる様にソルフィナの肩から手を退かしながら寝巻から私服に着替え始める部屋主。今し方ソルフィナからラズと呼ばれた彼女は2番隊所属の隊員である。本名ラズリアット・ハーマインといいソルフィナが2番隊に所属した時からの親友で、ソルフィナが問題を起こし3番隊移籍した後も交友を深めている数少ない人物だ。
「だから30秒で支度しなって言ったでしょ! 子飼いの冒険者から連絡貰ってなかったら、こんな朝早く起こさないわよ」
ソルフィナの言葉を聞きながらも簡単に身支度を終えたラズが姿見で服装チェックを始めてしまう。
「服装はそれでいいから! 可笑しい所なんて無いから早く行きましょ!」
姿見で身嗜みを確認していたラズの手を取り引きずる様に走り始めるソルフィナ。化粧してない素面で大衆の前に出たくないと喚き散らすラズの言葉を無視しながら兵舎を飛び出していく。
何故ソルフィナがこんな朝早くラズを叩き起こしたのか、白い山とは?
事の始まりは15年前に遡る。
昔より転移・転生者が多くいた王都フィリアロック。転移・転生者が多く居る事によってホーネスト王国は他国より栄華を極めていた。こちらには無い知識や特別な力を持った者達によって齎される栄華……衣食住などは格段に向上したと言えよう、特に食の向上は著しいものだったそうだ。高級品だった砂糖を庶民が手にするまで時間は掛からなかった。それ程まで異世界から齎された知識は人々の何もかもを変えていった。向上を止めない、飽くなきまでの食の情熱。その中で人々を虜にしたモノがあった! それはケーキなる異世界の食べ物だった。転移・転生者が齎した知識によって簡単に砂糖などが手に入る様になった時代に更なる衝撃を人々は叩きつけられた! なんて素晴らしい物なんだケーキは! と人々は歓喜に震えたが転移・転生者達は納得が出来なかった。人々が歓喜に震えるケーキは何の変哲も無いショートケーキだったからだ。実にシンプルだが奥深い味わいは人々を魅了してやまなかったが転移・転生者は悔しがった。何故なら他の種類のケーキを知っているからだ。転移・転生者は諦めずに試行錯誤を重ね色々なケーキを世に送り出していく。時に専門知識が足りず涙した。自分に無い専門知識を有した転移・転生者が現る事を願ったりもした。挫けずに、ケーキに立ち向かった転移・転生者の飽くなき向上心によって多種多様なケーキは庶民の間に広まっていった。そんな中、遂に時代は動いた。
それが15年前、一人の転生者である男が齎したケーキによって!! ケーキの名は『モンブラン』。栗をふんだんに使ったケーキである。モンブランくらいならとっくの昔に登場しているのではないかと思われるが、残念な事に異世界エルドランドでは栗の存在が発見されていなかった。故に転移・転生者達は真っ先にモンブラン作りに挫折してしまった。四方八方各地を巡って栗を探した者もいたが遂に見つける事叶わなかった。そんな中で遂に偉業を成し遂げた男が王国に降り立った。男は王都フィリアロックに店を構えると真っ先に店の花形商品としてモンブランを客に提供した。人々は見た事無い聞いた事無い食材を使ったケーキを半信半疑で食べた。一口食べた時に身体に走る衝撃! 人々が持ちえた矮小な価値観がモンブランによって崩されてしまった。例えるならモンブランに投影された氷河に切り取られる峻厳な岩肌の様に。
男が作ったモンブランに人々は熱狂した。これはケーキ革命だと皆が皆、男の店『モン・ブラン・オ・マロン』に連日押しかけたが皆にケーキを提供する事が男には出来なかった。残念な事に男が異世界エルドランドで見つけた栗の木は本数少なく、栗を皆に提供できる量に限界が有るとの事。
人々は嘆き悲しんだが、男の一言に皆が期待を膨らませた。
『今年の分の栗は終わりですが、来年……来年また皆様方に提供できるので楽しみに待っていてください!』
それから毎年、秋になると『モン・ブラン・オ・マロン』の店先には花形商品のモンブランを求めて人々が殺到した。
