3話 彷徨う!
展開が遅いのは仕様です。誤字脱字も仕様です……嘘です!頑張って修正はしていきたいと思います!
「う……ん……っ!」
顔を殴られた痛みと口の中に広がる鉄臭さが俺の意識を覚醒させて来る。
「俺生きてる? ゴブリンと戦って生きてる?」
ゴブリン、モンスターなら止めを刺してもおかしくないのに。
寝起きの様にぼやけた頭で考える。
気を失う前ゴブリンがビール頂いていくぜって言ってた気がするが?
そういえば俺は何時間気を気を失っていたのだろう……いや、何分か?
寝ころんでる状態からゆっくり上体だけを起こして周りを見る。
俺をフルボッコにした張本人であるゴブリンを探すが姿はどこにもない。
俺は口の中に異物感を感じたので唾と共に口外に吐き捨てる。
吐き出した先には血と共に欠けた歯があった。
舌で血が出てすっかり鉄臭くなった口の中を恐る恐る確認していくと両ほっぺ内側は切れ、左の奥歯が割れてるじゃないですか……。
ポケットからスマホを取り出す。
電池残量25%を切ってるが少しは使えるか?
まぁ相変わらず圏外なのは変わらないのだけど。
スマホをタップしてカメラを起動、自写取りをする。
スマホの画面にはかなり酷いことになってる俺の顔が映る。
右目には隈取みたいに青痣があり、左頬は腫れて両鼻からは鼻血が出た跡が顎下までついている。
幸い服にまでは血は垂れてなかったので、少し安心した。
あのゴブリンめ!もともとイケメンじゃ無いがフツウメンの俺の顔をデコボコのイケメンに整形してくれやがったな! クソッ!
「あのゴブリン覚えてろ!」
今の状況で吠えた所で何も変わらない。
俺は立ち上がり服の汚れを叩きながら顔を洗ったり口を濯ぐため水場に行く。
顔以外はこれといって目立った怪我は無い。
揉みくちゃになった際の出来ただろう擦り傷が数か所あるだけだ。
水場付近で腰を屈め手で水を掬いゆっくり口を濯ぎ、傷が痛まないよう顔を洗いながら色々考える。
とりあえずここは地球じゃ無い事は確定なのかな?
地球にはゴブリンみたいな緑色した肌の人は居ないはず?そもそもあんな緑色した肌をした人がいたらテレビとか新聞で取り上げられているはずだろう。
そんな話を俺は聞いた事が無い。
ただ政府や某国の研究機関とかで秘匿されてる実験体または未知の生物や宇宙人の生体兵器で地球侵略しに来てる? とかの情報だった場合、そもそも一般人の俺が知る由はないけどね。
突拍子も無い話を考えてもしょうがない、そんな益が無い話は頭から消し去る。
仮定しよう、ここは地球では無く異世界の可能性だった場合を。
異世界としてだ、ここはモンスター闊歩する不毛の荒野。
ゴブリンなるモンスターもいる。
しかし、あのゴブリンは日本語を喋ってた。
少しヤクザっぽい話し方だったが日本語だ。
ゴブリンとは戦闘になったが、命のやり取りっていうより喧嘩をしてるみたいだった。
実際俺はゴブリンに手加減されていたはず……こん棒使われてないしね。
手加減しても俺を倒せるって自信があったのか? あとは俺のビールはゴブリンに持っていかれたが、あのスーパーの袋の中身……ビールを知ってるゴブリンって?
うん、異世界なのかも怪しい……色々情報が足りない。
口や顔を洗い終わり、パーカーの汚れが少ない箇所で顔を拭きながら立ち上がりポケットから煙草を取り出し火をつける。
紫煙を吐き出すたび少しずつ落ち着いてくる。
再度ゆっくり紫煙を吐き出しながら周りを見渡す。
見渡す限り荒野。
この岩場以外何も無いが、あのゴブリンはどこに消えた?体重が軽いのか足跡は残ってない。
そもそも一匹? まぁ一匹でいいや。
一匹でこんな荒野で餌を求めて彷徨っていたのか? そんなはずはないだろう。
きっと近くに住処とかがあるはずだ。
あの体格で移動できる範囲に何かあるはず。
馬とか移動手段使ってら分かんないけど使ってないと信じたい…ゴブリン馬乗れないよね?
とりあえず今から移動した方がいいのかな?もう一回襲われたら敵わないからね。
煙草を地面に落としデッキシューズの裏で火を踏み消す。
だいぶ日が落ちてきたが大丈夫だろうか? ここで一夜明かしてから日の出から出発した方が無難か?迷う……だが現状手持ちに食糧は無いから移動しようが野営しようが体力的に詰んでくる。
1 もう一度襲われる可能性がある野営か←リベンジのチャンスだよ!
