第5話 電子オルガンとの共通点
レジストレーションを使うのも電子オルガンと同じでした。これにはビックリしました。今どきはオルガンにも登録があるんですね! へえ~。衝撃!
レジストレーションというのは、オルガンだけどファゴットのような音を出したり、フルートっぽい音色にしたり、それをボタン一つで切り替えられるようオルガンに登録しておける機能のことです。つまり約6,000本もある金属製や木製のパイプたちが電子制御機構でコントロールされているわけです。もはやマシンですよ、デジタルとアナログの融合です、すごい!
今回レジストレーションの使用例として、「くりみ割り人形」の「金平糖の精の踊り」をチェレスタ風の音色で演奏してくださったり、「アラビアの踊り」を本当にアラビア音楽っぽく演奏してくださったりしました。
また「死の舞踏」をいろんな音色を組み合わせることで、よりストーリー性の際立つ演奏にして聴かせてくださいました。ニワトリが鳴いてる! どくろが踊ってる! 情景が目に浮かぶよう。もともと好きな曲なんですが、より好きになりました。
ここでピアノを引き合いに出していいのかわかりませんが、ピアノ等の演奏って、聴いている側のほうが演奏に寄り添わないといけないでしょう? でも、今回のオルガンは、オルガンのほうが私に寄せてくれる。まるで人の声のように主張が強いから受け身で聴いていられる。それが今の私には心地よくて、時間を忘れさせてくれました。
奏者の石丸さんは、今回の約1時間の演奏のためのレジストレーション作業に10時間もかかったとおっしゃっていました。そんなにも! オルガンって準備にとっても時間がかかるんですね。
今回のコンサートでは、楽譜の一部も配付していただきました。そこにはオルガン用のレジストレーションの切り替え指示が書き込まれていました。転載不可なので載せられないのですが、1小節内に音の切り替えが二度もありましたよ……。鍵盤も4つ+足鍵盤だし。これら全ての音色を管理するのは大変すぎる! これは確かにアシスタントがいないと演奏できないですね。
こんなに頻繁にオルガンが音を切り替えながら演奏していること、聴いている方は実は気づいていないかもしれない……そういう私もちっとも気づいていませんでした。
気づかないぐらいだから、音を切り替えなくったって良いだろうって思ってしまいそうになるけれど、それは違うのでしょうね。きっと音を切り替えずに演奏したら、表現力が落ちてしまうんだろうな。
いるときは気づかないくせに、いないとその不在に気づく。
こういう目立たないものこそが、実は大事で、根本を支えていることって、結構あるよね。
(まだ続く)