店主である男は栗の木を繁殖させるべく色々手を打ったが悉くが失敗に終わった。増やす事叶わないなら限りある栗の木で、なるべく多くの人にモンブランを味わってもらおうと男が考えた事は、モンブランを提供できる日を伏せる事ぐらいだった。提供日を教えなければ初めて来客した人でもモンブランにありつけるのではと考えた結果だった。初めのころは提供できる栗に限界があるとはいえ、今まで口にした事が無いという客にも提供する事が出来た。しかし、毎年毎年決まった量の栗が取れる訳でも無く、時には数十人にしかモンブランを提供出来なかった年もあった。男は更に、お一人一個までの数の制約を苦渋の判断で科した。それがケーキ好きの人々に『モン・ブラン・オ・マロン』の提供するモンブランに付加価値を付けてしまう事に男は気付かなかった。提供日不明でお一人様一個までのケーキ……プレミア価値が付きすぎて毎年、男が提供日を教えていないにも関わらず店には長蛇の列が出来る。
並ぶ人々はギラつく目で『今年の栗の収穫量だと提供は何人までだ!』だと店主を睨み付ける。皆が皆、どれ程モンブランを愛して止まないか分かるだろう。
そう……今年もやってきたのだ『モン・ブラン・オ・マロン』がモンブランを提供する日が! 去年は栗が不作でモンブランにありつけた人は数少ない。その所為か巷は『モン・ブラン・オ・マロン』の話一色だった。いつ提供されるかと待ちきれない人々で店の周りは殺気立ち、今年こそはモンブランを食べるんだと人々は意気込む。
「間に合わなくなっても知らんぞーーー!! 早くしろぉーーー!!」
昇り始めた朝日に照らされた煉瓦畳の道を駆けるソルフィナが、やや遅れ気味に後を追いかけてくるラズに声を掛けている。
「ちょっ! 待ってよソフィ!」
二人は息も切れ切れ煉瓦畳の道を駆け抜ける。次の角を曲がれば『モン・ブラン・オ・マロン』が見える! ソルフィナは勢いよく角曲がると驚愕の光景を見てしまい駆けていた足を止めてしまう。
「くそ! 遅かったか!」
ソルフィナの後に追いつき『モン・ブラン・オ・マロン』を見たラズリアットも驚きの表情を浮かべてしまう。
何故なら既に店先には100人位が長蛇の列を成していたのだから。二人は止めていた足を動かし列の最後尾に回る。
今年は栗が豊作で有りますように願いながら。予想以上の人が並ぶ状況、もしかしたらモンブランを食べれないのではと内心怯えながら開店まで並ぶしかなかった。待っている間にも自分達の後ろには儚い希望を持った人々が縋る思いで列に並んでくる姿が見えた。
「今年も並びが多いわね。去年はモンブランを逃がしたけど今年こそは食べたいねソフィ!」
「そだね~。一昨年食べたモンブランは至福の美味しさだったよね~! 今年は大丈夫だってラズ!」
ラズリアットとソルフィナは他愛も無い会話をしながら開店まで時間を潰した。並ぶ事二時間程で『モン・ブラン・オ・マロン』は開店をした。開店の際は長蛇の列の人々から待ってましたとばかりに拍手喝采が鳴り響いたのは仕方のない事だろう。
『モン・ブラン・オ・マロン』は店内で食べれるスペースもあり、並んだ人たちはお持ち帰りか店内で食べる人に別れるが今年はお持ち帰りの人が多い為か長蛇の列の人の動きが早い。このペースなら午前中には店内には入れるんじゃないかと列を眺めるソルフィナは思った。
並ぶ事更に一時間後、遂にソルフィナ達が店内に入れる時が来た。モンブランはまだあるのか? あってほしいと願いながら従業員の指示に従いながら店内に入ろうとした瞬間、店から出てきた別の従業員が長蛇の列をなしている人々に聞こえる様に大声を上げ始める。
「大変申し訳ありませんが、モンブランは売り切れました! 楽しみにお待ちしていただいたのに大変申し訳ありませんが、モンブランは売り切れました!!」
ソルフィナとラズリアットはその場で彫刻の様に固まってしまう。あと一歩早ければモンブランを食べれたかもしれないと後悔の念が頭を渦巻く。しかし今更ながらラズに文句を言っても仕方が無い。過ぎた時間は戻す事は叶わないのだから……悔しさのままにソルフィナは叫ぶ。
「くそったれーーーーーー!!」
まるで魂の慟哭の様に周りに響くソルフィナの声。楽しみにしていたモンブランを食べる事が出来なかったのだから仕方は無いが表現が些か汚ないのはソルフィナだからか?
