4話 街に辿り着く!
なかなか更新できませんね……。まだまだ誤字脱字が目立つと思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いです!
少し暑い日差しを全身に浴び、夢の国へ旅立っていたはずの俺の意識が現実世界に回帰してきた。
ゆっくり瞼を開けて周りを確認する。
眠る前に見たクレーターの中だった。
良く寝たようだ。しかし、地面なんかに寝てよく熟睡出来たな俺。
デコボコな地面から起き上がり欠伸をしながら服に付いている土汚れを叩いて力一杯伸びをすると身体中からボキボキと音が鳴る。
こんなデコボコな地面に寝てたら身体中凝り固まるのは仕方のないことだろう。
普段フカフカとかまでいかなくても地面より柔らかさが約束されているベットの上で寝ている身だからね。
例え安物でも地面に寝るよりは天と地……月と鼈ぐらいの差がある。
少し俺の使用しているインテリア小売業で大手企業のベットに感謝してみる!
軽くストレッチをして身体をほぐし凝りを取りつつ、ある程度身体が暖まったらクレーターから出る。
腹が減っているがここはグッと我慢の子です。
食料は無い。だから無いもの強請りしても仕方がない。
1~2日食わなくても餓死しないよね? 力は出ないだろうが動けるはずだ。
さて今日も歩きますか!
天候は晴れ、太陽が登りはじめてきた頃だ。
今日は風が吹いていてそこまで太陽の暑さがまだ鬱陶しくないかな? 風が吹いているのはありがたい、少し砂が混じってるが我慢できる範囲だ。
クレーターの淵の足跡を確認して昨日来た方向を判断する。
よし、行くべき方向は決まった。
今日もまた歩きながら考える。
薄々ここは地球じゃない気はしてる。
異世界の可能性が高い。
ただ確信が無いから断定できないだけだ。
兎に角何か見つけないとね、人だろうと建物だろうと。
ただ一向に人に会わないのは広い荒野だから仕方ないのか? そもともこの荒野は未開の地で、モンスターしか生息していないのかは判らないが。
まぁ、俺は運悪く? 日本語を喋るゴブリンに会った。
但しフルボッコにされたけどね! あれ以来少しゴブリンが怖い。
全然生き物と遭遇出来ないこの荒野で次にゴブリンに会えるとしてもまだまだ先だろう。
うん、正直会いたくはない。
リベンジの機会はあんまいらないかな。
俺って勝てる戦いしかした事ないのよね……。
そんな益も無いことを考えながら3時間ぐらい歩いていると地面にちらほらと草が生えてるのが見える。
おぉ? 不毛の荒野だと思ってたのに、やっぱ草でも生えるんかね? 何気なく観察しながら歩く。
さらに1時間ほど歩いていると遠くに緑豊かな森林をバックにかなりの高さの城壁みたいのが見えてきた。
ようやく荒野の果て? に辿り着けた。
この場合は荒野の始まりって言えばいいのか。なにげなく見ていたが城壁って事は人工物! ようやく、ようやく人がいるって確信できた!!
地球じゃ見ないよね? 荒野付近にある城壁って。
ただ単に俺が知らないだけかも? うん、少し異世界感が出てきた。
あそこまで行けば歩いた時間トータル13時間ぐらいで1時間約5km歩いたとして5×13=65kmの距離が報われる。
城壁にむかって歩き始めてから不意に気づいてしまう。
あれが今でも使われている場所なのか?
もし人がいても異世界だとしたら言葉は通じるのか?
人が居たとしてもテンプレだったら入門にお金が必要じゃないんだろうか?
俺はここの世界、異世界としてのお金持ってないから入れないんじゃないだろうか?
考え始めたら色々不安になってきた。
しかし、ここで足を止めていても何か変わるわけじゃないんだから歩を進めるべきだ。
心では不安がっているが頭では考えないようにしてるんじゃないだろうか? だって身体は軽やかで歩くっていうよりは走ってるに近かい状態で城壁に向かっている。
やっぱり人恋しかったのかね? 俺は。
大分城壁に近づいた為か城壁の高さが伺える。
大体20mくらいあるんじゃないだろうか? 地球の一軒家(普通の二階建て)で大体9~12mあるはずだから、高いのかな? 城壁って実際見るの初めてだしね。 城壁としては高いのか低いのか、または普通なのか判断が出来無いが。
またも益の無いことを考えながら門に向かって歩を進めると門らしき所に二人の武装した兵士みたいな人が居るのが見えてきた。
二人の兵士に関して、あんまり格好につては上手い事言えない。
簡単になら説明できるんだが……防具とかの名前や服の種類とかが分からない。異世界物の小説読んでいても実物見た事無いので判断出来ない。
一応武器ぐらいなら少しわかるんだが……。
一人はダンディーなお髭のおじ様で、頭にはヘルムに麻? か何かで出来ているだろう茶色の服を着込み胸には鈍色な銀みたいな感じの金属で出来ているだろう胸当てをして手には槍を携えてる。
もう一人はヘルムを被って無く、おじ様と同じ服を着込み胸当てをして手に槍を持った金髪ロンゲのチャラそうな若い兄ちゃんだった。
門まで10mぐらいのときに、二人は厳しい顔をしながら槍をこちらに向けてくる。
「***!! ***、****!!」
ダンディーなおじ様がこちらに向かって怖い顔で何か叫んでくる。
「ひっ、すみません!」
急に叫ばれたのですぐさま謝りその場で止まる。
下手に刺激したら堪ったもんじゃないので、二人を刺激しないよう身体が動かない様に力を入れる。
「*****! **、*********!」
再度叫ばれるけど…うん、何言ってるか全然分かんないです。
聞いた事無い言葉って異世界確定かね?
