一章 当たり前の世界
××××年 ×月
「“オカアサン” 行ってきまーーす」
「………………」
私は『天音咲夜』
どこにでもいる普通の中学2年生。
今年の4月から受験生だから今は猛烈に勉強に励んでる途中なの!
まぁ……元々勉強は好きな方だから苦にはならないけど、将来のため頑張らないといけない!!
「おはよう! りーちゃん」
「咲ちゃん、おはよう!」
彼女は同級生の美咲梨沙。
小さい頃から、もう一人の男子と一緒だったんだ。
言わば幼なじみって関係かな?
「4月から中3だけど咲ちゃんは進学とか考えてるの?」
「うん 一応考えてるつもりだけどりーちゃんは?」
「すごいね…………私はまだ全然決めてないしこれからどうしようかな…………」
そう、私達は人生を幸福に生きるために今からやるべき事をやらなければいけないのだ!!
「でも!!」
「私たちの関係は“ずっと一緒だよ!!”」
「うん!!」
「ずっと……“ずっと一緒だよ”」
「…………って、あれ?」
「あれ……新太じゃない?」
私達が歩いている先にはもう一人幼なじみの月上新太が歩いていた。
「あーちゃん おはよう!」
「梨沙、咲夜、おはよう…………」
「てか咲夜……その呼び方、表でするなって何回も言ったよな」
「そうだった、りーちゃんと一緒にいたから忘れてた」
「いいじゃん別に私達の中じゃん、“あーちゃん”」
「梨沙、お前まで…………」
こうして私達は学校へ向かった。
学校では同級生のお話や恋バナ、スポーツ、もちろん勉強も私にとってはとても幸せな空間。
「天音咲夜さん」
「あ、はい!」
先月のテストを返される。
「凄いわね咲夜さん、学年一位よ」
それを聞いたクラス中がざわめく。
「咲夜さん今回も一位だって!」
「本当にすごい!」
「いいよなぁ〜……綺麗だし頭もいいなんて!」
クラス中が私を憧れの目で見ている。
正直気分は良い、胸を張って王様気分になった気がした。
「咲ちゃん、すごいね、今回も一位なんて!」
「いや〜〜……そんなことないよ〜」
ニヤつきながら答える。
「ねぇ!今週の土日に私の家で勉強会しない?」
「勉強会?」
「どうせなら、学年一の人におそわりたいなぁ――って思ってね」
「りーちゃん……毎回そう言って家行くけど、ゲームばっかやって全然勉強しないじゃん」
「うっ!何も言えない…………」
「でも、まぁ良いよ」
「本当!!」
「ただし!!新太くんも誘って3人でね」
「うん!!じゃあ私、新太に言ってくるね!!」
そう言って梨沙は走って行った。
昼休み、私が通ってる中学は給食ではなく、持ち込みの弁当指定でいつも私が朝早起きして作ってるの。
中学にしては珍しいのかな、多分地域差だと思うな?
そして、私は屋上にお弁当を持って上がる。
そこにいつも一人で食べてる新太くんがいるから……。
「新太くん今日も屋上でお弁当食べてるの?」
「別に一人でいる方が気楽でいいんだよ…………」
「そんなこと言って……寂しそうだから隣で一緒に食べよっかな」
「俺をボッチ扱いしてるだろ」
けど、新太の隣に肩をくっつけて座る。
「ところでりーちゃんは?」
「あぁ……あいつ、学級委員で先生に呼ばれているけど、なんで?」
「別に聞いてみただけ……」
「新太くん、今後の進路は決めてたりするの?」
「俺は別にそういうのこと、全然考えてないし、高校も適当なところにしようと思ってる」
「『はーちゃん』と同じ高校には行かないの?」
「別に姉ちゃんのところでも良いけど……お前はどうなんだ?」
「私は……国立を受けようと思ってる」
「マジで……すごいな」
「でも、まぁ……確かにお前めっちゃ頭いいからきっといけると思うよ……俺は応援する」
「でも……二人と離れ離れは嫌なんだよね…………寂しいし……」
「…………だったら俺か梨沙がたまに遊びに行くよ別に遠い所じゃないし」
「俺達“ずっと一緒だろ”」
「うん、ありがとう……」
(………………)
(…………あれ?)
(私……前にも“同じ話した”ような…………)
「どうかしたか?」
新太は、ぼーっとしている私に話しかける。
「…………う、ううん、大丈夫」
お昼休みが終わり午後の授業が始まる。
教室に戻る際、ふと廊下の窓から校門側を見る。
(だ、誰?)
