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夜空の月が笑う時  作者: ぶちょう
地獄編
7/63

サプライズゲスト

たくさんの人が拍手をする。こんな大勢の人の前に立ったのは何時ぶりだろうか。

「ふぅ…」

呼吸を整える。

「行くぞ」

オレが剣を構えると、ジオも応えるように剣を構える。

「はあっ…!!」

剣を振るい、交え、剣が大きな音を立てる。次は足を引き、剣を左に。次は振り上げ、一気に振るっ…!

「……」

「……」

わあああああああああああっ!

歓声が湧き上がる。成功…したのか。一気に肩の力が抜ける。ジオの方を見ると、彼も笑顔で答えてくれた。

ジオのもとへ向かい、腕を軽く上げる。ハイタッチだ。

パンッ

「お疲れさん」

「楽しかったぜ!」


「まだまだ。終わらせませんよ」

「!?」

声のする方を見上げると、パーティー会場のホールの上にある窓に、見たところオレよりいくつか年上の仮面の男が立っていた。

「お、今年も来たか」

今年も?

男は明らかに十五メートル以上ある窓からどうやったか優雅に下り、サーベルをオレとジオに向ける。

「さあ、勝負です!」

ジオもそれに応えるように剣を構える。

「大丈夫だって。敵って訳じゃねえから」

「じゃあ何者なんだよ?」

「詳しいことはあとだ。行くぞッ!」


ジオが斬りかかると、男はその刃を自分の剣で受け止める。力いっぱいにジオが剣を押すが、男は余裕の表情を見せていた。

「なかなか筋がいいですね。でも、まだまだッ!」

「うわっ!?」

「ジオ!」

ジオが男に弾き飛ばされてしまった!

「他人の心配をしている場合ですか?」

「しまっ…!!」

ジオに気を取られている隙に男がオレの懐の中に入ってきた…!?

やばい。もう駄目だ…


「ンルンワレィディウワ!」

「!」

後ろから一筋の光が男の手を襲った。いや、あれは電気だ。

振り向くとロゼが杖を構えていた。ロゼは追い打ちをかけるようにもう一度術を唱える。

「ウルンワレィディウワウティヤ!」

「くっ…」

さっきよりも強い電気が男を襲った。

「グラン!今や!!」

オレは体制を戻し、一気に畳み掛けるッ!

「…」

オレの剣は、男の首元で止まっている。殺すわけではない。ただ明確に勝敗を決めるためだ。

「…いやいや、参りました」

剣を納め、倒れている男に手を差し出す。

「名前は?」

「そうですね…バームとでもお呼びください」

「んじゃバーム。お前の目的は?」

「お客様の笑顔…と言ったところでしょうか」

バームの視線は、たくさんの観客の方へ向けられていた。

「では、締めましょうか」

そう言うとバームは観客に向かってひとつお辞儀をした。オレとジオもお辞儀をする。すると観客から一気に拍手と歓声が巻き起こった。

「なるほどな」


「グランとジオ、それにバーム様、ありがとうございました!」

大臣の言葉が入ると、バームは仕事を終えたようにその場から離れ、光の中に消えてしまった。





「二人とも、お疲れさまでした」

と、お茶を出すのは王宮魔導師のミネル。

「ったく、人使いが荒いっつーの」

と、愚痴を零すのは王宮魔術師のアトラス。

「いいじゃないですか。なかなか面白かったしょう?」

「オレは魔術で手一杯だったっての」

アトラスが一気にお茶を飲み干す。

「まだまだパーティーは始まったばかりですよ。貴方たちにはもっと働いてもらいますからそのつもりで」

と、笑みを浮かべながら自身に掛かった変身の魔術を説いたのは、執事長のバッコスだった。

俺たちのパーティーはまだ始まったばかりだぜ!

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