青年は少女に気に入られた
地獄に落ちて一週間。その日はロットのノックで起きた。顔を洗って執事服に着替える。用具室から掃除道具取り出し、いつも通りにロットと掃除をしていた。
「お、お前が新入りか?」
声のする方を見ると、金髪に金色の眼をした執事が居た。
「オレはジオだ。こっちのフロアで掃除してるんだ。よろしくな」
「グランだ。よろしく」
いつのまにかロットが話に割り込んできた。
「あ、ジオじゃん。どう、掃除進んでる?」
「まあまあだよ。今日は新入りにあいさつしようと思ってな」
「ロットとジオって知り合い?」
「こら、先輩にはちゃんと敬語使えって言ってるだろ!」
「あ、そうだぞ!オレは先輩なんだぞ!」
「お前は今思い出したように言うな」
「あ、もうそろそろ時間だ。二人とも、とっとと片付けて朝ご飯食べに行くぞ」
掃除道具を片付け、食堂に向かったオレとロットとジオ。今日の朝飯は目玉焼きが乗っているトーストだった。
「そういえばロットたちって地獄生まれだよな。鬼とかだったりするわけ?」
「鬼じゃあないけど、あたしは透明人間だよ」
「おえあ、にゅうえうき」
「物飲み込んでから言え」
「っぷはぁ。オレは吸血鬼」
「ふぅん」
「あ、グランじゃん!おはようさん」
朝飯のトレイを持ったロゼが駆け寄って来た。
「隣いい?」
「ああ、いいぜ」
「失礼しまーす」
「ロゼおはよー」
「おはよう」
ロットとジオがオレの後ろからひょっこり顔を出してきた。
「二人とも、おはようさん」
ロゼもトーストをかじり始める。
「っていうかお前らって知り合いなのか?」
「知り合いっちゅうか、うちの顔が広いだけなんやけどね」
ジオがオレにわざと大きな声で耳打ちする。
「こいつよく修行サボって城中回ってんだぜ」
「なっ、ゆうなぁ!!」
時刻は7時。掃除もそろそろ終盤にかかり、オレは雑巾を絞っていたとき
「メリア様、こんばんは」
「…こんばんは」
角が生えた金髪の女の子がロットと挨拶を交わしていた。二人の様子を見ていたらその女の子、メリアがおぼつかない足取りでこちらに駆け寄ってきた。
「…知らない人」
「グランだ。最近ここで働きだしたんだ」
「ぐらん…けーご話さない」
「これがオレの性分でね」
「…しょーぶん?」
「簡単に言うと性格ってことかな」
「へぇ。…ぐらん、いい人」
「ちげえよ」
「ほらグラン、手動かして!メリア様も、用事が無いなら帰ってください」
「へいへい」
後から聞いた話だと、メリアは魔王の姪にあたる娘で、事情は知らないがここ、魔王城で暮らしているらしい。
にしても…
さっきの話した時からメリアがずっとオレに付いて来るのだが…。寝床にまで付いていたときはさすがにどうしようかと思ったが、偶然通りかかったバッコスに引き剥がしてもらい、なんとかオレはベッドに入ることか出来た。
次の日、オレが部屋から出ると
「…おはよう」
「お、おう…」
目の前にメリアが居た。
勘弁してくれ…。
ぐだぐだです。