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異世界人にとって俺のレゾンデートルは?  作者: 遊司籠
第二章 鴉隊と勉強編
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第2話 副隊長と会う!

第二章 2話始まるよ~!

 物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンから約2日掛けて俺達3番隊の面々は王都フィリアロックに到着した。

 今は入門に必要な身分確認中でエレナさんを筆頭に門兵の前に一列に並んでいる。


「これは、これは。3番隊の皆様方お帰りなさい」


 門兵の一人がエレナさんと俺達に声を掛けてくる。


「はい。ただいま戻りました。こちらでは何か問題でもありましたか?」


「ははっ、こちらは平和な物ですよ。まぁ堅牢地神(ケンロウジシン)様が不在で少し不安にはなりましたがね」


 門兵は笑いながらエレナさんの質問に答えている。

 ……堅牢地神?

 俺は門兵の言葉が気になり相も変わらず俺の近くに、丁度後ろに居たテレサに聞いてみる事にした。


「堅牢地神ってエレナさんの事?」


「そうだよね、ハルは知らないよね。王都フィリアロックに住んでる人たちからエレナ隊長は堅牢地神とか紅の守護者とか色々な二つ名で呼ばれてるんだけど、その中でも一番有名な二つ名かな?」


 ほぅ、二つ名とな。

 エレナさんに二つ名があるなんて少し格好良いな。


「で、堅牢地神ってのは大地を司る神で、万物を支えて堅牢なんだって。なんでエレナ隊長が堅牢地神って呼ばれているかって言うと2年前だったかな? 王都フィリアロックにモンスターが大氾濫を起こして大軍で攻めてきた事件があってね。その時エレナ隊長1人で王都フィリアロックの守護に当たって、一つの“スキル”でモンスターの攻撃から城壁に傷一つ付けないで王都フィリアロックを守り切ったのよ。私は当時1番隊でモンスター討伐に動いていたけど、あの時のエレナ隊長は凄かったわ。それからエレナ隊長はモンスターの攻撃からホーネスト王国の大地を、王都フィリアロックに住む人々すべてを守ったスキルの堅牢さから堅牢地神って二つ名がついたのよ。ここに住む人はエレナ隊長が我々の生活を支えてくれる大地の神様みたいに感じられるんでしょう」


「え? なんだって?」


 俺はテレサが言ってた事が凄すぎて、ついつい鈍感系主人公みたいな事を言ってしまった。


「ハル、聞こえてんでしょ。そんなボケは要らないわ」


 テレサは分かってるようで、俺の言葉はボケ扱いで終わってしまう。

 しかし、スキル一つで王都フィリアロックを守り切れてしまうなんてエレナさん凄いな。

 俺はエレナさんが言っていた『私以外の隊員が、防御系に対して私以上の強力なスキルを持って無かった』って言葉を思い出した。

 そりゃあモンスターの攻撃から城壁にすら傷一つ残さず王都を守れるスキル以上のスキルなんてあるのか? 俺は王都フィリアロックが大きいのは城壁を見ているから知ってる。

 ここを一人で守り切れるって事は必然と3番隊隊長になりますよエレナさん。


「すまん、すまん。我らの隊長殿の凄さに、ついボケてしまった」


 俺はテレサに軽く謝る。

 謝ってから少し前を確認したら俺とテレサの会話が聞こえていたのかエレナさんが顔を赤くして俺達を見ていた。

 ここまで門兵の話声が聞こえてくるんだ、俺達の会話も聞こえるだろう。

 きっとエレナさんの顔が赤いのは照れているのか、恥ずかしいのどっちかだろう。


「ほら、さっさと中に入りましょう!」


 エレナさんは照れ隠しなのか声を少し張り上げ3番隊の面々に声を掛けている。

 門兵の指環による身分確認が終わった隊員たちが自分が乗ってきた馬車に次々と乗り込んでいく。

 俺も門兵の指環による身分確認を終え再度馬車に乗り込み、隊長が全員の乗り込みが終わったのを確認してから王都フィリアロックの中に馬車が二台連ねて入っていった。

 王都フィリアロックの中は、物資運搬中継用城壁都市ケンロウモンよりも綺麗に整備されていた。

 もう凄すぎて何て言ったらいいのか、建物はケンロウモンより大きい物が立ち並び歩道を行き交う沢山の人達、俺の数少ない言葉では凄いの一言に尽きてしまうのが悔しいくらい発展した街並みだった。

 地球のオフィスビルみたいな建物まであるよ……ここ。

 道路も道路で片側二車線の計四車線、そして道路には馬車以外にもエレナさんがゴブ郎に会いに行く際使ったバイクみたいな物やワンボックスカーみたいなのが走ってる。

 ここが異世界なのか疑えるくらい乗り物発達してるのに普通に馬車も使ってるのねホーネスト王国の皆さん。


「何で異世界なのに車とか走ってんの? これなら馬車いらないでしょ?」


「今道路を走ってる車や私が使っているバイクは魔力を燃料にして動いているの。でも皆が皆魔力がある訳じゃないし、魔力があっても車やバイクを動かせる程魔力量がなかったりして移動用の乗り物を統一できないの。これは仕方がない事よ」


