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異世界人にとって俺のレゾンデートルは?  作者: 遊司籠
第二章 鴉隊と勉強編
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第4話 鴉隊の方々との顔合わせ!

 テレサと共に俺の部屋から出て、鴉隊の執務室に向かうべく歩き出す。

 隣を歩くテレサは先程の事で少し不機嫌だが、それは仕方ない事と割り切り俺は昨日聞こうと思ってた事をテレサに問い掛けてみた。


「そう言えば、物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンから帰って来る時からワインゼリー見てないけど、どうかしたのか?」


「ワインゼリー?あぁ、ワインゼリーならここよ」


 テレサはツナギの胸元にあるポケットから赤い(・・)ビー玉みたいな小さい球体状の物を取り出す。


「この中に収納されてるの?」


 俺はテレサが見せてくれている赤いビー玉みたいな物に顔を近づけ、マジマジと眺める。

 ケンロウモンからワインゼリー見てないから置いてきたのかと思ったがテレサと一緒だったか。

 これはモンスターボールと同じ原理なのかと俺がマジマジと観察していると、テレサは少し半笑い気味に笑いながら説明をしてくれる。


「違うの、この球状の物体がワインゼリーなのよ。ハルは知らないから勘違いをしているわ。私と共にいたワインゼリーはスライムだけど自然に発生したモンスターではなくて人工的に生まれた人造人間……この場合人造モンスターになるのよ」


「え? モンスターって人工的に作れるの? どうやって?」


 俺はテレサの言葉を聞き、驚きながらも話の続きを促す。

 俺はケンロウモンに居た時にしかワインゼリーを見てないが、ごく普通(・・)のスライムだった様な気がする…。

 まぁ、今まで地球に住んでたから何が普通のモンスターなのか曖昧なのだが、ここはテレサの話で分かる事だろう。


「えっとね、一から話するには時間が足りないから今は大部分を端折って話するわ。我がホーネスト王国最大の英雄的存在――エルドランドに住む生きとし生ける全ての者の中で一番、()に近いと噂されている()2番隊隊長ビックオ・アスモール氏によって生み出されたのよ“ワインゼリー”は」


 いきなり知らない人の名前出てきたな。

 神に一番近い元2番隊隊長で英雄的な存在な方ね?

 その人がモンスター作れるの?大部分を端折った所為で話全然分かんないですテレサさんよ。


「生み出されたんだ、ワインゼリーって」


「そう、彼のスキルに依ってね。一応スライムの特性(・・)を持たされた武器なんだって、ビックオ氏が言う所によるとね」


「武器なんだ、ワインゼリーって」


 まぁ、スライムの特性は軟体で形状を変えられるって事なのは分かる。

 実際テレサがロックスキンベアとの戦闘の際にワインゼリーの形態を色々変え戦ってたしね。

 でも、大部分を端折っている為上手い事理解出来てない気がするよ。


「そう、生物としての知性は無く所有者の魔力で活動する疑似生命体であるスライム武器。今は魔力をワインゼリーに送ってないから休止状態の、この小さい球体に為ってるの。詳しく知りたいなら今度時間が空いた時にビックオ氏に会わせてあげるわ、ビックオ氏は今“研究室”に籠ってる筈だから」


 ふぅん、少しだけだがビックオ氏に興味が湧いてきたよ俺。

 ワインゼリーの事もそうだが、ビックオ氏が何をもって神に一番近くて、何故2番隊“元”隊長なのか、どんな英雄的な事をしたのか気になるよね? 時間があった時は是非お会いしたいですね。


「まぁ、俺はこれから冒険者たちと行動を共にして勉強しなくちゃいけないから時間が空くのは当分先になるわな。時間空いたら、その時はよろしく頼むよテレサ」


 俺はビックオ氏に会えるのは当分先になるが、一応テレサに頼んでおく。

 なんちゃってデート予約だな、これは。

 ビックオ氏に会ったら色々きちんと聞こう。


「はいはい、分かってるって。それより執務室に着いたわよ」


 テレサと話してる内に鴉隊の執務室に着いてしまっていたみたいだね俺達。

 廊下を歩いて来た俺達の目線の先には、扉の前で鴉隊取り纏め役であるソルフィナ・ザワードが笑顔で立っていた。


「テレサは先に室内へ。ハル君は呼ばれたら中に入って来てね」


 そう言うとテレサとソルフィナ・ザワードは中に入って行ってしまう。

 一人廊下に残される俺……段々と緊張してきたよ!


