第3話 朝一の〇〇!
俺とテレサは気絶して白目を晒した3番隊副隊長ソルフィナ・ザワードを廊下に残したまま、今後俺がお世話に為る部屋に辿り着いていた。
部屋自体は物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンと同じく質素な部屋だったが、そんなに大きくないがクローゼットが付いてベットが少しばかりか大きくなった。
クローゼットに服を収納できるだけでも有難い、ケンロウモンの時は机の上に服置いてあったし今後この部屋が俺の拠点になるのだから少しは収納スペースが存在するって事は素直に嬉しい。
「じゃ、私一旦部屋に戻って着替えてくるわ。ハルも持ち物少ないかもしれないけど服位収納して置いたら?」
テレサは俺の部屋の案内が終わると、さっさと着替えに俺の部屋から出てテレサの部屋に行ってしまう。
隊長がテレサは俺の部屋の近くって言っていたはずだから後で部屋の場所を聞いてみようかな?
べ、別にやらしい事する為に聞くんじゃないからね! ……御免なさい、正直に言います。
やっぱ今後の為にテレサの部屋の場所聞きます。
やっぱ部屋の位置知ってたらラッキースケベ的なイベントに遭えるかもしれないだろ? 女性の方は切実に分かんないかもしれないが、男性なら俺の気持ち理解してくれるだろう。
取り敢えず俺は数少ない持ち物である服をクローゼットに仕舞う為、服を持ちクローゼットの前に移動しクローゼットの扉を開けてたら……下着姿の巨乳な黒髪の可愛い子が入っていた。
俺は一旦クローゼットの扉を閉め、あれぇ? 俺選択肢何か間違えたかなと頭の中に疑問符を沢山浮かべながら再度クローゼットの扉を開き中身の確認をする。
そこには先程と変わらず純白の下着だけを身に纏った巨乳な黒髪で黒目が印象的な美少女が居た。
……え? 何で下着だけ身に纏った美少女が居るの? 俺と美少女は数秒見つめ合ったまま動けなかった。
それよりか今クローゼットの中に下着姿の美少女が居るって事の方が一番の問題だろ。
俺は咄嗟に叫びそうになるところを美少女が慌ててクローゼットの中より手を伸ばした事により口を塞がれてしまう。
美少女が手を伸ばした際フローラルな匂いがしてきたのを俺の鼻は逃がさなかった。
うん、いい匂いだ! 美少女の匂いとはこうでなくてはな!
「お主、中々やるなでござるな! 私の隠形を見破るとは!」
え? 隠形? 何言ってるのこの子? それに生で“ござる語”聞くの人生初だわ俺。
「むーむーむむー!!(君誰だよ!!)」
俺は口を塞がれながら抵抗をしてみる。
「ふふっ、私でござるか? それは今は秘密でござる!! それよりも、こうも簡単に侵入が見破られるとは! 今日のとこは引き上げるとするでござるよ西尾殿!! ニンニン!」
下着姿の黒髪の美少女は、俺にそう言うとクローゼットの中から姿を消し去る。
今まで目の前に居たはずなのに瞬時に姿を消すって凄いな。
「なんだったんだ今の?」
いきなりの事で俺の頭は全然働いてくれない。
それに相手は俺の名前を知ってるようだし、何が何やら。
何故クローゼットの中に下着姿のござる美少女が居たのかえさえ分からず仕舞いで俺は部屋に一人残される。
でも、近々会えそうな気もしない事も無い、きっと俺の名前を知っていているとなると3番隊、それも鴉隊の可能性も有るしね。
今は追及しようにも相手が居ないし、ここは黙っていよう。
「あれ? 今誰か居た?」
いきなりノックも無しに元の姿に戻って着替えてきたテレサが疑問符を頭の上に浮かべつつ部屋を見渡しながら入ってくる。
コラコラ、せめてノックぐらいしなさいよテレサよ。
テレサは皆が着ていた茶色い兵士服では無く黒いツナギに着替えてきていた。
元の姿での行動の許可が出たから、早速封印解除してきたんですね。
「いや、誰も居ないよ?」
俺は先程の事は無かった事にしてテレサの質問に答える。
そもそもクローゼット開けたら下着姿の美少女が居ましたって言っても誰も信じてくれないだろうしな。
テレサは、それでも部屋の中に視線を巡らせ納得行かない顔で俺に目線を向けてくる。
……エレナさんにしろテレサにしろ色々勘が鋭い気がしてならない。
「それよりも着替え早かったなテレサ?」
俺はテレサの意識を逸らす為言葉を掛ける。
「うん。ハルにとっては脱がす楽しみが減っちゃうけど、後々面倒かと思って下着は着けずにツナギだけ着てきたよ♡ このチャックを下ろすと私の肢体はハルの目の前に晒されるわよ~」
テレサは挑発するようにチャックに指を掛け俺に悩ましげな目線を向けてくる。
よろしい、ならば戦争だ!! 俺はさっさと服をクローゼットの中に置きテレサの手を引きベットまで連れていく。
テレサは俺に熱い目線だけ送って素直に付いて来る、こんな時のテレサってメッチャ可愛いと思ってしまう俺ってテレサに色々操られてる感じがします! 俺はツナギのチャックに手を伸ばしてゆっくり下げようとしたら、
「ん? ハル、さっき私聞いたよね誰か居たかって? ハルは誰も居ないって言ってけど、なんでハルから別の女性の匂いするのかな? かな?」
テレサはチャックを下ろそうとしていた俺の手を掴み、どす黒いオーラを纏いながら俺に目線を合わせてくる。
……嘘だろ? さっきの美少女との接触は数秒足らずだったはず! 匂いが俺に移るはずがないだろ? 俺は背中に冷や汗が流れていくのを確かに感じた。
「そ、それは。テ、テレサの勘違いだよ?」
俺は笑顔を浮かべてテレサの目線に答えるが、テレサは一切目線も表情も笑ってなかった。
アカン、このままじゃアカンパターンになってしまう。
ここまで来たのに!
