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異世界人にとって俺のレゾンデートルは?  作者: 遊司籠
第二章 鴉隊と勉強編
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第9話 武器!

「他にも相談?」


俺の言葉を聞きエレナさんは、先程までより少しだけ真面目な表情をして俺に目線を向けてくる。


「はい。今後の為にお金は必要なので必然的に相談してたと思うんですが、それとは別にあるんですよ」


 俺は執務室内にいるソフィ、テレサ、エレナさんの順に目線を向け本題に入るべく真面目な顔をする。


「それで、相談とは何かなハル君?」


 俺の言葉を受けエレナさんは話の先を促しつつ、執務机の椅子に腰掛ける。

 テレサはエレナさんが執務机の椅子に腰かけたのを見て、執務机の横に移動してエレナさんと並ぶように立ち俺に目線を向けてくる。


「っと、その前にソルフィナ副隊長は仕事に戻れ」


 俺が言葉を発する前にエレナさんは床に倒れたままのソフィに仕事に戻るように声をかけている。

 ソフィはソフィで隊長からの指示を受けたはずなのに床から起き上がり、俺の左腕を双丘で挟み込む様に引っ付いてくる。

 おう! 左腕が幸せな事になってる! 腕を挟める程胸にボリュームが在るってのは素晴らしい事なのですよ!

 いいか男性諸君! オッパイってのは“大きい乳”即ち“大きいパイ”だからこそオッパイ(・・・・)になるんだよ! 故に巨大な乳で巨乳なのだ!! ソフィも良い乳をしている……今度生で拝まして頂きたいものです!


「嫌! 私もハル君の為に力になるの!」


 ソフィは自分も俺の力に成りたいと、少し駄々を捏ねる子供みたいにエレナさんに突っかかっていく。


「おい、ハル君から離れろ! それに胸をワザとらしく当てるな! ハル君もハル君で嬉しそうに鼻の下伸ばさない!」


 エレナさんは不機嫌そうな雰囲気を出し、めっちゃ無表情で俺とソフィに目線を向けながら言葉を投げかけてくる。

 何たる事だ、俺は自分で気付かない内に鼻の下伸びてたのか! 指摘されてからは表情に出さないようにしていたのに!


「ハル~~~!!」


 あちゃー、テレサまで先程よりも不機嫌な雰囲気を見に纏いはじめる。

 テレサはスグに機嫌が悪くなるから扱いが難しい気がします!


「そ、ソフィも離れろ! コレじゃ話にならない! 頼むから離れて!」


 俺は自分の保身の為と話の脱線修復の為にソフィに離れてもらうように懇願する。

 真面目にテレサの俺を見る目が怖い。

 後から何されるか想像すら出来ない……刃物で刺されないよね俺?


「ちッ! 分かりましたよ。離れればいいんでしょ、離れれば!」


 不機嫌そうな雰囲気を醸し出しながらだがソフィは俺から離れてくれる。

 エレナさんは俺からソフィが離れたのを確認すると目線で再度俺に話をするよう促してくる。


「俺からの相談は、武器の調達についてなんですが」


「武器ですか?」


 俺の言葉を受けエレナさんは首を少し傾げながら聞き直してくる。


「はい。昨日冒険者の方と行動を共にさせて頂いて、前から戦闘は不向きだと自覚していましたが、更に痛感させられました。モンスター戦闘で剣や槍等々を使った武器戦闘は完全に素人である俺のでる幕は無く素手(・・)での戦闘に少しは光を見出す事は出来たのですが……」


「それで自分に合う武器の調達ですか?」


 エレナさんは俺の言葉を聞き何か考える様に両目を閉じる。


「はい! 色々な武器を試させて頂きましたがスライム一匹倒すのに一番効率が良かったのは打撃によるコア攻撃でした。センスが無いと言われればその通りなんですが、やっぱり最低限でも戦闘出来ないと今後鴉隊員として行動の際に支障が出そうなので」


