10話 本当の戦闘!
ようやく10話更新できました~!
「ハル君、ゴブ郎さんと顔見知りなの?」
エレナさんは驚いた顔から一転、真面目な顔をして俺に問い掛けてくる。
俺とゴブリンことゴブ郎の出会いをなんて説明すればいいのやら。
今俺は3番隊所属でエレナさんの部下として同行してきたのに、ゴブ郎と初めて会った時に俺から手を出して返り討ちにあいましたって言えない。
このままだとエレナさんのゴブ郎スカウトに支障が出てしまうかもしれない、やばいな。
「それに喧嘩を売った? どうゆう事かしら?」
「そら~、ネーちゃん。ワイがここに出てきたら、久々に見るスーパーの袋があってな、スーパーの袋の中身確認してたら、そこな坊主が無防備なワイを蹴ってきたんよ。いやぁ~、ワイをゴブ郎と知ってか知らずか普通初めて会う奴蹴らんやろ? ついつい返り討ちにしてしまったわ」
エレナさんはゴブ郎の説明を聞き、立眩みを起こしたように一瞬よろめき青い顔をして俺を見てる。
近くにいるテレサに目線を向けると、テレサも呆れたような顔と軽蔑の目線を俺に向けている。
「いや!! 誤解ですよ! 初めて異世界来て目の前にモンスターいたら自己防衛の為戦うでしょ普通!」
俺は必死に弁解をしてみるが、現状不味い状況なのには変わりない。
例えるなら会社の課長が有能な人をヘッドハンティングする為、新入社員を連れて会いに行ったら課長の知らないとこで新入社員が入社前に有能な人に喧嘩を売っていたみたいな。
相手の心象も悪くなり課長も知らなかった為対応できない、そんな状況でヘッドハンティングは成功しないだろう。
全て新入社員が無礼を働いたことによりヘッドハンティングは失敗、悪いのは新入社員って事になる。
新入社員=俺って事になり今正しくエレナさん、またはホーネスト王国のゴブ郎スカウトは失敗の一途を辿ってしまうだろう。
例え俺が軍所属前にやってしまった事でも相手にとっては関係ない、今の俺は3番隊所属の兵士なのだから。
「ゴブ郎さん、私の部下が大変失礼しました。都合のいい話と思いますが、その件につきましては一旦水に流して頂いた上で再度交渉させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
エレナさんはゴブ郎に俺の無礼を詫びつつ俺の頭を押さえつけお辞儀の恰好にさせ自分も一緒に頭を下げる。
頭を下げた状態で横目にテレサも頭を下げているのが見える。
俺の所為で上司と同僚に頭を下げさせるのは申し訳ない気持ちで胸が一杯になる。
「別にかまへんよ。隊長の部下が何しようと首は縦に振る気なんざ初めから無いんよ、ワイは。頭下げてもらう必要もない。」
ゴブ郎はこちらのスカウトに応じる気は初めから無い事と俺の無礼の事を気にしないと言っているが、エレナさんは納得して無い感じでゴブ郎を見ている。
ゴブ郎はゴブ郎で何考えているか分からない顔でこちらを見つめ返してくるが、相手は人間じゃなくモンスターなので表情を読み切れない。
「まぁ、ここで立ち話もなんやから俺の住まいに行こうか。今日もネーちゃんの話くらい聞いてもええよ。首は縦に振らんけどな、取り敢えず俺の後ろ付いてきーや」
ゴブ郎が割れた空間の中に入った後をエレナさん、俺、テレサの順で割れた空間の中に入って行く。
割れた空間に入って俺はかなり驚いた。
荒野から一変して一面緑の森が広がっていたからだ。
まるでケンロウモンの近くの森みたいに自然豊かで緑に溢れている。
「すごいですね。今まで荒野に居たなんて思えませんよ。ここはどこなんですか?」