「はい。ギルティ」
俺の必死の目線での訴えはテレサにとっては罪を認める事と同義だったらしく、今までのやり取りが嘘だった様に笑顔を浮かべ俺の手をしっかり握ってくる。
あぁ、また某マンガの主人公みたいに電気流されるのね……某マンガみたいに!!
「封印“中”解除『轟雷』!! 今度はハルが気絶するまで終わらないから!!」
俺の死刑判決は今決まった。
「だっちゃ!!」
「アババババババババババババババババババババ!!」
俺は薄れゆく意識の中でクローゼットの中に居た下着姿の美少女を恨もうと心の中で思った。
すべては貴様の所為だからな!! 本当はテレサとイチャラブだったはずなんだよ俺は!! 何で王都まで来て気絶しないといけないんだよ俺は!!
俺はテレサから流される電流に次第に意識を刈り取られてしまった。
瞼に日差しを受け俺の意識は次第に覚醒に向かっていく。
あぁ、またも気絶して朝を迎えるパターンですか。
俺は後何回繰り返せば、このパターンから抜け出せますかね? 次第にハッキリとしていく意識で考える。
意識がハッキリしていく中で隣に誰か居るのに気付く。
俺はテレサが添い寝をしてくれていると思い瞼を閉じたまま身体に抱き付く。
俺の顔の位置が丁度胸の谷間に行くように調整して顔を谷間に埋める。
お? 顔に当たる胸の弾力と肌触りが良い布の感触と鼻腔を擽る良い匂い。あれ? テレサ下着を着てないって言ってたよな?
俺は顔に当たる胸と少し硬いが肌触りが良い布の感触を楽しみながら瞼を開けると目の前に広がるは褐色の肌と、その肌に良い具合にマッチした白い下着だった。
俺は今誰に抱き付いている?テレサは褐色の肌では断じて無い! 俺は内心大変焦りながら、恐る恐る双丘から顔を離し胸の谷間から目線を上げる。
俺の目線の先には満面の笑みを浮かべた3番隊副隊長ソルフィナ・ザワードの顔があった。
「なんでやねん……」
あまりの事に偽関西弁で突っ込みを入れてしまった。
俺はテレサに抱き付いていたものとばかり思っていたが、実際抱き付いてしまっていたのはソルフィナ・ザワードだった……。
「おはよう、ハル君? 朝から積極的だね君は。私も居るはずの無い恋人の部屋に忍び込んでしまったのかと一瞬勘違いしてしまいそうだったよ?」
ソルフィナ・ザワードは悪戯が成功した子供のような笑顔を俺に向けながら話してくる。
「なんで副隊長が俺のベットに寝てるんですか! それも下着姿で!」
俺は今の状況に適応出来ていない為、ベットシーツを跳ね除け慌ててソルフィナ・ザワードから離れ、彼女に問い掛けつつ自身の恰好を確認した。
OK、服は着ている。これで事後の可能性はかなり低いと思われる。
「ん? それはな、君に鴉の制服であるツナギを持ってきたら、君が幸せそうに寝ていたから少し悪戯のつもりでベットに潜り込んでみたんだが?」
「下着姿で?」
俺はソルフィナ・ザワードの恰好について突っ込みを入れるのを忘れない。
「この格好か? 目覚めるだろうハル君への朝一番のサービスシーンの提供だ! どうだ朝から眼福だろうハル君? 自分で言ってしまうのなんだが、私はエロい! 褐色の肌に純白の下着! このコンストラクションは最強だと私は自負している! どうだムラムラ来るだろう? いいぞ、存分に脳内保管をする事を許可しようではないか!」
ソルフィナ・ザワードは俺の前で色々なポーズを取り始める。
おぉ、素晴らしい! 何気に眼鏡を掛けているのもポイント高いです! あなたは巨乳のエロい堕天使や! 俺を堕落させる気満々ですね!! 流石巨乳で眼鏡なだけはある! あ、眼鏡関係ないか。
俺は彼女の官能的なポーズのすべてを脳内に保管すべき全身全霊で焼き付けていると、俺の部屋の扉が開いたのが横目に映る。
「ハル起きた~?」