「西尾。西尾晴武は中に入って来い!」


 俺は執務室内から聞こえるソルフィナ・ザワードの言葉の通りに、鴉隊の執務室に足を踏み入れる。

 これからお世話に為る先輩方との初めての顔合わせだからな!


「おい貴様! 私の名前を言ってみろ~~~!!」


 俺が初めて執務室に入ってソルフィナ・ザワードから一番最初に掛けられた言葉は“それ”だった。

 え? 何言ってんのこの人。

 室内を見渡すと執務席机の向こうに座るソルフィナ・ザワードと執務机の左右に並ぶ人達が目に入る。

 皆黒のツナギを着ているが、まずは部屋に入ってから見える一番左から。

 40歳ぐらいの日本人(・・・)の女性で黒髪黒目のおばさんだった……流石におばさんは失礼だね。

 黒髪を後ろで簡単に結んだだけの化粧っ気のない顔に少しやる気が無さそうな目をした人で、きっと若い時は綺麗だったに違いない面影が残る妙齢の女性だった……今も綺麗だが。

 左から二番目には、俺と同じ二十歳ぐらいの日本人女性で黒髪をサイドで三つ編みにして眼鏡を掛けた委員長タイプの巨乳……ツナギの上から分かるんだ!爆乳だろうナイスな乳をしたお姉ちゃんだった。

 ヘイヘイ! 君何カップ? って聞きたいぐらいエロ可愛い顔をした人だったが、室内にテレサも居たし女性ばっかしか居ないので敢えて聞かないでおこう。

 べ、別に自分の体裁を気にしたわけじゃないんだからね! ……っすんません!! 俺に勇気が無いばかりに聞く事が出来ませんでした!! しかし熱いパトスを含んだ目線だけは送っておこう!

 そして左から3番目には、昨日俺の部屋のクローゼットの中に居た“ござる語”の美少女が何食わぬ顔で立っていた。

 ようやく会えたな、ござる美少女! 貴様の所為で俺はテレサから死刑判決を渡されたんだぞ!! 俺の……否!! 俺達のイチャラブ時間を返しやがれってんだ!!!

 少しきつい目線を送りそうになるのを必死に押し留めて、目線を執務机の反対に移すと一番右からテレサ、ティナちゃん、カトリアちゃんと並んでいる。

 


「私は天才だ~~! あれ? 間違えたかな?」


 うん、色々間違えている気がしますよ副隊長殿……。


「ザワちん。それじゃ世紀末の強敵達の台詞だよ? 知らない人聞いたら勘違いするから、ちゃんと皆に分かる様に話しようね?」


 ソルフィナ・ザワードの言葉に、執務机の右側に一番近くいたカトリアちゃんが苦笑いのまま突っ込みを入れている。


「へ? そうかな? ってザワちん言うなし!!」


 ソルフィナ・ザワードは少しキレ気味にカトリアちゃんの言葉に食って掛かる。

 へ~、ザワちんって呼ばれると怒るんだ……って言うか、そもそもザワちんって何?あだ名?


「もう、ちゃんとしてください! 副隊長殿(・・・・)!」


 カトリアちゃんがソルフィナ・ザワードに厳しい口調で苦言を呈している。

 え? 鴉隊だとカトリアちゃんのポジションって、そこなの?


「あ、はい。では……ようこそ鴉隊へ!! 西尾 晴武君! 君も知っているだろうが私が鴉隊取り纏め役であるソルフィナ・ザワードだ! ソフィって呼んでくれていいんだぞ? 私もハル君と呼ぶがな!」


 ソルフィナ・ザワード。ソフィは椅子から立ち上がり満面の笑みを浮かべながら両手を広げる。

 何故か自信満々に俺の方に目線を向けてくるが、何でだろう?


「では、隊員の紹介だハル君! 君から見える左からだな! では美貴さん自己紹介、どぞー!」


 ソフィの言葉で一番左の妙齢の女性、美貴さんが俺に目線を向けてくる。


大高 美貴(オオタカ ミキ)だ。よろしく」


 美貴さんは素っ気なく挨拶をしてスグに口を閉じてしまった。

 え、もう終わり? 自己紹介短いタイプの人かな? 全然情報投下されてなんですけど。

 俺が美貴さんに目線を向けていると隣に居た爆乳委員長タイプの眼鏡の子が話し始める。


「私は橋本 玲(ハシモト アキラ)です。墜ち子としてエルドランドに来て5年ぐらいになります。スキルも何も持ってませんが、よろしくお願いします、西尾さん」


 爆乳委員長タイプのエロ可愛い子は玲ちゃんね! OK覚えたよ! 大丈夫、心配しなくてもいいよ! 君はスキルを持って無いかもしれないが良い物(・・)持ってるぜ! 玲ちゃんに笑顔を向けようとしたら、視界の端に鬼の形相を浮かべたテレサが映る。