俺の疑問に一番先頭を歩いていたゴブ郎が俺らの方を向かずに答えてくれる。
「ここはな、ワイのユニークスキルで作った空間なんよ」
「ユニークスキルですか?」
俺はスキルを持って無いが、もしスキルで空間を作れるなら凄いと心の中で思ってしまう。
「ハル君は最近こちらに来たんでしょ? 知らなくて当然よ。先程までいた荒野は10年前までは大森林地帯だったんだけど誰かさんが荒野にしたのよ」
エレナさんが含みを持たして会話に入ってくる。
「まぁ、誰かって言うんはワイやけどな。もうこの際何も知らん新人君もおるし、王国の隊長さんにも教えたるわ。この空間な、ワイのユニークスキル『楽園』で作ってん。『楽園』はな、ワイが許可するものを空間一枚ずらして存在させることが出来るんよ。言ってる意味分かるか?」
先頭のゴブ郎が歩みを止め振り返り笑顔を浮かべている。
ゴブ郎が足を止めた為、俺達も止まる。
エレナさんの含みに対して、あっさり自分がやったと大胆不敵に白状するゴブ郎。
俺はエレナさんの後ろにいるがエレナさんから緊張が伝わってくる。
「空間一枚ずらす?」
俺は無知ゆえにゴブ郎に突っ込んで質問する。
「そや。ワイの『楽園』の広さは、ワイ自身でも正確に把握してる訳やないけど、ある程度の広さの空間をワイが作った空間に移す事が出来るんよ。簡単に言うとなエルドランドに対して、まず重ねる様に空間を創造してワイが許可した物だけを内包したまま空間をスライドさせるんよ。これでエルドランドに隣接する空間の出来上がり~。まさにワイにとっての『楽園』やな。で、ワイは緑豊かな大森林とワイらの同胞であるモンスターだけを許可してここに移したんや」
ゴブ郎は得意げに話をしてくる。
俺の直感だが、きっとゴブ郎は言いたくて仕方なかったんだと思う。
こんなに簡単にスキルの内容教えてくれているのが何よりも証拠だと思うが、自分が許可する物・者で出来た空間か……ある意味で楽園だね。
「ハル君。我が王国では、この荒野は人為的に作られたと推測されてたんですよ。一瞬にして大森林消失、後に残ったのは荒野のみ。大規模魔法か何かを誰かが発動したんじゃないかと軍は焦ったそうです。これだけの荒野を作れるって事は転移・転生者じゃないかと当時の0番隊総出で調査をしたら日本語を喋るゴブリンが発見されたそうです。そのゴブリンっていうのが岡島さん、ゴブ郎さんで軍はゴブ郎さんが転生者と断定して0番隊の隊長にスカウトさせに向かわせたんですよ。まさか物資運搬中継用城壁都市ケンロウモン近くまで根こそぎ大森林をスキルでこの空間に移していたなんて」
エレナさんは呆れたとばかりに頭を横に振っている。
実際かなりの範囲が荒野になったんだろう。
俺が歩いた荒野は、見える所全部ゴブ郎が隣接する空間に収めたって事になるんだから。
「まぁな、こっちにも事情があってな。まさかケンロウモン近くまでワイの『楽園』の範囲やとは思わんかったで、ホンマ」
ゴブ郎は悪びれないで答えながら、止めていた足を動かし始める。
正確な範囲は分かってなかったのにユニークスキルを使わないといけない事情ね。
聞いてみたいけど、答えてくれるだろうか? ここは聞かないでおくべきか? どうしよう。
俺は前を歩いてるエレナさんの横に近づき、そっと小声で話し掛ける。
「事情ってなんすかね?」
「なんや坊主、聞きたいんか?」
エレナさんに小声で話し掛けたはずなのに、ゴブ郎が返事を返してくる。
俺はゴブ郎に聞こえないようにエレナさんに話しかけたはずなんだけど、こいつの耳は地獄耳か!
エレナさんが呆れた顔で俺を見ている。
俺だってゴブ郎に聞かれるとは思わなかったんですよ!