「店先で下品な叫びを上げないでくれないかしらソルフィナ?」
叫ぶソルフィナに声が掛かる。叫ぶのを止め声を掛けた人に目線を向けるソルフィナ。
目線の先には、丁度店内から出てきただろう茶色の髪をロングにした勝気な表情した女が立っていた。
ソルフィナは先程よりもあからさまに表情を不機嫌に歪めながら女を睨む。
「なんでアンタがここにいんのよ! 自称魔女っ子ルマ・シャルティ!!」
ソルフィナに睨まれようが動じず、ルマ・シャルティと呼ばれた女は逆にソルフィナを睨み返す。
「アンタは何度言えば分かるのかしら! 私は自称でも魔女っ子ではなくて魔法少女よ!!」
「何が魔法少女よ! いい歳して! アンタ魔法少女って歳じゃ無いでしょうが!! アンタなんて魔女っ子で十分よ!!」
互いに睨み合いを始めるソルフィナとルマ。
周りの人達も何事かと騒ぎ始めるたのでズリアットは二人を落ち着ける為声を掛けた。
「二人とも店先で喧嘩は止めようよ!」
仲裁に入るラズリアットを見たルマは溜め息をつきながら声をラズリアットに掛ける。
「貴女も貴女で何回言えば分かるのかしら? 部隊の先輩として付き合う友は選びなさいと言っているのに、まだソルフィナとつるんでいるなんて……私は心配ですわ貴女の事。それに貴女もソルフィナと一緒では無く私と行動を共にしていればケーキを食べられたのに……」
ルマが発した言葉を素早く理解したソルフィナは震えながら声を出す。
「まさか……まさか食べたの? 限定のアレを!」
震えながら言葉を発するソルフィナを見たルマは、勝ち誇った様な笑みを浮かべ両手を広げながら言葉をソルフィナに掛ける。
「アレ? フフッ。ええ……私は美味しく頂きましたよ? 限定のケーキを! あぁ……とても美味しかったですわよアレは」
怒りに震えているのだろう……全身をプルプルと震わすソルフィナが怒りのままに声を上げてしまう。
「とても美味しかったですわよ? それはクリ――……、モンブランのことか……モンブランのことかーーーーーっ!!!!」
怒りがある一定を超えてしまったのかソルフィナの身体が金色の粒子に包まれ始める。
その姿を見た、ルマとラズリアットが慌てはじめる。ルマはソルフィナから距離を離す様に後ろに飛び退き何も無い空間から、見た目がメカチックなライフルを取り出す。簡単に表現するならば「話は聞いてもらうものじゃないの。聞かせるものなの!」という名言で知られる「管理局の白い悪魔」が使う武器のような外見をしている。
ラズリアットはラズリアットでソルフィナを落ち着かせる為に必死に声を掛けている。
「今、ソフィが怒りに任せてスーパーな戦士になってもモンブランは手に入らないよ!!」
「ふん! モンブランの一個で大精霊化されたら堪ったもんじゃないわよ!!」
ソルフィナを落ち着けるべく声を掛けていたラズリアットはルマの言葉を聞き、一瞬で怒りで頭が沸騰してしまう。私達がモンブランの為に……限定一個の為にどれだけ期待していたかなんて貴女には分からないのね! 例え先輩だろうとモンブランを食べた勝者だろうと言って良い事と悪い事がある!
