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力の反動

「すげぇ……」


チリ1つ残さずバイパーを焼き尽くしたフィアの魔法を見て、オレは心底驚いていた。


オーク相手に使ってた魔法も十分凄かったけど、これは桁違いの威力だな…。

これが魔法士の魔法ってことか…。

それともフィアが特別凄いのかな?


フィアの方に目をやると膝をついて息をきらせていた。


「フィア!大丈夫か!?」


オレはすぐさま駆け寄った。


「ハァ…ハァ…。大丈夫なのです……。魔力…を使い切って…しまったから……ハァ…疲れただけ…なのです…」

「そ、そうなのか?」

「申し訳ないのですが、少し…眠らせてもらう…です」

「ああ、分かった。見張りはオレがやるから一眠りしてくれ」

「ありがとうなのです」


フィアは手頃な岩に体をあずけると、すぐに眠ってしまった。


……どれだけ強い魔法が使えてもまだ子供だから負担も大きいんだろうなぁ。



う~~ん………。

見張りは任せろとは言ったけど、今魔物に来られると正直困るんだよなぁ。

限界近くまで両腕を酷使したせいで力が入んねえ。

こんなに疲れたのは初めてじゃないか?


腕を揉みほぐしながら見張りを続ける。


みんな早く帰ってこないかなあ…。

魔族が出たってことは黙っていた方が良いだろうな…。余計な心配かけるだけだろうし、そもそも証拠が残ってないんだから信じてもらえないだろうし…。


あのバイパーって奴、最初使っていたサンダーレインやランスは完全に遊んでただけだろうな。

本気の攻撃魔法を使い始める前に倒せたから良かった、としか言いようがないな…。

……オレもまだまだだな…。



しばらくしてフィアの方に目をやると、まだスゥスゥと寝息をたてて眠っている。

相変わらずとても可愛らしかった。


………ん?


なにやら洞窟の方から気配を感じたのでとりあえず警戒しておく。


ようやくサムスやアイシス達が洞窟から出て来た。


ほっ…、良かった…。


「おかえり~、どうだった?」


オレが声をかけるとアイシスが駆け寄ってきた。


「洞窟の中にはもうほとんどオークは残っていませんでした。外にいたオークが群れの大半だったようですね」


サムス達もこちらへやって来た。


「君達の方はどうだったのかね?」

「あ、はい。こっちも少しオークが出ましたが大丈夫でした。フィアがちょっと疲れたようで眠ってますけど」


本当は違うけどな…。


「うむ、そうか。それでは、これで今回のオーク討伐は完了したものとする。みんなご苦労だった」


サムスがそう言ったところでフィアが目を覚ました。


「ふぁぁぁ……。…ん……?みんなおかえりなのです」

「ああ、ただいま、フィア君。これからもう街へ帰るのだが大丈夫かね?」

「……むにゃ…。問題ないのです…」

「う、うむ…。よし、各自街に着くまでの間も気は抜かないように」


オレ達は洞窟をあとして、街へと向かうことにした。


あ、そうだ。フィアにも魔族の事は黙っておいてもらった方が良いな。


「なあ、フィア。あの魔族のことはみんなには内緒にしておいた方が良いよな?」

「はい、内緒の方が良いのです。あ、でもフィアの御師匠様には話しておきたいのです」

「ああ、まあ大事にならないのなら別にいいんだけど…」

「分かったのです」


ハインツの街には日が暮れる前に着くことができた。

ギルドに依頼の完了報告をし、報酬を受け取り解散した。



オレはアイシスと一緒に宿へと歩いていた。


「シンイチさん今日は私に付き合って頂いてありがとうございました」

「いや、世話になってるのはオレの方だから……」

「これがシンイチさんの分の報酬です」


アイシスから報酬を受け取ろうとするがすぐに手が出せなかった。


「どうしたんですか?」

「あ、いや……」


アイシスが報酬を手にのせてくる。


「痛っ……」

「……………シンイチさん、もしかして腕…どうかしているんじゃないですか?」


!? 気付かれたか?


「い、いや…別に……なんともないよ?」


じ~~~っ。


うっ……。


「ちょっと腕を回してみてくれませんか?」

「……………………」

「……私達がいない間になにかあったんですね?」

「あ~~。まあ、あったかな」

「なにがあったんですか!?」


アイシスを少し声を荒げて詰め寄ってきた。


「別に大したことじゃないさ。魔族が襲ってきたからオレとフィアで倒したってだけのことだよ」

「魔族!?500年前の戦いで滅んだはずのあの魔族ですか!?」

「ああ、まあ。そいつはその戦いには参加していなかったとか言ってたけどな」

「…………宿に帰ってから詳しく説明してもらいますからね」

「……ああ、分かったよ」







~ハインツの街のある宿の一室~


部屋の中では白髪に立派な髭をはやした老人が椅子に腰掛け古文書のようなものとにらめっこしていた。


「御師匠様、ただいまなのです」


フィアが部屋の中に入って来た。


「おお、フィアか。ようやく分かったぞ!」

「はぁ、それで次はどこなのです?」

「うむ、こいつによるとこの辺りで失われし魔法ロストマジックが封印されておる場所はこの街の北にある岩山の洞窟で間違いないじゃろう」

「そんなこと言ってこの前も無かったのです…」

「むぅ…、痛いところを突くのぅ…。じゃが探してみんことには分からんじゃろう?」

「それにそこへは今日行ってきたのです、っと」


そう言いながらフィアはベッドにダイブした。


「ふぅ…、疲れたのです」

「それでなにか見つかったのか?」

「フィアは中には入ってないけど入っていった人達は別になにも言ってなかったのです…」

「そやつらは見つけられんかったようじゃのう」

「もしくは本当になにも無かったかです」

「それも含めて調べに行くんじゃよ」

「分かってるのです。あ、それと今日………」









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