 俺は昨日己の無力さに、遣る瀬無さに涙した。

 だけど俺は勘違いをしていたんだと思う。

 美貴さんにも言われたが何かに頑張って、それでも駄目なら泣きなさいと。

 そもそも何の努力もせずに今の現状だけを見て涙を流した。

 言われるまで気付かないなんて駄目にも程がある! 異世界の知識は無いのだから後方支援の際でも都市防衛の際でも最低限戦闘出来るようにはなっておきたい、そう思ったんだ。


「隊長! ハルの武器は手甲とかガントレットが良いと思いま~す!」


 エレナさんの近くに控えていたテレサがエレナさんに向かって挙手をしながら意見を述べている。


「――私もハル君の武器は手甲かガントレットにしようかと思ってました。昨日シェリーからの報告を受けてますしね」


 エレナさんはテレサを一瞥して、俺に昨日の戦闘について報告を受けている旨を伝えてくる。

 恥ずかしいな……無様な姿を報告されるのは。


「私もロイからの報告は聞いてるよ! たかだかスライム一匹倒すのに時間が掛かりすぎる! 戦闘センスが無いってね!」


 ソフィは聞いてもいないのに、ロイさんの報告内容をサラッと暴露している。

 ちょ、明日からもシェリーさんとロイさんのお世話になるのに、そんなに簡単に暴露しないでくださいよ! 明日からロイさんと、どう接していいか分かんなくなるよ!

 まぁ、本当の事なんだけどね……第三者の口から聞かされるのは遠慮したいものです。


「ソフィは一言多い! そこはハル君に聞かさなくてもいい事だ!」


 エレナさんはソフィの失言について、厳しい目線とお叱りの言葉を投げかけている。

 エレナさんは俺に気を使ってくれたんだろうな。

 何となくだけど、そんな気がする。


「はいはい。で、武器は手甲? ガントレット? どっちにする?」


 ソフィはエレナさんに叱られているのに何食わぬ顔で俺に武器選択を迫ってくる。

 神経が図太いのか胆力があるのか……ソフィの場合は神経が図太いのだろう。

 しかし、俺には手甲とガントレットの違いが分かんないし、どうしようかな?


「どっちが俺に合うと思いますか?」


 俺は3人に意見を求める。

 素人の俺が使うのだから戦闘経験豊かな先輩方々に聞くのは間違いではないだろう。


「そうですね、私はハル君には手甲が良いと思います。それに何故か私の手元にはハル君の為に用意したかのようにミスリル銀糸と古龍の鱗で作られた手甲を所持してますしね」


 そう言ってエレナさんは机の上に、綺麗な銀糸で織られた布に鈍色に輝く金属見たいな物をあしらった手の甲から腕まで覆う手甲を乗せる。


「いや! 私はガントレットをオススメするぞ! そして私も何故か手元にハル君に用意したかのように大地の大精霊の加護を受けたアダマンタイト製ガントレットある!」


 ソフィは何も無い空間から黒光りするガントレットを取り出し執務机の上の手甲横に並べる様に置く。

 エレナさんとソフィの目線に間では火花が飛び散る。

 なんで2人張り合うように武器を提示しあってるの? そして、2人とも都合よく手甲とガントレットを持っていたな……。

 俺の為に用意していたとか? まさかな?


「ちょ、エレナ隊長! その手甲、古龍の鱗とミスリル銀糸で出来てるってハル君を何と戦わす気ですか! ただでさえミスリル銀糸の防御力は桁外れなのに、状態異常無効の古龍の鱗って大盤振る舞い過ぎやしませんか?」


 机の上の手甲とガントレットを眺めていたテレサは慌てたようにエレナさんに声を掛け、


「それにソフィも! ただでさえミスリルに匹敵する硬度を誇るアダマンタイトに大地の大精霊の加護を付与って、何を考えているんですか!」


 ソフィにも同様に声を掛けている。

 テレサの慌てようを見ると凄い武器、きっと俺には勿体無い代物なんだろう。

 俺は机の上の手甲とガントレットに目線を移す。


「テレサの言った様に私が出した手甲は完全防御特化で古龍の鱗の恩恵で状態異常にも罹らない世に二つと無い代物だ! さぁ、どっちを選ぶ!」


「そう、テレサの言った様に私が出したガントレットも完全防御特化で最高硬度のガントレットに大地の大精霊の加護で更に硬度が増している世に二つと無い代物だ! さぁ、どっちを選ぶ!」


 エレナさんとソフィは自分の提示した物が選ばれると信じ切った様な自信満々の顔を俺に向けてくるが、これは不味い状況じゃないかな?

