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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第80話 目覚め+激痛=療養

 今回から少し、書き方を変えております。ご了承ください。

 ふと、思うことがある。


 あたしはいったいどこの誰で、どこで何をしているのか、と。


 わかりきってはいる。


 あたしはリタちゃん。


 レイクディーネ修道院に所属する修道女で、肉体年齢は・・・魔道具暴走のときの若返りを考えたら多分十六歳くらい。


 でも、問題はそこじゃない。


 あたしには、朧げな前世の記憶がある。


 どこかこことはちがう世界で、別の人間として生きていたらしい、という記憶が。


 その一方で、今のあたしがあたしになる前・・・


 男爵令嬢リタ・ルディガンとして生きた十五年分の記憶は、あたしには残っていない。


 それでもあたしという存在は変わらない。


 修道女のリタちゃんだ。


 はっきりしている。


 でも、たまに思う・・・あたしは、いったい誰なんだろう?って。




「うぅん・・・?」


 嫌な夢を、見た気がする。


 心がざわざわして、落ち着かなくなる、そんな夢。


 なんだろう、それにしても眩しい。


 まるで、暗い部屋にずっといて、数日ぶりに目を開けたかのような、そんな眩しさだ。


 とりあえず、少し待って目が慣れてきた。


「これは・・・知らない天井・・・いや、天蓋?」


 枠が見えるし、これ、ベッドについてる天蓋じゃん。


 今、あたし、めっちゃ良いベッドに寝てる?


 ってか、自分から出た声がびっくりするほど掠れてる。


 すっごく喋りづらい。


 何でこんなことになってるんだっけ?


 そんな風に寝起きでぼーっとしながら状況を掴もうとしていると、横からカラカラと何かを押す音が聞こえてくる。


「失礼致します。・・・あら?どうやら、お目覚めのようですね。おはようございます」


「えっと、おはよう、ございます?」


 声をかけてくれたのは、格好的にメイドさんかな?


 シックな給仕用の服を着て、頭には白いプリムを乗っけてる。


「今、ご主人様をお呼び致しますので、少々お待ちくださいませ」


「あ、はい」


 メイドさんはそう言うと、そそくさと部屋を出ていってしまった。


 取り残されたあたしはとりあえず起き上がろうとして・・・


「っ!!」


 全身に走った激痛に顔を強張らせた。


 うん、これ起き上がれないやつだね。


 とりあえず、起き上がるのは諦めて大人しく横になる。


「あー、今の痛みで思い出してきた」


 あの地下での戦いで、あたしは魔力の励起を使用したんだったね、そういえば。


 この反動があるから、滅多に使わないんだけどねー。


 今回の相手は、それだけヤバかった。


 それに、魔法を封じる結界のせいで、援護がなかったってのもある。


 あたしら、基本的に集団行動だから、個人の強さよりもコンビネーションを重視してるんだよね。


 でも、それは今回の相手には通用しないってのが分かった。


「なら、強くなるしかないね」


 あたしは決意を新たに、気合を入れるために右手を上げようとして、


「ぁいたたたたたた!?」


 痛みで悲鳴の方を上げた。


「・・・何をしておりますの、あなたは」


 どうやら、そんなバカをやっている間に、メイドさんは人を連れて来たらしい。


 修道院の仲間で、今はお嬢様のリリーことリリスが、あたしに呆れた目を向けている。


「おはよ」


「おはよ、じゃありませんわ。後始末を全てわたくしに丸投げして、まったくもう!・・・お体の具合はいかが?」


「痛みで動けない」


「でしょうね。お医者様も、全身ボロボロだと仰っていましたわ」


「まあ、ご飯食べれば明日には治るから、大丈夫」


「・・・それができるの、あなたと院長だけですわよ」


「あんな化け物と同じ扱いとは失敬な!」


 あの院長(ババア)だったら一食の食事で治すぞ。


 あたしはあそこまで人間やめてないよ!


「やってることは変わりませんわよ」


 リリスはため息をついている。


「とにかく、その状態では話し合いもままならないでしょうから、詳しくは明日以降ですわね」


「んにゃ、話すくらいだったらこのままでもいけるけど?」


 口は動くし。


「おバカ。淑女が横たわるお部屋に殿方をお通しするわけには参りませんわ」


 あー、そういえばゼリア子爵もいたか。


 あたしが動けないってことはここで話すしかないってわけで・・・そりゃ、無理だね。


「そうだね。でも、今がいつなのかくらいは聞いてもいいでしょ?」


「そうですわね。では、ざっくりと」


 リリスは一度言葉を切り、改めてあたしに向かい直す。


「あの日あなたが倒れてベリアーザの領主館を脱出してから、ちょうど五日ほど。ベリアーザでは領主がいなくなったと大騒ぎのようですわね。」


 五日かぁ・・・そりゃ、そんだけ寝てたら声も掠れるよねぇ。


 あれ?でも・・・


「それにしては、外が静かじゃない?」


 どこにいるのかはわかんないけど、大騒ぎしてるんだったら、独特の空気というか、雰囲気が伝わってくるはず。


 でも、窓越しの外からは穏やかな風が吹いている気配しかしていないんだけど?


「それはそうですわ。だって、ここはベリアーザではございませんもの」


「は?」


「危険と判断して、移動したんですわよ」


「・・・マジで?」


「マジですわ。はい、今はここまで。手配しますから、あなたはまず、食事をとって寝て回復なさい」


「いや、ここで終わるの?」


 どうしてこうなってるのかめっちゃ気になるんだけど。


「長い話になりますわ。それを聞くためにも、あなたはまず回復をなさい」


「はーい」


 まあ、リリスがここまで言うなら仕方ないか。


 そう納得したあたしは、大人しく運ばれてきた大量の食事を爆食いして、眠りにつくのだった。


 ちなみに、翌朝に本当に治して部屋の中で軽く体を動かしてたら、さっきのとは別のメイドさんに悲鳴を上げられましたとさ。


 ・・・なんか、ごめんね。


 次回の更新は2月7日(土)午前6時の予定です。

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