 俺は疑問に思った事を口に出していたようでエレナさんが説明してくれた。

 そうだよね。俺とかも魔力あるのか分からないが、もしなかったら魔力が要らない移動手段欲しくなるものな。


「因みに車など魔力で動く乗り物は、頭に魔導式って言葉が付くのよ! 車なら魔導式自動車って感じにね!」


 聞いてもいないのに俺の隣に座るテレサが俺達の会話に入ってきて自慢げに相変らず無い胸を張って説明をしてくれる。

 エレナさんは苦笑いを浮かべながら俺との会話を打ち切り馬車の御者席に座るエトワールさんのとこに行き横に座り二人で何やら会話を始めてしまった。

 テレサが会話に入らなかったら、もっとエレナさんと会話できただろうに。


「ほらハル、話の続き! 何か聞きたい事ない?」


 テレサはエレナさんが御者席の方にいった為か満面の笑みを浮かべ余計に俺に引っ付いてくる。


「あらあら。ハル君はテレサのお気に入りなのね」


 俺に引っ付いてきたテレサを見ながらカトリアちゃんが言ってくるが、俺は()の様に引っ付かれるならカトリアちゃん又はティナちゃんのような自己主張し過ぎな膨らみを持つ……、爆乳ガールズの方がいい!! 決して俺は幼女スキーヤーでも無いしチッパイニスト(俺的造語で主に貧乳(・・)を愛して止まない紳士を指す)でも無いから!俺は貴女の……、そう! お姉様方々の()の虜にてございます!


「ハル」


 テレサが俺にだけ分かる様に物凄い殺気を向けてくる。

 なんですかその殺気は! 俺は元の姿(・・・)のテレサなら虜になってあげよう、いや俺は既に元の姿のテレサには虜かも。

 なにせ元の姿のテレサは姉であるティナちゃんに匹敵するほどの爆乳な上に手触りは最高品質……プレミアム級だしね。

 そこに更に大人の色気を完全に身体に纏えればモンドセレクションでの最高金賞も夢では無いだろう! そうすれば『香り 手触り(コク) 余韻』のキャッチコピーを付けてあげようではないかねテレサ君!


「あ、うん。今ハルがやらしい妄想してるのは顔見たら分かるわ。ハル、鼻の下伸びてるわよ」


「え! まじでか!」


 俺はテレサの突っ込みに咄嗟に鼻の下を両手で隠し、そっとティナちゃんとカトリアちゃんの方に目線を向けるとティナちゃんは苦笑いを、カトリアちゃんは面白い物を見れたって表情をしてる。

 これからは鼻の下が伸びない様に妄想ワールド(漢の浪漫)を発動しなければいけないな、如何に無表情で素早く素晴らしいエロい世界を脳内で展開出来るかは今後の課題だし必須スキルになる事は間違い無いが飽くなき追求の結果、俺の枠有表示のスキル欄が“妄想”系で埋まらない事を祈ろう。


「皆もうすぐ兵舎に到着します! 今回の任務同行お疲れ様でした、今日はゆっくり休んでください。ハル君の部屋は兵舎一階の一番奥にします。そうですね、テレサ案内してあげて。丁度テレサの部屋の近くだから問題ないでしょ?」


 エレナさんは御者席から馬車内に労いの言葉とテレサに道案内の旨を伝えてた。


「はーい、了解です。今から2人でイチャイチャする? ハル♡」


 テレサはエレナさんに了解の返事をしつつ、最後の方は俺にだけ聞こえる様に耳元で誘惑の言葉を囁いて来る。

 くっ、元の姿に戻って迫られたら俺の理性と言うダムが決壊してしまう! ……まぁ、ダム決壊は俺としても大いに歓迎ですけどね。

 是非ともテレサから先に理性のダムを決壊させて欲しいものです。


「兵舎に着きましたよー」


 俺がフリーダム且つフリーにダム決壊について妄想を拡げようとしたら馬車が止まり、御者席のエトワールさんから馬車内に声が掛かる。

 隊長の言葉から数分も経ってないけど、もう着いたの?

 馬車から降りるティナちゃんとカトリアちゃんの後に続き、俺とテレサも馬車から降りると目の前にはケンロウモンで見た兵舎の倍はあろうデカさの綺麗な兵舎があった。 ここが王都フィリアロックの俺の拠点になる兵舎か、俺ここで迷える自信があるよ。


「さて、部屋案内するわ。行きましょ」


 そう言ってテレサは俺の腕に無い胸を押し付けつつ案内を始めた。

 俺はテレサの案内についていき玄関になるだろう所を越え、どんどん奥に向かって廊下を進んでいると丁度廊下の真ん中に仁王立ちした人がいた。

 その人は、褐色の肌で銀髪をショートにした女性だった。

 知的な顔立ちにフレーム無しをメガネを掛け、白のブラウスに黒のプリッツスカートを履き、その上に白衣を掛けた如何にも学者とか医者っぽい雰囲気を纏っているが、この人もブラウスの上からも簡単に分かるぐらい爆乳じゃないですか!  やっべ! エルドランドやっべ! 巨乳天国じゃないかね異世界は!


