第65話 疑問+解散=デジャビュ
「今こそ!あたしは、鳥になる!うおおおおおおおおお!!」
こんにちは、リタちゃんです。
さて、あたしは今、ゴテゴテとしている割に軽い装備を着けて、建物の屋上から飛ぼうとしています。
どうしてそんなことをする羽目になっているのか、少し振り返ってみよう。
「なーなー、リタ姉ちゃん。人って、どうして空を飛ばないんだろう?」
暇だからと近所の空き地に顔を出してみれば、こきでいつも集まって遊んでいるガキンチョの一人のラー坊が急にそんなことを言い出した。
「ラオ、あんたバカねぇ。人には翼がないんだから、飛べるはずないじゃない。」
ため息をつきながらそう指摘するのはガキンチョ其の二のサシャ。
強気でおしゃまな感じの女の子ね。
「人は飛べない。常識。」
無口な女の子のミリも同意する。
「否、人は美味を味わえば空をも飛ぶ心地になれる!」
そして、なんか時代掛かった喋り方の少年、ゼルがそう反論した。
ちなみに、このゼルが謎に美食家っぽい食レポしてたやつね。
「それ、あくまでもそういう感じってだけでしょー!」
「ん。それは飛んだとは言わない。」
「さすがにそれは飛んだって言えなくねえ?」
総スカンだね。
くらったゼルは肩を落としちゃってる。
「それよりも、なあリター。人だって空を飛べるよなー?」
お、ここであたしに振ってきたか。
「どうだろうなー。さすがのあたしも空を飛んだことはないからなー。」
「ならば、試すしかあるまい!」
ここで、あたしとガキンチョ共以外の人間の声が割り込んできた。
声の元は空き地の入口。
そこにいたのは・・・!!
「誰だ!?」
「聞かれれば答えよう。我が名は・・・」
「シュバルツじゃん。なんでいんの?」
あたしが隣国から連れて来た元魔物の魔人、シュバルツが似合わないハイテンションで空き地の入口にいた。
「院長に言われてお前を探しに来たのだが、気になる話が聞こえて来たものでな。」
「そっか。それにしてもテンション高くない?どうしたの?」
あんた、クソ真面目キャラではあっても、ハイテンションキャラじゃなかったでしょ。
あたしと別行動になってから、いったい何が・・・?
「む?子ども相手にはこのぐらい元気な方が良いと教わったのだが・・・違ったか?」
「あー、習ったことを試してたのね。」
このシュバルツ、元魔物なだけあって人間社会の常識が皆無だったから、院長の元で社会勉強兼修業中の身なんだよね。
「それで、ババアがあたし呼んでた?なんの用だろ?」
「なにやら隣国がらみと言っていたが・・・」
「げ。」
そっち関係に動きがあった感じかな。
平和な日常もそろそろ終わりかぁ・・・。
「ハァ・・・。」
「肩を落としている者に言うのもなんだが、急いだ方が良いのではないか?」
「げげ、そうだった!そんじゃガキども、あたしは行くから、晩御飯の前には帰るんだぞー。」
「「「「はーい!!」」」」
ってな感じにこの場は解散して、さっきの話はうやむやになった・・・と、あたしは思ってたんだけど・・・
またもや後日。
「人は空を飛べるのか?偉大なる挑戦が、今、始まる!!これより、第一回レイクディーネ飛翔研究会を開催しまーす!!」
「「「「「「わーーー!!!」」」」」」
なんか、大ごとになってた。
つい最近も似たような流れがあった気がする・・・。
とまあ、こんな感じで、ガキどもからまたもや親連中に話が流れて大ごとに。
こうして、あたしが鳥にならざるを得ない状況ができあがったのだった。
・・・隣国に動きがあったのに、こんなことやってていいのかって?
まあ、そこは追々よ。
次回の更新は10月25日(土)午前6時の予定です。