 ははっ、分かってますよ……テレサ様! まだ色目使ってないんだから死刑判決だけは、死刑判決だけは見逃してくだせぇ!! オラは悪くねぇ、オラは悪くねぇだ!! 悪いのは玲ちゃんのパイオツですだ!! たわわに実った果実がいけねぇんでさぁ!! だからGO・U・RA・Iという電気椅子は勘弁してくんろぉ~!! 俺は玲ちゃんに向けるはずだった笑顔を咄嗟にテレサに向け無実だとオーラを飛ばす。

 テレサもテレサで分かってくれたのか俺に笑顔を返してくれたが、口が『ギルティ』って形に動いたのをしっかり両目で見てしまった……。

 酷い……これは夢だ……夢に違いない……。

 ところがどっこい! これが現実なんですよ! 夢じゃ無いんです! そう! これが現実……。

 あかん、早くも今日一日鬱になりそうだ俺。


「私は、拙者はエルミア・ホールカント。元0番隊でござる! エルと呼ぶといいでござるよ! まぁ、一応諜報系に使えるスキルを持っているでござるよ」


 おぅ、覚えたぜ! エルさんよ。ぜってー仕返ししてやんからな! あの時の『轟雷』は死を覚悟するほどの威力だったからな! エル、俺はお前を許さない絶対にだ! ……まぁ、俺様もガキじゃないからよ。

 そう! ガキじゃないから大人として、その巨乳揉ませてくれるなら許すけどよ!! も・ま・せ・ろ~!! 俺はエルの胸に熱い目線を向ける。

 もう死刑判決下ってるから、後の事はどうでもいい☆はっちゃけるぜ!! あぁ、ナイス巨乳だぜ!!


「ハル君も知ってるかもしれないけど、私はカトリア・バーナードです。気軽にカトリアって呼んでね。皆のバックアップとして厨房担当で~す! よろしくね」


 はい、爆乳天使ことカトリアちゃんですね、分かります! くぅ~、誰にも真似の出来ない胸のデカさ……そこに痺れる! 憧れるぅ~!!

 ここでもカトリアちゃんの飯食えるって素晴らしいです!


「ティナです。元1番隊所属です、一応顔合わせは前に終わってますが改めて、よろしくお願いします。西尾さん」


 OK! 分かってますよ! ティナちゃん! ホルスタイン級のパイ☆オツの持ち主の“漢の希望の星ですよね”キラッ☆彡


「テレサです。ハルの彼女です!皆分かってるでしょうが、私の彼氏(・・・・)に手を出さないでね」


 テレサさん皆の前で何て事言ってくれてんの? あ~、玲ちゃんが俺から興味を失ったように目線を外してる。

 くっ、今は状況が悪い! 後日改めて話をしなければ!! 勘違いしたらダメですよ、玲ちゃん!


「ハル君を入れて7名に為る、これが鴉隊だ! 何か有れば、何でも知っている3番隊副隊長で鴉隊の取り纏め役である私ことソルフィナ・ザワードに聞くがいい!!」


 皆の自己紹介が終わってから何故か自慢げにソフィが執務机の前で腕組をしながら俺に笑顔を向けてくる。

 うん、今は鴉隊(・・)の方では問題は起きてないけどね?


「あ、因みに。ザワちんは頭悪いので、少しでも頭良く見せる為に白衣を着込み、視力も良いのに伊達眼鏡を掛けてるから少しは知性派に見えるけど、見た目で判断して相談しようもんなら後で必ず失敗……酷いしっぺ返しが待ってるから絶対に頼ったらダメだよ」


 ソフィの言葉の後、スグにカトリアちゃんから追加の説明が入る…。


「だからザワちん言うなし!!」


 ソフィはカトリアちゃんに鬼の形相を向けているが、カトリアちゃんは何食わぬ顔で視線を受け止めている。

 了解しました!エレナさんも問題児って言ってたし気を付けます!



 こうして俺と鴉隊の隊員達との初めての顔合わせは終わった。

 今日から俺は鴉隊の一員として頑張っていくぞ!

 まぁ、エレナさんの言っていた通り癖が強そうな人たちの集まりですね。

 今後どうなっていくやら……。

 まぁ俺は当分の間、冒険者の方で勉強だから今は置いておこう!

ふっ、どんどん収拾がつかなくなっていくぜ!

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