「くくくっ! 君が新人君かね!! ん~、ようこそ3番隊へっ!」


 その女性は俺でも分かるくらい好奇心が滲み出た目線を向けてくる。

 ん? 俺を新人って知ってるのかこのお姉様は? 俺がお姉様の質問に答えようとしたら、問答無用でテレサが俺の手を引き女性の横を通過してしまう。


「ちょ、何無視してくれてやがりますかテレサ!」


 銀髪のお姉様は声を荒げ、慌てて通過していった俺達の方に振り返ってきた。


「西尾 晴武の副隊長との顔合わせは私が聞いてる話だと明日となっておりますので、今日は休ませて頂きます。これは隊長指示でもありますので、ご了承ください」


 テレサは副隊長と呼んだ女性に疲れたような表情を向け事務的な言葉を掛けている。

 えっと、この人が3番隊副隊長ソルフィナ・ザワード? 知的な美人さんでパッと見た感じ大人って雰囲気だし色々問題起こしそうな人には見えないんだけど……。


「くっ、エレナめ! 私は久々に鴉隊に新人が入って来ると、3番隊の皆が返ってくると王都帰還の報を聞いた夜から嬉しさの余り、ここで新人君を待ち続けていたのに! なぁテレサよ……私と新人君に時間をくれまいか?」


 えっと、隊長が王都帰還の連絡を何かしらの方法で軍にしていたとして、ソルフィナ・ザワードは嬉しさの余り、ここで俺が来るのを待っていたって事なのか? もし、もしにだ物資運搬中継用城壁都市ケンロウモン出る直前にエレナさんが軍に連絡を入れていたら、ソルフィナ・ザワードは約2日ここに立ってる事になるよな……まさかな?


「いえ。休ませて頂きます。いくわよハル」


 テレサはソルフィナ・ザワードの言葉に冷たく返事を返している。

 言っちゃなんだが君の上司で3番隊副隊長って偉い地位の方だよテレサ。

 少しは会話に取りつく島を持たしてあげようよ。


「くっ、テレサ! 私はここで2日待ったんだ! そんな私に少しでも新人君との時間をくれてもいいだろう! あ、無視して部屋に向かうな! それでもテレサ、君は血が通う人間か! ……テメェーの血は何色だーーーーーーーーーー!!」


 テレサがあまりにもソルフィナ・ザワードの話を無視して俺を部屋まで案内しようと手を引き続けていると、ソルフィナ・ザワードがキレてテレサに殴りかかってきた。


「赤に決まってんだろ!!」


 テレサはソルフィナ・ザワードに殴り掛かられる前に、ジャンプして彼女の左頬を目一杯殴る! って殴っていいのかよ上司を。


「きゅぅ」


 ソルフィナ・ザワードはテレサのパンチを左頬に受け気絶したのか白目になり仰向けに倒れる。

 おいおい、パンチ一撃で仮にも副隊長を倒してしまったぞテレサは。

 この人は確かエレナさんの話だとエレナさんの次に防御に優れているじゃなかったのか?


「ふんっ、魔法畑の人間が肉体戦闘畑の人間に喧嘩売って来るとは呆れるわ。じゃ、部屋に向かいましょハル♡」


 テレサはソルフィナ・ザワードを一瞥し再度俺の手を引こうとした時、俺は不意にいい臭いがする柔らかい物に抱きしめられた。


「逃がさない、逃がさないわよ新人君」


 そんな! さっきまでそこで気絶して倒れていたはずのソルフィナ・ザワードは、いつの間にかゾンビの如く気絶から回復し俺に抱き付いてきていた。

 怖い! けど、もっと胸を押し付けてください! その豊満な胸を背中一杯に感じさせてください!


「ちっ! ハルも背中にオッパイが当たってるからってデレデレしない! そして寝てないんでしょ副隊長! そんなゾンビみたいにフラフラになって!! こうなったら封印“中”解除『轟雷』! お約束の~、ダーリン!」


 え? ちょ! 待ってーーーーーー!! テレサ様待ってください!! 俺は直ぐにテレサから手を離そうとしたが間に合わず身体中に電気が走る!


「アガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!」


「アババババババババババババババババババババ!!」


 俺とソルフィナ・ザワードは同時にテレサの電気によって痺れる。

 これはアカン奴や! 洒落になってない威力の電気ですよテレサ! 俺は何とか耐え凌いでいたが、ついにソルフィナ・ザワードが倒れる。


「ふん! 私()の勝ちね!」


 寝ていなくて体力が無かったのだろう、白目になって気絶している副隊長殿に両手を合わせつつ俺はテレサに非難の目を向けたが、テレサは全然気にした様子も無く俺の手を引いて歩き出す。






 廊下には白目を剥いた残念美人の3番隊副隊長ソルフィナ・ザワードだけが残された…、心優しい誰か彼女を介抱してくれることを切に願う。

今回は少し早く更新出来たと自分的には思ってます。いつも私の作品を読んでくれる皆様方に感謝です。もし読者の方々に少しでも私の作品が面白いと思っていただけると大変嬉しい限りです。

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