「すみません。言葉が通じません。」
そんなに大声にならない様に返事を返す。
自分で言葉通じないって言ってるのに日本語で返答する俺って阿呆だね。
二人の兵士がキョトンとした顔をした後すぐにダンディーなおじ様は厳しい顔を、金髪兄ちゃんは面倒くさそうな顔して何か話し合ってる。
何か不味い事言ったかな俺? どうしようか考えていると金髪兄ちゃんが
「コレナラ、コトバワカルカ?」
片言ながら日本語で返答してくれる。おぉ日本語だ!
「はい! 分かります!!」
「ワカルナラ、ウゴクナ!イマ、ニホンゴウマイヒトヲヨンデクル」
金髪兄ちゃんが俺の応答をしてる間に、ダンディーなおじ様がさっさと門の中に入ってしまう。
きっと日本語上手い人を連れてくるに違いない。
もう、なぜ荒野の城壁に囲まれているだろう街に日本語の上手い人がいるとか考えないようにする。
俺が考えるよりも今から来る人に聞いた方が早いからね。
金髪兄ちゃんに睨まれつつ待つこと10分くらいで門が開いて二人の人が出てきた。
一人はさっきのダンディーなおじ様兵士で、もう一人は真っ赤な髪をポニーテールにした利発そうで燃えるような赤目の綺麗な女性だった。
服装は上が黒のタンクトップ。タンクトップの中には自己主張し過ぎな膨らみが押し込められている。
所謂巨乳さんですね!
下はむっちりとした下半身を何かの動物で出来てるだろう黒の革製のパンツに包み茶色のブーツ。
……エロいわぁ~、つま先から頭の天辺までコソコソ視線を送る。
女性は表情は柔和なのだが、こちらを探るような目を向けてくる。
「はじめまして、私はエレナ。この物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンに王都より任を受け派遣されてきた特務隊の隊長を務めてるエレナ・スカーフィールドといいます。貴方の名前を伺っても?」
俺がちょうどコソコソと赤髪の女性の胸元にいやらしい目線を送っていると、いきなり話しかけられた。
赤髪のエロいねーちゃんは、エレナ・スカーフィールドね……エレナさんと心の中で呼ぼう。物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンって、やたら長い名前だな。それに特務隊ねぇ~? 後で聞いてみよう。
「あ、はい。俺ですか? 俺は西尾 晴武です」
エレナさんは、俺が名前を言うと片眉をピクリと上げた。
「単刀直入にお伺いします。服装を見て容姿を確認して名前をお聞きになったので、まず日本人で間違いないでしょう。その日本人である西尾さんはそれも何らかの召喚でこの世界に来た転移者で間違いないですね?」
「はい! 日本人です。その召喚? 召喚はされてないと思います。気が付いたら荒野にいたんですよ俺!」
「それでは召喚されて来たのでは無いと?」
え? 何? ここって召喚されてじゃないと来れない処なの?
「アパートのドアを開けたら荒野に居たんですよ俺」
「その時召喚陣とか誰かかの呼びかけはありましたか?」
召喚陣…呼びかけは無かったはず。ドアを開けたら荒野でしたもんね……
「いえ! 召喚陣や呼びかけは無かったです!!」
エレナさんは柔和な表情を崩し少し厳しい顔をする。
「なるほど。勇者召喚や魔術召喚系転移者では無く、墜ち子ですか……久々に見ましたね」
「墜ち子ってなんですか?」
なんか聞いた事無い言葉出てきたぞ?