「ソフィ怒れ! 怒ればお前に秘められた戦闘民族の血が目覚める! 怒るんだソフィーーー!!」
てっきりソルフィナを落ち着かせようとしていると思っていたラズリアットがソルフィナに怒る様に促している事にルマは驚く。
「ちょっと貴女! ソルフィナを鎮めなさいよ! あぁもう!! いいわ……私のスキル『星光破壊砲』で消し炭にしてあげるわ! 私の全力全開の集束魔力砲を、その身に受けなさい!!」
『モン・ブラン・オ・マロン』の店先で戦闘行為を始めそうになる軍所属の転移・転生者を見て長蛇の列をなしていた人達と店主、従業員一同は巻き込まれたくは無いと一目散に逃げていく。軍に所属するようなスキル持ちの人間の喧嘩に巻き込まれたとなれば一般人は怪我じゃ済まない。それを分かっている王都民は安全な場所まで逃げたのだ。
いがみ合う様に対峙するソルフィナとルマ。遠くより見守る王都民。あぁ……当分店は開店できないと諦める『モン・ブラン・オ・マロン』の店主と従業員達。
そんな中、『モン・ブラン・オ・マロン』の店先の扉がゆっくり開いていく。遠くで見守っていた王都民達はまだ逃げ遅れが居る事に戦慄した。このままでは喧嘩に巻き込まれ死傷してしまうと……誰もが助からないと諦めていると睨みあうソルフィナとルマの頭に拳骨が墜ちる。
「「「うるさーーーーーい!! 今私達はモンブランを堪能してるんだ!!」」」
店先から出てきたのは緑髪をショートカットした小柄な女性、燃えるような赤髪をポニーテイルにした女性とローブを纏った銀髪ロングの女性三人だった。
拳骨を落とされたソルフィナとルマは口をあんぐりと開けて驚きの表情を、ソルフィナを煽っていたラズリアットは顔を真っ青にして店から出てきた女性たちを見ている。
遠くから眺めていた王都民も驚きの表情を浮かべている。何故なら店から出てきた三人が王都でもソルフィナと別の意味で有名な人達だったからだ。
1番隊隊長カナリア・エルエンジュ、2番隊隊長マーガレット・サルブフライン、そして3番隊隊長エレナ・スカーフィールドだったのだから。各番隊隊長が三人もこの場に集結している異質さに三人を見た全員が唾を呑む。
「折角、苦労して並んでモンブランを堪能していたのに水を差すとはいい度胸だな……お前等!」
騒ぎの元凶と思われる人物を見つけると怒気を含んだ声色でカナリアがソルフィナ達に声を掛けている。
カナリアの声を聞いた三人はその場で委縮したところを追い打ちを掛ける様にマーガレットとエレナから声が掛かる。
「ソルフィナ・ザワード。正座しろ!!」
「ルマ・シャルティ並びにラズリアット・ハーマイン。正座!」
余りの恐怖に何も言い返す事が出来ずに声を掛けられた三人は、その場で正座をするしかなかった。
「さて……お前等はバカなのか? 都市内でスキルを使うとはいい度胸だ。私はある意味感心しているのだよ……私達、各番隊隊長の実力を知らず喧嘩を吹っかけてくる骨のある奴が未だに居る事にな」
凄みを持った声色でカナリアから言葉が三人の頭に降り注ぐ。三人は尋常じゃない汗を垂れ流しながら逃げる事を考えるが、隊長格三人相手では無理がある。
「それで誰が事の発端なのかしら?」
カナリアに追従する様にマーガレットが口を開く。これは窮地に一生とばかりにルマが飛びつく。
「今回の元凶はソルフィナです! 私は騒動を鎮めるべく、仕方なくソルフィナと対峙したまで!」
一目散に助かるべく、自分は関係ないとばかりに上司であるマーガレットに騒動の元凶になった者の名を告げる。保身走った者はなんとも醜いのだろう……騒ぎ自体、ルマも関係しているはずなのに。
「私は悪くないですよ! そこのルマが喧嘩吹っかけてきたんですよ!!」
「因みに私は今回の件については一切関係ありません。騒ぎはソルフィナとルマです。私は関係ありません」
ルマが保身に走った為、慌ててソルフィナとラズリアットも言い訳を始める。
醜くも私が原因では無いと隊長達にアピールを三人が一斉に始めたものだから、だんだんと隊長達の顔が怒りで歪んでいく。三人は自分さえ助かればいいと隊長達の変化を見逃してしまった。
「騒ぎを起こした時点で三人とも同罪だ!! 見苦しく言い訳連ねてんじゃねーぞバカ共が!! エレナ、マーガレット……たっぷり絞れ!」
遂に堪忍袋の緒が切れたのか普段めったに使わない粗暴な言葉で三人を叱りつけるカナリア。三人は言い訳をする為開いていた口を問答無用で閉める事となった。
「「では……三人とも覚悟してくださいね」」
笑顔でカナリアから受けた命令道理に説教を始めようとするエレナとマーガレット。
三人は声にならない声を街中に響かせることになった。
遠くから見守る王都民は皆が皆、心の中で『問題児を抱え込んでいると苦労しますね』と各番隊隊長に向け合唱し、何も問題を起こすのはソルフィナ・ザワードだけでは無いという事で皆が皆、隊長達の苦労に涙した。
夜、『モン・ブラン・オ・マロン』の前で足が痺れたのか地面に寝ころび奇声を放つソルフィナ達が目撃されたとかされないとか……。
今回もハル君がエルドランドに来る前の話となってます! 今回は書くのに苦労しました! 初めは、もっと短くするつもりだったのに執筆するにつれて長くなってしまいました。まぁ、楽しんで読んでもらえたら良いなと頑張りました!でわでわ!!




