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夜空の月が笑う時  作者: ぶちょう
地獄編
9/63

青年と魔王と秘密と

「グランさん、ちょっとよろしいですか?」

「ん?なんだ」

掃除中のオレにバッコスが話しかけてきた。オレは箒を掃く手を止める。

「魔王様が貴方にお会いしたいと」

………は?




多分ここで人間の使用人はオレしかいないし、同じ人間の魔王とはいつか話したいと思ってたが…ハロウィンパーティーの次の日に、しかも向こうからお呼びがかかるとは…。

「こちらです。どうぞ」

いつの間にか魔王の部屋の前に着き、バッコスが大きなドアを開けてくれた。ドアの先は廊下になっていて、またこの先に魔王の部屋があるらしい。

「では、私はこれで」

バッコスが去った後、オレは長い廊下を進んだ。やっぱり普通の城の廊下より少し豪華だった。

「ゆーはお客サマかにゃ?」

廊下の脇に置いてあるソファーに青い猫がゴロゴロと寝転んでいた。

「客って程じゃねえけど…客なのかね」

「にゃははっ、にゃにそれ。わけわかんにゃーい!」

やっぱりこいつ、喋ってるよな…。尻尾が二本だしその先に青い火みたいなのが出てるし、化け猫か何かか。

「…で、ゆーはあるじサマに会いたいのかにゃ?」

「会いたいというか、お呼びがかかってるんだけどな」

「にゃにゃっ!そうにゃのか」

ソファーから降りた猫の周りに黒い煙が立ちこめて…

「じゃあ、ゆーがみーを楽しませたらゆーを案にゃいするにゃ」

煙が消えると、そこには青い髪の女が居た。さっきの猫と同じ耳と尻尾が生えているから、多分さっきの猫が化けたのだろう。

「楽しませる、ねえ…」

「そうにゃ」

「具体的には、なにがいいんだ?」

「そうだにゃ~…。じゃあ、みーにちぅしてにゃ」

「…ちぅって、キス?」

「にゃ」

まじかよ…。

「本当に、しなくちゃなんねーか」

「にゃ。みーの意志は堅いにゃ」

「………」

いや、ファーストキスは好きな奴ととか、そういうこだわりは無いんだけどさ。でもファーストキスの相手が猫とか、それはないだろ…。ほとんど罰ゲームじゃねえか。

「客をからかうものではないぞ」

「!」

どこからか、聞いたことのある声が聞こえる。ハロウィンパーティーの時に聞いた、魔王の声だ。

「もう充分遊んだだろう。いい加減その客人を通すのだ」

「はぁい…。こっちにゃ」

主の前では素直なんだな。

「って…」

案内っていうか、普通に一本道だったのかよ…。こんなんだったら普通に猫スルーすれば悩まずに済んだじゃねえか。

「ここにゃ」

猫がドアを開くと、広い空間が広がった。正面奥にはオレに背を向き、窓から外を眺める魔王の姿がある。パーティーの時に纏っていたマントは魔王の肩に掛からずに、近くにある椅子の背に掛けられていた。

「よくきたな。まあ、そこに掛けてくれ」

オレは指されたソファーに座る。魔王も振り向き、向かいのソファーに座った。猫はいつのまにか獣の姿に戻り魔王の膝に寝転び、またごろごろとくつろいでいた。

「こいつが迷惑をかけたようだな。すまなかった」

「いいって。それで、用は何だ?」

「ああ、その事なんだが…」

魔王は一息置いて、話し始める。


「ダンスや剣舞を会得しているのにも関わらず、何故お前は敬語を使わない?」

………

「…そんなの、別にどうだっていいだろ。そういう性分なんだよ」

「裕福な家庭に生まれて、何故口調を注意されなかった?」

……………

「じゃあ、言うけどよ」

「ほう?」

「目上の奴だったら、金のために人を犠牲にするような奴でも下に回って大人しく従ってろっていうのかよ」

そう、約束したんだ。

そんな奴にはなるなと。

最期に、あいつと。

だから、オレは牙を剥く。

「そうか。分かった。成程な」

魔王はそう言いながら何度か頷いた。一体何を分かったのやら。

「私もお前の質問に一つ、答えよう。私の問いに答えてくれた礼だ」

「そうだな…」

聞きたいことは山程ある。でも、今は

「…どうして、魔王になった?」

「ほう…そう来たか」

魔王は少し驚いているようだった。

「少し長くなるが、それでもいいか」

「構わない」


「では、話そうか」


ぶっちゃけ魔王の過去そこまで思いついてないんですよ。

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