「えっと、答えてくれるんですか?」
「そやな、丁度いい機会や。ワイも、そろそろ王国には話しようと思ってたしな」
ある意味、俺はタイミング的に丁度良かったようだ。
ゴブ郎は話してくれるって言うんだから。
「なに、よくある話や。ワイは仲間を守りたかったんよ、ワイらモンスターを狩る人間からな。ワイやって自分がモンスターやって割り切ってるつもりやけど、モンスターは害虫ちゃうねんで? 存在してるだけで狩っていい道理はないんよ」
ゴブ郎は先頭を歩きながら話し始める。
……よくある話ね、人間から仲間を守る為に『楽園』を発動したと。
「なぁ、ネーちゃん。王国は10年前ケンロウモン建設の際ワイらモンスターをどうしたと思う?」
俺は戦闘らしき戦闘はしたことが無いが、ゴブ郎から殺気みたいのを感じる。
喧嘩とは違う体に纏わりつくような重圧に息を呑む。
その中でエレナさんは、この様な殺気に慣れているのか表情は動じずにいる。
「あんたら王国はな、ワイらモンスターいると安全にケンロウモン建設出来んってワイらを狩り始めたんよ。もともとワイらの住処やった大森林なのにな。ワイらは手を出してないのに自国の利益の為に王国は手当たり次第にモンスターハントを始めたわ」
俺はエレナさんの反応を伺う。
今エレナさんは王国の3番隊隊長としてここにいるのだから、ゴブ郎の話には何かリアクションを返さないといけない。
例え10年前の話で、当時エレナさんが軍属でなくてもだ。
「だから王国のスカウトに首を縦に振れないと?」
エレナさんは硬い表情でゴブ郎の背中に答えを返す。
「まぁ、詳しい話も後でしよか。取り敢えず住処に着いたからな」
そう言ってゴブ郎は俺達の方に振り返ってくる。
ゴブ郎の前には大森林の中とは思えない切り立った崖があり、下の方に大人一人通れるかどうかの大きさの穴が空いている。
天然の洞窟といったところか?そしてゴブ郎はこの洞窟を住処にしているんだろう。
「ハル君、テレサ。ここからの話し合いは王国より特務を受けた隊長である私がします。同行を許可しましたが、話し合いにあなた方が参加する必要はありません。席を外してください」
エレナさんは硬い表情のまま俺達に目線を向けてくる。
ここからは俺達隊員は関係ないと、あくまで任務を受けたのはエレナさんだけなのだから今からゴブ郎とする話し合いには首を突っ込んでくるなと。
俺には分からない色々な事情もあるだろうし、ここは素直に隊長指示に従うべきだ。
「分かりました。取り敢えず入り口付近で待機してましょうか?」
「待機はしなくていい。話し合いは長くなりそうなので、この近くを散策でもして時間潰しをしててください。話し合いが終わり次第合流しますから」
エレナさんは俺達に指示を出すとゴブ郎と共に洞窟内に入って行ってしまった。
こんな状況でテレサと二人きりって、かなりつらいんですけど。
一応テレサに声を掛けてみる。
「えっと、テレサ?」
「気安く話し掛けんじゃないわよ変態」
テレサは俺を睨んでくる。
そんなに昨日の事が気に入らないのだろうか? 今ここには俺とテレサの二人きりだし少しは仲良くしておくべきかな? 取り敢えず昨日の事を謝りますか。
「えっと、テレサさん。昨日の事はすみませんでした。今後は気を付けますから許して頂けないでしょうか?」
俺は下手に出てテレサの顔色を伺う。
テレサは両目を瞑り明後日の方向に顔を向けて、完全に俺の話を聞く気はないと意思表示してくる。
……俺が下手に出てるのに無視ですか! これだから貧乳は困るのだよ、貧乳は!! あ、今は貧乳関係ないか。
いや関係あるだろ! 昨日の事だって俺がティナちゃんの爆乳をエロい目で見てティナちゃんの爆乳とテレサの貧乳を比較してしまった為に起こった悲劇なのだから! その事についても謝るべきなのかもしれない。
「お姉さんの胸とテレサの胸を比較してごめんなさい!」
俺はテレサに対して頭を下げる。
少しは許してくれるだろうとおもっての行動だ。
「アホかーーーー!!」
俺は頭を下げていた為何が起こったのかは分からないが後頭部に衝撃、激痛を受け前のめりに倒れる。
激痛の為、俺は後頭部を両手で押さえ地面の上を転げまわる。
涙目ながらテレサの方に目線を向けると、踵落としの状態でテレサが立ってやがります! この女、無防備な俺に踵落としをかましやがったな!!
