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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第67話 推測+超越=愚者

「あっはっは!頑張ったじゃないか、リタ!!」


「こんの鬼畜ババア・・・あたしの涙ぐましい献身を笑ってやがる・・・!」


「いや、あれに笑わないのは無理だっての!だっはははは!!」


どーも、あたしリタちゃん。


体を張って刺客を捕まえて、全身の粉を落としてシャワーまで済ませて顔を出したらこの反応である。


どうせこいつらも耐性あるんだし、粉塗れで来れば良かった・・・!!


「ぐぬぬ・・・」


「はいはい、悔しかったですわねー。院長もそろそろ笑うのをお止めくださる?話を進めますわよ。」


さっきあたしを救出してくれたリリスが場を収めて話を進めてくれるらしい。


・・・まあ、刺客のことは気になるし、従ってやるか。


「それで、あたしが見れたのは二人だったんだけど、何人いたの?」


「あの状態で良くもまぁ・・・相変わらずバカげた動体視力してますわね。最終的な人数としては、十人ほど。」


「十人も!?」


すっごい潜んでるじゃん!?


「全員、捕らえて『穴場の店』の地下に放り込んでありますわ。」


穴場の店ってのは、ウチの協力機関・・・ってかぶっちゃけ仲間が経営しているお店で、本当の名前は『穴熊亭』。


路地裏にポツンと佇む、本当に穴場的なお店で、料理は普通においしい。


「他に刺客の姿はなく、警戒網にも引っかかっていない。まあ、余程の手練れ

でもいない限り、これで刺客は全部でしょうね。」


「ふん、ゴルドラの小僧のとこにそんな手練れが行くもんかい。」


「およ?院長(ババア)はゴルドラ侯爵を知ってる感じ?」


「・・・今回はその不遜なルビを流してやる。体を張ったさっきの自分に感謝しな。」


やりぃ!


「そんで、ゴルドラの小僧の話だったね。」


「あのおっさんを小僧呼ばわりとは、さすが年寄りは伊達じゃな・・・」


「いちいち話の腰を折るんじゃないよッ!!」


ゴン!!


「いったぁ・・・ちょ、さっき流すって言ってたじゃん!!」


「そんなもんさっきの一回で終わりだよ。優しくし過ぎてもつけあがるだけなのはわかっているからね。」


「チッ!」


けちんぼババアめ。


うわ、この思考まで読んで拳を放って来た!?


だが、このぐらいは避ける!!


あたしを舐めるな!


「ハァ・・・まぁ、いいさね。話を戻すと、ゴルドラの小僧のとこに有能な人材はほとんどいないはずさ。なんせ、あいつのろくでもないやり口は有名だからね。」


「ろくでもないのは見てればわかるけど、やり口?」


「ああ。骨の髄までしゃぶって使い捨てる。しかも、それを隠そうともしない。」


「うっわぁ・・・」


「典型的な悪徳貴族ですわね・・・。」


「それで、同じ貴族なら優遇するのかと言えばそうでもなく、一度甘い汁を吸わせてから、それを理由に脅迫して使い潰し始める。」


「うっっわぁ・・・」


「なんとも、質の悪い・・・」


「自分以外は駒としか思ってないようなヤツさ。そして、そもそも甘い汁を吸おうなんて輩に有能な奴は少ない上に、やり口を悟った瞬間にそういうヤツは離れていく。結果、ヤツに有能な味方なんていなくなったって図式さね。」


「「うぅっっわぁ・・・」」


馬鹿すぎる・・・馬鹿すぎて隣のリリスまでコメントできなくなってドン引きしてるよ。


ちなみに、このリリスも追放修道院の所属・・・つまりは過去のやらかしがある。


喋り方から察せるかもだけど、リリスのやらかしは貴族関連・・・そう、さっきリリスが言った悪徳貴族とは、かつての自分でもあった。


そんな過去の自分と重ねたからか、最初は沈痛な面持ちでコメントしてたんだけど、かつての自分以上のひどさに途中から呆れてドン引きするだけになってるね。


貴族ってのは見栄を張って、周囲に支えられて生活する生き物だ。


もちろん、その周囲に庶民を含めない馬鹿もいるけど、それでも自分より下の貴族は仲間として遇するもの。


庶民の使用人や街の平民にも、雇っていたり領地に住んでいたりする以上、最低限の保証ぐらいはする。


それをしないゴルドラ侯爵は、人としてだけじゃなく、貴族としても外道ってわけだね。


「なんで、あの小僧に有能な味方がつくはずもないのさ。おまけに、裏切りに厳しい裏の人間も嫌って近づかない。契約も守んないからね。ああ、いや、他国の人間って線は残ってたかね。」


「そういえば、元々はゴルドラ侯爵が行っていたクエイ公国との内通を、前王弟殿下が横取りした形でしたわね。」


「それで、ゴルドラ侯爵からはあくまで他国の人間だから権力が及ばず、クエイ公国からすれば反逆という弱みを握っている状態だから、立場が上の手練れが潜り込んでいる可能性があるんだね。」


「そういうことさね。ただ・・・」


うん、なんていうか、話を聞いてると・・・ね?


「ゴルドラ侯爵みたいな俗物に、自国の手練れを預けるかな?隙を見て使い潰される未来しか見えないよね?」


「ですわね。」


もしもあたしがクエイ公国側で内通するんだったら、関係ない人間を雇って、さらにチンピラを雇って・・・みたいに迂回に迂回を重ねて利用するね。


ふとした拍子に自分の存在をバラされかねないし。


っていうか、今もあたしらに内通がバレてるし、ゴルドラ侯爵。


「そういうことさ。馬鹿となんちゃらは使いようとは言うけど、限度ってもんがある。これに関しては、あの想像を超える馬鹿を使いこなせると思ってしまった、クエイ公国の過失さね。」


ボロクソに言われてるけど、正しい論評っぽいから仕方ないね。


「さて、そんな使いようもない馬鹿が焦って寄越した刺客が、どんな情報を持っているか・・・いや、持たされているか。穴熊亭で飯でも食いながら、ゆっくり聞こうじゃないか。」


「食事と尋問は別にしたいですわね。せっかくの穴熊亭の昼定食が台無しですわ。」


「あんた、意外と普通の食べるんだね。わざわざシチューとかフォンデュとか頼むのかと思ってた・・・」


「わたくしを何だと思っていますの!?」


「なんちゃってお貴族。」


「そこにお直りなさい!その認識ごと、あなたを叩きなおして差し上げます!!」


「いいよ、かかって来な!!」


少し暴れ足りなかったから、ちょうどい・・・あいたっ!?


「きゃっ!?」


院長に二人して拳骨を落とされた・・・いってぇ。


「ほれ、じゃれあってないで、さっさと行くよ。あたしゃ、腹減ってんだ。」


そう言って、院長はさっさと歩き出した。


あたしとリリスはズキズキと痛む頭を押さえながら、その後を追うのだった。




・・・でも、このときのあたしたちはまだ知らない。


ババアに連れられて行った穴熊亭の地下。


そこでさらなる予想外に襲われ、呆れ困惑し、もはや混乱すらする羽目になることを・・・院長(ババア)ですら、予測できてはいなかったんだ。



次回の更新は11月8日(土)午前6時の予定です。

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