 この状況で、どっちを選んでも角が立つのは目に見えている結果だ。しかし選ばない訳にもいかない。

 俺は助けを求める様にテレサに目線を向けると、テレサは呆れたような顔を俺に向けてくる。

 きっと内心で“ヘタレ”とか思っているに違いないが今はテレサだけが頼りなんだ!

 テレサは俺の苦悩を悟ってくれたのか助け舟を出してくれる。


「ハルは戦闘初心者なので、動きが阻害されにくい手甲がいいと思うよ? ましてや完全防御特化で状態異常無効ってのが恩恵デカいしね。状態異常回復スキルも持って無いし丁度いいんじゃない?」


 情けない話だが、ここはテレサの意見に乗ってエレナさんの手甲を選ばせて頂こう!

 ソフィに恨まれる事になるが、後押ししたテレサも一緒にソフィに恨まれるハメになるはずだから巻添え1人確保完了!


「では、手甲使わせて頂きます」


 俺の言葉を聞いたエレナさんは満面を笑みを浮かべ右腕で小さくガッツポーズを取る。

 ソフィはソフィで先程までの覇気は無く、あからさまに落ち込んだ雰囲気を醸し出し始める。


「ソフィ。俺の為にガントレット用意ありがとう! 今回は気持ちだけ大切に受け取っておくよ」


 俺は落ち込んでるソフィに優しく感謝の言葉を掛けると、少し涙目になって俺に抱き付いてくる。


「ベットの上で慰めて!」


 いきなり抱き付いてきて何を言ってるんですかソフィは!

 はッ! 殺気を感じて後ろを振り向けば、笑顔のエレナさんと黒いオーラを纏ったテレサが目に入る。

 ちゃうねん、今回俺何も悪くないんや! ソフィが勝手に暴走してるだけやねん!

 俺は必死にソフィを引き剥がしながら二人に笑顔を向けるが、二人ともソッポを向いてしまう。

 あぁ、この状況をどう収拾すればいいのやら……俺の溜め息が執務室に小さく響く。





 翌朝、俺は太陽が昇るのと同時に起床してツナギに着替え、両腕の袖を捲り手甲を装備する。

 一回袖の上から手甲を着けてみたが違和感を感じたので素肌に直に装着する事にした。

 本当に昨日はあの後大変だった……何とか3人の機嫌を取り直せるように四苦八苦しながら煽てみたり謝ってみたりとご機嫌伺いに、どれだけ神経を擦り減らしたか。

 途中王国円を持ってきた経理の女性のドン引きした顔を俺は一生忘れる事は出来ないだろう。

 王国円を交換終わった後、エレナさん達と話をして聞きたかった事を少し聞く事が出来た。

 取り敢えず勉強会の時間や指環の時計機能の事が聞けただけ有難かった。

 その際念話用の指環がエレナさんに見つかり『日本人はスグに握手するから悪事に巻き込まれないように念話用の指環は渡すの遅らせようとしたのに!』とソフィ共々お叱りを受けたり、ソフィだけ俺の指環とリンクしているのは不公平とエレナさんとテレサに無理やり指環のリンクをさせられたりもした。

 俺は腕に装備した手甲の感触を確かめながら窓の外を見る。今日もいい天気だ! 俺は右手の中指に嵌ている指環に“時計”と念じと頭の中に時間が浮かんでくる。

 勉強会は朝8時からスタートなんだって。今頭に浮かぶ時間は6時なので軽く外で身体を動かした後でカトリアちゃんお手製の朝ごはんを食べて冒険者ギルドの方に行こう!

 俺は部屋から出て外に向けて歩き出す。


今回は色々注意して執筆してみました。なるべく読みやすくしたつもりですが、そんなに変化はないかも?少しづつでも読みやすいように努力をしていきます!

もうそろそろハルにもスキル付けてあげたいですね……それは今後の楽しみにしておいてください!

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