テレサが俺の部屋に入ってきた、君はなんてタイミングで俺の部屋を訪れてくるんだ! 今は大変不味い状況だ!! 何故今来るんだよ!! テレサはベットの上で官能的なポーズを取り続けるソルフィナ・ザワードを見て、顔に青筋をたてている。
はい、昨日に続き又も俺の死刑は決まった。
「……おい! 何でハルの部屋に貴様が居る!!」
テレサは未だ官能的なポーズを取り続けるソルフィナ・ザワードに怒気をたっぷり含んだ声を出しながら問い掛けている。
うん、怒ったテレサって怖いよね、って言うか怒った女性って怖いよね。
ソルフィナ・ザワードがテレサに目線を向けた時、テレサは問答無用に鴉隊取り纏め役で尚且つ3番隊副隊長に殴り掛かっていった。
昨日も思ったけど、テレサよ……君の上司だよ? 気安く殴っていいのかい?
「フッ、そんな攻撃当たらなければ問題無い! げふぅ!!」
ソルフィナ・ザワードは格好良いセリフを吐きながらテレサのパンチを左頬でしっかり受け止めている、そこは避ける場面じゃないんですかね?
「待てテレサ! 今日は色々不味いから殴るのは一発限りで許してくれ! 謝るから! ね?」
ソルフィナ・ザワードは左頬を抑えながらか必死にテレサに提案をしている……テレサはテレサで二発目のパンチを放つ構えのまま動きを止める。
「調子に乗って、すんませんっした!!」
ソルフィナ・ザワードは副隊長として、否! 鴉隊取り纏め役として、又は人間としてのプライドを脱ぎ捨てベットの上で土下座を部下であるテレサに向かってしている。
うん、この人一応俺達の上司だよね? こんなに簡単に土下座する人初めて見たわ。
「で、何しにハルの部屋に来たの?」
テレサは少しも怒気を隠そうとしないまま、ソルフィナ・ザワードに問い掛けている。
「そうそう! 私はハル君に制服を持ってきたんだ!」
ソルフィナ・ザワードは下着姿のまま慌ててベットから降り、机の上に置いてあった黒のツナギを俺達に見える様に広げてみせる。
「全てのコスモ、このツナギに込めた! さぁ、着込むがいい!!」
ソルフィナ・ザワードは下着姿のまま俺にツナギを渡してくる。
なん……だと……? 全てのコスモが込められているだと!!
「ガイアが俺にもっと輝けと囁いてる気がするぜ!!」
俺はソルフィナ・ザワードの変なテンションに引っ張られ、ついつい変なテンションで受け応えしてしまう。
「そうだろう、そうだろう! そのツナギこそ我々鴉隊にとっての聖衣だ!!」
俺はツナギと言う名の聖衣を両手で握りしめた後、二人の前で着替え始める。
「あんたも下着姿のままじゃなく服着ろ!!」
テレサは冷静にソルフィナ・ザワードの恰好について突っ込みを入れている。
ちっ! もう少し脳内保管したかったが仕方ない。
俺とソルフィナ・ザワードが服を着込むのを仁王立ちのままのテレサが見守る。
そんなに怒んなくてもいいのに、可愛い顔が台無しだよテレサ?
「「はい、着替え終わりました……」」
俺とソルフィナ・ザワードの声を聴きテレサは漸く仁王立ちのポーズを解く。
「さて、私も渡せる物も渡せたし二人とも今から鴉隊の執務室に来てもらおうか。そこでハル君を鴉隊メンバーにお披露目をしようと思う。では執務室に向かおう!」
ソルフィナ・ザワードは先程のやり取りが無かったように、俺とテレサに目線を向け部屋から出て行く。
うん、なんでそんなに切り替え早いのかな?副隊長殿は。
「……はぁ。行きましょうハル」
テレサは朝から疲れが見える言葉を俺に向け、俺の手を取りつつ部屋から俺を引っ張って行く様に副隊長の後に付いていった。
うん、少し判り辛いネタを話の中に入れてしまった……。まぁ、皆さん気づいてくれていると思いたい!そして〇〇には皆さんが思い付く言葉を当てはめてください、災難だろうが、試練だろうが。そこは読者様の読んだままの感じを当てはめていただければタイトルになります。ではでは!