「墜ち子。こちらの世界では本来こちらに来られるはずがない転移不可者が召喚以外の何らかの要因で意図せず世界の境界線を渡ってしまった人、異世界に墜ちてきた人を墜ち子と言います」
って事は俺は墜ち子になるのね。
そもそも召喚以外で転移出来る人とかって居るんだ、ある意味スゲーな。
あ、俺もそうなるのか。
「本来召喚でも転移不可者は呼び出す事は出来ません。転移不可者では召喚に耐えうる体力が足りないので召喚中に体力が尽きて死亡すると聞いた事があります。それ故に召喚されるのは力ある人や魔力ある人が選ばれ、それが勇者召喚・魔術召喚で召喚され後世に名を残すような勇者だったり魔術士となります。しかし、あなたは運がいい。ただせさえ転移不可者は世界の境界線を渡る際、特別な力が無いゆえに境界線を越える際の衝撃から身を守る術が無いので死亡しやすいと聞いています。もし運良く世界の境界線を越えたとしても、転移した先が大地とも限りませんしね。数年前空から転移者と思われる人が降ってきて死亡したって事例もありますしね。大空や海でなくて良かったですね! 大空だったら気づいたら地面に向かって一直線にドーン!! で、深海なら呼吸出来ずブクブクですもんね」
なにそれ怖いわ! 転移に死が付きまとうとか転移って物騒だな。俺は転移した先が荒野だからな。
一歩間違えてたら大空に転移してパラシュートなしでスカイダイビングとか深海で呼吸も出来ずブクブクしてたかもしれないなんて、今更ながら冷や汗止まらんよ。
その数年前の転移者であろう人には大変気の毒だけど本当に俺は運が良かったと言える。墜ち子だけに墜ちるって笑えない……笑わないけどね。
「ホント良かったです。転移した先が荒野で」
そこでちょうどダンディーなおじ様がエレナさんに何か耳打ちをする。
エレナさんとおじ様がこちらに聞こえないぐらいの声量で何か話し合ってる。
「西尾さん、門前で長話をしていても門兵に迷惑がかかります。今回この物資運搬中継型城壁都市ケンロウモンの入門料は無料とさせていただきますので、中で色々とこの世界についてお話しさせていただいてもよろしいですか? 実際情報足りていませんよね? 墜ち子の方は何も知らずこちら側に転移されて来ている訳ですから、どうでしょう?」
おぉ? 中に入れる? よかったよ! 門前払いされなくて。
それに知りたがってた情報はエレナさんが教えてくれるって言うしね、断る理由が無さすぎる。
「はい! お願します!!」
俺が返事をすると、エレナさんがこちらに向かって何かを投げてきた。
おぉ! 胸がフユン……いや! タプンって揺れたぞ! そのふくよかな胸に目を奪われていた為、一瞬投げて寄越された物を受け取り損ねてお手玉をしてしまった。恥ずかしい限りだ。
「えっと、これは?」
受け取った物は飾り気の無いシンプルな指環だった。
「それは理解の指環ってアイテムです。数種類の機能付きの指環で、メーンの機能は異世界語の通訳と言葉の異世界語変換機能が付いてるんですよ。今の貴方には必要なアイテムじゃないでしょうか? その指環も今回は無料とさせていただきます」
「はい! すごく助かります! さっきも門兵の方が何言ってか全然分かんなかったですから」
なんて便利アイテムだ! そんな便利アイテムを無料で提供してくれるなんて、エレナさんマジ女神っす!! 伊達に巨乳じゃない!……今は巨乳関係ないか。
すぐに右手の中指に指環を嵌めてみると指環は少し中指より大きくユルユルだったが、一瞬の内に中指にフィットした。
おぉ、ファンタジーアイテムだ!! これで俺も異世界語OKな人になれたんだ!
「ありがとうございます!」
エレナさんに感謝を述べる。
「いえいえ~、お気になさらずに。では私に付いてきてください」
エレナさんが門の中に入っていく。俺も置いて行かれたら堪ったもんじゃ無いのですぐに追い掛ける。
ちょうど門をくぐった時
「ようこそ! 物資運搬中継型城壁都市ケンロウモンへ!!」
エレナさんが満面の笑みを浮かべ歓迎してくれる。
その笑顔のまま俺の近くに寄ってきて耳元に口を近づけてきて一瞬で笑顔を消して小声で囁いてくる。
「さっきから私の胸ばっかり見てんじゃねーよ! この変態!!」
なぜ今のタイミングで罵られる…え? 今歓迎ムードでしたよね? いや……胸ばっかり見てたのは弁解のしようがないですけど!
エレナさんはいつの間にか笑顔でこちらを見ている。
え? なに怖い……その笑顔怖いんですけど!
「え、え~と。な、なんの事かわから「ほらほら! 置いてきますよ~?」はい!! 今行きます!」
俺の苦しい言い訳の言葉の上からエレナさんが言葉を被せつつ、先に進んでいく。
俺も置いて行かれない様に後を追いかける。
こうして俺は物資運搬中継型城壁都市ケンロウモンに入ったのだ。
しかし本当に名前長いな。
あとエレナさんの笑顔が怖い……。
うん、思った以上に文字数伸びませんね。頑張って文字数伸ばして読み応えある、そして面白い話を書けたらいいな……頑張る!!