え?夢?
今、私の目の前にはキンキラ眩しい人がいる。
金髪に青い目の宝石ジャラジャラつけた美貌の白人さん。
いくら超がつく程のイケメンだからといっても、これは・・・目も痛いけど、存在自体が痛すぎるよ。
で、その後ろにはわらわらと長いローブやマントをつけたおっさん達。
私の周りはって言うと、痛いイケメンを守るようにしながら私を囲むように剣を構えるコスプレ騎士どもがいる。
なにかの撮影?ドッキリ?
集団が痛すぎるんだけど・・・。
数分前までの私は緑豊かな田んぼ道を歩いていた。
某鉄道会社企画の『電車で行こう!緑豊かな場所でのハイキング!日々の疲れを緑で癒されてみませんか?』なるモノに参加して、現地解散後にまたハイキングコースの良さげ場所でスケッチしようと戻っている最中だったのだ。
なぜにキンキラの人達が?
コスプレイベントでもあったのか?
にしては一瞬景色やキンキラ達があらわれたぞ。
そうだ、景色だよ!
自然豊かな風景が、薄暗い石造りの部屋の中になってる。
ついでに逃走経路の確認とばかりに周りを見たが、窓なし。
入口は木のドアっぽいが人が多すぎて、たどり着くまでには人垣を縫って行かなければならず、すぐ捕まるのは確実そうだ。
家具もないく障害物や投げつける(武器になりそうな)物もない。
足元は・・・なにこれ・・・ゲームみたいな魔法陣らしきものが見える。
肩幅よりやや大きめの中心に私が立っています。
ほのかに光っているし。
それでこの部屋が暗くても周りが見えていたわけか。
てっきり、ろうそくか何かの明かりが置いてあると思った。
石の部屋&コスプレってところで雰囲気バリバリあったからね。
お!痛いイケメンがなんか怒っている。
何々『そこから動け!』『こっちに来い!下賤のもの!』『魔王を倒しに行け!』等々。
えーなにそれ。言動も痛いよね。
私が行く義理ないし、こっから出たらなんかイヤな感じするんだよね。
コスプレ騎士達も剣で私を追い立てようとするけど・・・お前が来いよって感じだよ。
剣は本物っぽい感じだけど、追い立てようとするときにちょっと触るけど、肌切れないし痛くないや。
さすが雰囲気大切にするコスプレだね、おもちゃっぽく見せない造りだわ。
どこで買ってくるの?
よくできてるから高かったんじゃないの?
でもさ、演技に熱入りすぎ。
私一人がだんだん覚めていくじゃん。
えぇー。これ、付き合って演技しないとダメ?
引くんだけど・・・事前に私に言ってよね。
もちろん断って演技するほうじゃなく、見るほうに参加。
で、私にどうしろと。
熱が入りすぎてうるさいしウザイ!
もう、強風でカツラ飛べ!剥げろ!みんな倒れろ!
って、本当に強風キタァー。
よい演出してますなぁ。
おぉ!何人か髪飛んでいって頭がマブシイ。
で、髪だけじゃなくみんな風で倒れてくよ。
え?私?見てるだけだよ。
何故か私のところ風来ないもん。
面白いぐらいコロコロ転がって倒れていく皆様。
文句や驚きの声で騒がしいね。
ざまぁー。
あー、スッキリだ。
でも、そろそろ帰りたいよ。
思った瞬間真っ白な光に包まれた。
眩しすぎて目をつぶっていたけど、しばらくたって目を開けたら元の緑豊かな田んぼ道にぽつりと立っている私。
あれ?白昼夢?
疲れてんのかな私?
王道召喚がはじまらず、本人の勘で戻ってこれた。
魔法陣出てたら王道まっしぐらだったのに残念?
思っただけで魔法発動してたし、一応チートついてたよ(笑)