「いてーな! 人が謝ってるのに何しやがる!!」
俺は地面に転がったままテレサを睨む。
見上げたテレサの顔は鬼の様でかなり怖い事になってる。
テレサは俺を睨みつけると、さっさと洞窟前からワインゼリーと共に移動を開始してしまう。
「おい、待てって! どこ行くんだよ!」
俺は地面から起き上がりテレサ達の後を追う。
「なに付いてきてんのよ!」
テレサは俺の方に振り返りながら文句を言ってくる。
きっと今の踵落としについて言及してもテレサは謝ってはくれないだろう。
俺言い方間違ったかな? しょうがないし今はテレサの後を付いていこう。
あそこに俺一人放置されてもする事無いし、今エレナさんたちは話し合いの真っ最中なのだ俺は寂しくてテレサの後を付いてくわけじゃないんだ、そう心で言い訳をする。
「どこ行こうが俺の勝手だよ」
テレサは無言で俺を一瞥すると踵を返し歩き出す。
俺はテレサの後ろに付いて洞窟前から離れて森の中を歩き始める。
森の中は思ったほど歩き辛くは無く、自然豊かな森に目を向ける余裕が出来た。
周りを見渡すと、かなり幹が大きい木が結構生えている。
伐採とかの対象になってなかった為か自然と大きく育ったんだと思うが、長い事観賞してても飽きがスグにきてしまう。
俺は森観賞を止めて、ただ歩くことに専念する事にした。
二人と一匹が無言で森の中を歩き続ける事数十分、俺の耳に水のせせらぎが聞こえてきた。
そのまま歩いていくと森が開け多少大きい岩がチラホラと見える砂利で出来た川辺に出た。
「へぇ、割と広いな」
この森に住む者たちの大切な水源なのだろう、川辺の近くの草むらには獣道らしき跡が見える。
テレサとワインゼリーは喉を潤そうとしているのか川に近づいていき、大きい岩の近くに腰を下し手で水を汲んでワインゼリーに与えている。
俺はそんなテレサとワインゼリーの姿を少し離れた位置から見ていたんだが、離れた位置にいたからこそ変化に気づけた。
テレサが腰を下した近くの岩が動いてるのが。
丁度テレサにとっては死角になる後ろにある岩だった為か気づいていない! 岩だと思われた物はゆっくりと、その正体を現していく。
俺の印象は熊が岩を纏ったみたいだと感じた。
まんま灰色の熊で外皮が岩肌になってる! コイツ岩に擬態してたのか!! 熊は右手を振りかざす為か高く持ち上げている。
ダメだ! 今からテレサに危ないと叫んでも反射的に避けれないだろう! 俺は咄嗟に駆け出しテレサを突き飛ばした。
テレサを突き飛ばしたのはいいが俺は左半身に衝撃を受け一旦宙に舞ってから砂利の上に落ち、砂利の上を滑る。
きっと熊の右腕の攻撃を喰らい吹っ飛ばされたんだろう、俺は何m飛ばされたかは知らないが直ぐに立ち上がろうとして地面に両手を突いた際、左手に走った激痛に顔を顰める。
目線を左腕に移すと肩から手首までグチャグチャにひしゃげて血を流す俺の腕があった。
これは痛いで済む怪我じゃないだろうが!!