校門の門の内側、学校の敷地に見慣れない格好でフードを深く被った人が立っていた。
「新太……あの人誰?」
「――うっ!!?」
瞬間、頭痛が走る。
「…………あ、頭が……い、痛い」
(………………お…………)
「だ…………誰?……ど、どこ?」
頭痛と同時に、頭の中で声と映像がフラッシュバックする。
(…………お前は)
私は頭痛でその場に座る。
新太はそんな私を心配して駆け寄る。
「だ、大丈夫か!?」
「い、痛い痛い痛い…………」
「仕方ない…………」
新太は私を背負い、保健室に連れて行く。
「あ、新太……ま、窓に誰か……い、いない?」
私に言われ、新太は窓を覗く。
「………………誰もいないけど……」
「そう…………」
保健室のベッドで私は横になる。
「今、先生に聞いてきたけど早退だって言ってたから体調良くしろよ」
「うん……ありがとう……」
キーン――コーン――カーン――コーン――
キーン――コーン――カーン――コーン――
「午後の授業始まるからじゃあな!」
「頑張ってね……」
新太は午後の授業に向かった。
保健室の天井を見つめ、そっと目を閉じた。
私は何か、思った。
忘れてはいけないのに、思い出せない引っ掛かりが頭痛と共に続いている。
警告――警告――
被験体、『天音咲夜』 自我ノ疑念ヲ再ビ確認、直チニ実行スル、“リセット”ヲ開始。
――繰リ返ス――
被験体、『天音咲夜』 自我ノ疑念ヲ再ビ確認、直チニ実行スル、“リセット”ヲ開始――。
××××年 ×月
「“オカアサン” 行ってきまーーす」
「………………」
私は『天音咲夜』
どこにでもいる普通の中学2年生。
今年の4月から受験生だから今は猛烈に勉強に励んでいる途中なの!
まぁ……元々勉強は好きな方だから苦にはならないけど、将来のため頑張らないといけない!!
「おはよう! りーちゃん」
「咲ちゃん、おはよう!」
彼女は同級生の美咲梨沙。
小さい頃から、もう一人の男子と一緒だったんだ。
言わば幼なじみって関係かな?
「4月から中3だけど咲ちゃんは進学とか考えてるの?」
「うん 一応考えてるつもりだけどりーちゃんは?」
「すごいね…………私はまだ全然決めてないしこれからどうしようかな…………」
そう、私達は人生を幸福に生きるために今からやるべき事をやらなければいけないのだ!!
「でも!!」
「私たちの関係は“ずっと一緒だよ!!”」
「うん!!」
「ずっと……“ずっと一緒だよ”」
そう、私達は“変わるはずのない日常”を永遠に過ごすのだから………………。
「天音咲夜…………」
「え?……」
振り返る……そこには変わった服装で深くフードを被った女性が立っていた。
「あの――どちら様ですか?」
「私は――」
“イレギュラー”確認
“イレギュラー”確認
突然、街中に鳴り響く警告音――。
「え…………な、何!?」
不安と戸惑いでおかしくなりそうになる。
「り、りーちゃん、街中がおかしなことに…………」
「………………」
「りーちゃん…………」
「擬似人格停止、イレギュラー確認、排除シマス」
「り、りーちゃん!!?」
「ま、そうだよな……」
「意図的に彼女をこの世界に幽閉し、永遠に終わることのない幸福を見せるプログラムだから……」
「外部から来た、私を消すのは当然か……」
すると、女性は梨沙に向けて銃を撃つ。
突然のことで発砲音で反応できなかった。
「りーちゃん!!」
フードを被った女性は淡々と私達に近づく…………。
私は倒れた梨沙を起こそうとする。
「りーちゃん、りーちゃん!!」
「意味ないよ……その子は君からこの世界を出さない為、監視役として君の記憶から生み出された仮想生命」
流暢に話し出すフードを被った女性は私を抱き抱える。
「は、離して!!」
「一先ず、安全な所を作るから大人しくしてね」
「あ――あ――、聞こえてる――?」
突然彼女は誰かと話しかける。
「ごめん、目標の彼女を保護したから」
「え!? え!?」
この時の私は忘れてしまっていた。
幸せな日々は虚構だったことを…………。
そして、本当の世界は残酷だってことを………………。
このお話は四章で終わります。




