第7話 東京のお蕎麦を食べよう
東京に行ったら絶対に食べたいと思っていたもの、それは「お蕎麦」です。それもかけそばです。関東のおつゆってどんな味だったか、すっかり忘れている私。是非とももう一度味わいたいのです!
というわけで、コンサートが終わると、赤坂の街へと繰り出しまして、とあるお蕎麦屋さんに行きました。
お座敷に案内されて、メニューを開いて、フリーズしました。
な、何が起こっているの?
どうしたの世界。
お値段が高すぎます!!
お蕎麦って2,000円もする食べ物なんでしたっけ?
え、怖……。さっきのコンサートは1,000円だったのに、お蕎麦って2,000円なんだ、怖……。
震えながら鶏南蛮蕎麦を注文しました。さすがに麺は美味しかった。福岡ではこういうお蕎麦はちょっと食べられない。文句なし。
ただ、おつゆが甘い……。あれえ? 関東のおつゆってこんなに甘かったっけ? お醤油が強いのは確かに関東風だけど。ううん?
これは、もう一軒、行くしかないな。
ただいまの時刻は午後2時。帰りの飛行機は午後6時。行けるでしょ、多分。
その時、ふと視線を感じたんです。
顔を上げると、白人男性のお客さんと目が合いました。ん? なんだ? よくわかりませんが、同じ室内で一人で座っている男性客が、やたら私をちらちら見てくるのです。私に背中を向けて座っているのに、何度も振り返ってきます。私の背後は何もないのに。壁しかないですけど。床の間とかもないですけど。
何だろう!? 女がひとりで蕎麦を食べているのが珍しいの? 田舎町じゃあるまいし東京でそんなことある? ないよねえ。
あっ、もしやお蕎麦をすすってるのが不快とかいうやつかな? でも、私って音を立ててすするタイプじゃないし。
じゃあ、あれかな、服装が変とか? でも、割と普通だと思うんですよね。グレーのニットとロングスカートだし。ネイルもしてないし。アクセサリーも小さいペンダントだけだし。髪色もダークブラウン(のはずなのに黒にしか見えない)だし。普通っていうか地味?
そんなふうに私があれこれ考えている間も、ちらっ、ちらっと振り返ってくる男性。
話しかけてこないからナンパでもない。
なんなの。
やっぱり女ひとりってのが気になるのかな?
外国の人は文化が違うのか……? と思いながら、そば湯をいただいていたら(かけそばなのに蕎麦湯がついてきた……あれえ、そうなんだっけ? ざるそばの時にしかもらえないはずでは……最近は違うのかな)、その白人男性のもとに若い女性がやってきました。どうも店内で待ち合わせをしていたみたい。
すると、私の隣の席にいた女性客たちが「見てあれ」「キャバ?」「整形しすぎ」などと結構大きめな声で言い出しまして。
どうしたの東京! もっと他人に無関心な街じゃなかったでしたっけ!? と思うなどして、お会計して、お店を出ました。
ふう。
やたらと他人に興味津々、そんな客のつどうお蕎麦屋さんだったな……。
さて、私はここ赤坂から渋谷、品川、羽田、という経由で福岡に帰ります。ですので、お蕎麦はそのどこかで食べたい。
だけど、わからないの、チェーン店じゃない関東風のお蕎麦屋さんがどこにあるのかっ!
スマホで調べてみても、よくわからない。事前準備の甘さがここで足を引っ張ることになりました。東京余裕でしょ~などと思っていた私の馬鹿。
蕎麦のレジストレーション、ちゃんとしなさい。
などと呟いても一人。もう~!
もう一軒、お蕎麦屋さんに行きたい。けれど、お蕎麦屋さんを探して迷子になって、飛行機に乗り遅れることは避けたい。
しょうがない。
ここは「羽田空港で蕎麦を食べる」という安全策を取ることにしました。
以前知人が羽田空港でお蕎麦を食べたら、出汁が甘かった、東京の蕎麦は羽田にはない、と言っていたけど、ほかに選択肢もないですし。
ということで、予定より早めに行きますよ、羽田!
……その前にTBSに寄って、ちょいと撮影。ふふ。