「何? 何なのよ!!」
テレサは訳も分からず突き飛ばされた状態から起き上がり、怒り眼で周りを見渡している。
熊と俺が視界の入ったのか愕然とした顔をして俺の方に走ってくる。
「西尾! 酷い怪我してるじゃない! クッ、この熊公が!!」
俺のとこまで走ってきたテレサは、熊から俺を庇うように立ち塞がる。
馬鹿が!! 俺が身体を張って助けた意味が無いだろうが!! あまりの激痛に上手い事立ち上がれないが必死に立ち上がりテレサを右腕で押しのけようとする。
「馬鹿が! さっさと逃げろよ!!」
「あんたこそ馬鹿じゃないの! コイツはロックスキンベアっていうモンスターで、生半可な強さじゃ討伐すら不可能な化け物なのよ! スキル無しで怪我してるアンタや今の私じゃ相手にならないわ!!」
俺の大声にテレサも大声で返してくる。
生半可な強さじゃ討伐できないのならテレサには逃げてもらわないと! 今の俺じゃ怪我の所為で逃げるのに足手まといにしかならない!
「尚更逃げろよ! スキル無いだろうがなんだろうが関係ねぇ!! 今この瞬間ぐらい俺に、か弱い女の子ぐらい守らせろよ!! いいか、テレサは何とかここから逃げて隊長を呼んできてくれ!!」
俺は激痛で額に脂汗を浮かべたままテレサを押しのけ熊の前に傷ついた身体を晒け出す。
普通こんな時は身体が竦んでしまうんだろうけど激痛の所為か、それとも俺の英雄願望の所為なのか自然と熊の前に立てる。
これからどうする? 特攻するか?
「ワインゼリー形状変化、捕縛帯!! ロックスキンベアを捕まえろ!!」
俺が迷っている内にテレサがワインゼリーに指示を出す。
「ガルルルルルルルルル!!」
ロックスキンベアの近くにいたワインゼリーはスライムらしく軟体の身体をロープみたいに変形させ、両腕ごとロックスキンベアの身体を何重にも巻き上げる。
ロックスキンベアは抵抗しようと暴れたが、ワインゼリーの行動の方が早くて動きを封じられている。
「ハル。私はか弱い女の子じゃないわよ! 私がロックスキンベアを倒すわ! ……でも、さっきの貴方格好良かったわよ」
最後の方が小声で全然聞こえなかったが、何を言ったんだ?
俺は激痛に耐えながらテレサの方に振り向くと、テレサはワンピース、ハーフパンツ、スニーカーを脱ぎ下着一枚しか身に纏っていなかった。
上はスポーツブラみたいなので下は純白の紐パン。
なぜ君は下着一枚になってるんだ? そして俺、下着の判別までしてるって左腕ひしゃげてる割には結構余裕あるよね、激痛でアドレナリン垂れ流し状態になってるのかも?
「何服脱いでるんだよ!! 意味分かんねぇーから!! さっさと逃げろよ!!」
「ハル、五月蝿い! 黙って見てろ! 第一封印『身体』解除ぉぉ!!」
テレサが叫ぶと徐々にテレサの身体が大きくなっていく、大きくなるって言うか成長してるって言った方が正しいのか……。
見た目13歳の女の子だったはずが、だんだんと歳を重ねて成長していく姿を早送りで見ているみたいだ。
四肢がどんどんと伸びて身長が俺と大差がなくなり、胸が大きくなりスポーツブラに収まりきらなくなってくる。
俺はただ呆然とテレサを眺めてるしかなかった。
封印解除が終わったのか見た目13歳ぐらいだったテレサが18歳ぐらいに成長していた。
テレサは、ただ可愛らしい見た目から一転し目元がくっきりした凛々さの中に可愛さがある美人な子になっちゃった。
はい、胸もヤバイ事になってます! 見た目13歳の女の子で貧乳のテレサが付けていたスポーツブラは、18歳ぐらいまで成長して爆乳になった為かテレサの肩から胸の先端近くまでしか隠せていなかった。
テレサさん! ほとんど大事なとこを隠せてませんよ!! 下乳はみ出まくりですよ!!
