第92話 移動+返り討ち=偽装
おっす、あたしリタちゃん。
今、イルズ侯爵を捕らえるためにお屋敷の執務室へと向かっているわけなんだけど・・・
「ほい、じゃま」
「ぐっはっ」
「お?」
侯爵のところへ向かう中、もちろん警備が襲いかかってくるわけなんだけど、その中であたしは敵が持っていた良い感じの剣を拝借する。
「あれ?ティータちゃん、剣も使えるの?」
「まぁ、一通りの武器は使えますけど、これは特に得意ですかねー」
そう、確かにあたしは一通りの武器は使える。
けど、本当の得意武器は剣ではない。
それでも、ここではこいつを得意武器として扱う。
それが、きっと後に響くはずだから。
「ほい、もういっちょ」
ここからさらに、あたしは倒した警備からもう一本剣を拝借し、二刀流のスタイルで戦っていくことにした。
これなら、手数の多さで攻めるタイプに思わせることができるはず。
・・・あたしがここまで警戒するのは、ベリアーザ地下でのあの戦いがあったから。
あのとき、あたしたちにはそのつもりがなくても油断があった。
だから、今回は備える。
それも、やりすぎなくらいに。
「てぇりゃぁっ!!」
また警備が襲ってきたので、切り捨てる。
しっかりとこっちが得意だってわかるくらい圧倒的な速さで。
「君は、元々強かったけど、剣を持つとさらにすごいね」
「お褒めいただき、どうもです。さて、フラン様。執務室まであとどのくらいですか?」
あたしはここに来たのは初めてだから、フラン様の道案内に頼って執務室を目指している。
そして、あたしらが最初に通された応接室を出て結構歩いたから、そろそろ着いてもいいんじゃないかとは思うんだけど・・・
「ああ、ご期待の通り、そろそろ着くはずだ。そこの曲がり角を曲がってすぐの扉。そこが執務室だったはず」
「ふーん、そっかぁ。それなら・・・」
あたしは返事を言い終わる前に大きく踏み込んで廊下の突き当りへと飛び出す。
そして、曲がり角を見てみれば案の定、待ち伏せをしていた敵さんが目を丸くしている姿が。
「せいっ!!」
「うごぉあっ!?」
ほい、不意打ちにて切り伏せて制圧!
それで、制圧した先には、なるほど確かに。
他よりも豪勢な装飾の扉が一つ。
ここが執務室で間違いないみたいだね。
さて、これであたし一人での潜入任務だったなら、屋根裏にでも潜り込んで奇襲をかけるところなんだけど、今回はそうじゃない。
今回のあたしたちは公式に訪問している上に、明確な裏切り行為を受けている身。
これに対して正面から乗り込んだ、という事実が王室の権威付けという理由で必要だ。
偉い人は面倒くさいね。
だから、あたしは追い付いてきたフランチェスカ様にアイコンタクトを飛ばして頷きを貰うと、ズバンとゴテゴテとした装飾の扉を一刀・・・いや、両手だから二刀両断!
「オラオラァ!姫様のお通りだよっ!!」
挙句、その破片を前蹴りで蹴飛ばしながら入室したのだった。
次回の更新は5月2日(土)午前6時の予定です。