2 歩き始めれば確実に日が暮れた荒野を月明りを頼りに彷徨うか←遭難するよ!
2だ! 俺は2を選ぶぞ! 俺じゃあのゴブリンに敵わない! 情けないがアイツは強い! アイツはプロの格闘家ですらきっと赤子の手を捻る様に簡単に倒してしまいそうだ。
実際俺はフルボッコだったしね。
もう一回戦ったら勝てるだろうか?もう一回無手でゴブリンと戦うそんな根性は俺には無い。
チキンって罵られても構うもんか!
「そう今はまだ戦う時じゃない……まだだ!! 地下に潜り、我がもっと力を付けて武器を手に取り手下を集めて強大な軍隊を作った暁には貴様専用の作戦をもって蹂躙してやろう! 待っているがいいゴブリンよ!! 後悔した時には全てが無駄なんだよ無駄。フフッ、フハッ、フハハハハハハハハハハハハハハハ!」
俺よ、冷静になれ! 喧嘩に負けたからって変なキャラを演じてる場合じゃない。
とりあえず移動を開始しなければ。
さてどこを目印にして移動するか。
この荒野には目印になる物がもう無いから、もう単純に来た方向の真逆に真っ直ぐ進むしか選択肢が無い。
もうどうにでもなれ!! 来た方向とは真逆に真っ直ぐに歩き出す。
日が落ちはじめてきて割と暑くは無くなってきたので、行進速度が少しづつ上がってきた。
流石に走る気にはなれなかったので早歩き目に足を動かしながら、目だけ動かし見える範囲に生き物がいないか探ってみる。
草一本生えてない荒野で動いてるものは俺以外いない。ゴブリンが居たんだ、ほかの生物も居るはずなんだが皆目見当たらない。
何か遭遇できないかね……ゴブリン以外で! ゴブリン以外で!! 大事な事なので二回思いました。
歩き始めて1時間後には日が沈んで夜空に月と星たちが輝いてる。
月明かりは結構な光量があったのか足元まで割と見えるので問題なく歩を進められる。
月明かりに照らされた荒野で一人……寂しくなってきた。
寂しさに囚われても紛らわすものが無い。
ポケットの中のスマホは電池切れでご臨終なされてるし今煙草を吸う気にもならない。
夜空を見上げてみる、月が二つあったり青く輝いてたりしてないし地球と同じく一つの月に星たちが輝いてる。
夜空の星を観察しながら天体に詳しくない俺でも知ってる星を探そうと四苦八苦する。
もしここが地球じゃないなら無駄な努力でしか無いなのだが。
ここの夜空は澄んでる気がする。
車の排気ガスとかで淀んだ街中の夜空とは比べ物にならないくらいに見上げた夜空には星たちが輝いてる。
「綺麗だ。こんな綺麗な星空は俺は今まで見た事が無い。俺の持ち合わせてる少ない言葉では綺麗しか出てこない。チープな表現しか出来ないのが心苦しい限りだ」
夜空に輝く星たちに称賛の声を送ったら星たちが瞬いた気がした。
俺の称賛に照れてくれているのだろうか? ……俺ってばこんなにメルヘン君だったかね? きっと寂しさの所為だと自分に言い聞かせる。
普段言わない事を周りに誰もいないからって調子に乗って言ってしまったもんだから顔が熱くなる。
手で顔を仰ぎながら夜空を見上げるのをやめる。
まだ歩き始めて4時間も経ってないが足が棒の様だ。
だんだんと疲れが出てきたのか少し眠くなってきた。
さらに歩き続けて2時間たった頃、地面がへこんでる場所を発見した。
恐る恐る近くに寄って確認したら直径3mぐらいの大きさで深さ1mくらいのクレータだった。
人一人横になっても問題ない大きさだ。休憩せずに歩いて来たんだ。
ここで少し睡眠を取ろう。
暗い為危険が無いかゆっくりクレーターの中を観察してみる。
一応生物は居ないようだが、いつでも逃げれるようにしながらクレーターの中に降りて足でデコボコな地面を蹴ってみる。
うん、問題無さそうだ。
服が汚れるのなんか気にせずデコボコな地面に横になると腹は減っているが、やっぱり疲れていたのかすぐに睡魔が襲ってきて俺を夢の国へ誘ってくれた。
4000字の壁も厚かった。頑張って文字数伸ばしていきますよ~!!