下に目線を移すとムチムチな下半身に純白の紐パンが!! 紐パンが喰い込んでますがな!!
……うん、俺本当に重症負ってるのか疑えるぐらい余裕あるよね? 痛みが徐々に沈静化して来た気がするよ。
ゴメン、嘘です!! メッチャ痛いです!!
「変わりすぎだろが! じゃなくて、痛いーーーー! 叫んだせいで、もっと腕の痛みが!!」
「いちいち叫ぶな! 私は元の姿に戻っただけだって! さっきも言っただろ? 今の私では倒せないって!だから封印解除したまで!」
テレサは、その成長した身体で走り始める。
あかん! テレサの乳揺れに俺の目線が奪われる!
「ワインゼリー形状変化解除、来い!! 再度形状変化、戦槌!!」
テレサの指示通りに、ワインゼリーはロープみたいな形状から元に戻りロックスキンベアを解放して大きなハンマーに形状を変えテレサの腕に飛び込んでくる。
ロックスキンベアは拘束から解放された為か腕を振り上げながらテレサに特攻してくる。
「ワインゼリー最大硬化!! インパクトぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
テレサは戦槌に変化したワインゼリーを大きく振りかぶり、ロックスキンベアの脳天を叩く!! 叩いた際、女の子の力で出せないだろう骨を砕くような音と爆音が周りに響いた。
ロックスキンベアは脳天に打撃を受け口から泡を吹きながらテレサの近くで前のめりに倒れていく。
「ふう、倒せたかしら? どうよ私の本来の実力は!!」
テレサは成長した身体で胸を張る。
アカンて! そんな身体で胸張ったら先端見えちゃうよ!!
「ある意味すげー……」
俺は傷ついた左腕を庇いながらテレサに近づいていく。
近くで見るとテレサも牛の獣人なのが良く分かる、特に胸が!!
詳しい事情は分からないが、元の姿に戻る為服を脱いだんだろうが、この状況下でも下着姿になれるってテレサある意味凄いな……。
俺はマジマジとテレサの姿を見てしまう。
「ちょっとジロジロ見ないでよ変態!」
テレサは両手で胸をクロスする様に隠し、足を交差させ大事なとこを隠しながら俺を罵ってくるが先程のニュアンスと違って軽蔑さが感じられない。
逆に少し親しみさが感じられるような気がする、俺の気のせいじゃなかったらだがな。
うん、テレサ可愛いな。
あんまりガン見しすぎると後が怖いので目線を逸らす、本当は脳内保管したんだが仕方ない!
俺は倒れたロックスキンベアに何気に目線を向けると、ロックスキンベアは完全に息の根が止まっていなかったのか、うつ伏せの状態から腕だけで攻撃しようとしてた。
「油断してんじゃねぇ!!」
俺は、またも咄嗟に右腕でテレサを突き飛ばす。
今度は右肩からロックスキンベアに殴られる。
クソッ、最後の最後まで締まらない結末だな! いてーだろうが熊公!!
俺はどうする事も出来ずにロックスキンベアの攻撃を受け、今度は右腕がひしゃげて行くのを見ながら吹き飛ばされた。
吹き飛ばされ俺は激痛の中、慌ててテレサに目線を向けると、テレサは愕然とした表情をしていてるのが見える。
あぁ、テレサは無事だったようだ。
「この死にぞこないが!!」
テレサは怒りに顔を真っ赤にし再度戦槌でロックスキンベアを叩き止めを刺していた。
俺は激痛の所為か、それとも血をたくさん流し過ぎたのだろうかだんだんと意識が暗闇に閉ざされていく……。
ことある事に俺は気を失っている気がするが、今回は良かったと思える。
だって結果的にはテレサを、女の子を守れたんだから。
うん、少し休もう。
「ハルーーーーーーーーーー!!」
俺はテレサの声を聴きながら暗闇の世界に落ちていく。
感想等待ってます!




