第6話 穴場+子リス=尋問
「ふぉんでほー。」
「ちゃんと飲み込んでから喋りなよみっともない。」
暖かな陽気に包まれた、とある昼下がり。
あたしは引きずってきたチンピラ3人を引き渡して、そのままそこでご飯を食べています。
「んぐっ。・・・そんでよー、さっき連れてきた奴ら。どんな感じ?」
「えっと?どんな感じも何も、まだ絞り始めたばっかりで・・・ん?どうしたの?」
ちなみに、あたしが話しかけてるのはこの「穴場の店」こと「穴熊亭」の店主。
名前をシェリーという、どこからどう見ても「穴熊」というよりは「子リス」な感じの少女である。
そんなシェリーに話しかけてきたのは下で尋問を担当していた従業員。
こっちは普通の成人男性ね。
シェリーとコンビを組んでこのお店を切り盛りしてるんだけど・・・そういえば、こいつの声って聞いたことないな?
いつもシェリーに囁いてるとこしか見たことないしなあ。
どんな声なんだろ?
「うん・・・うん。え?・・・うん・・・ええー?」
あたしがどうでもいいことを考えていたら、シェリーが呆れたような声を出した。
え、なにごと?
「もう洗いざらい吐いたって。まだほとんど何もしてないのに・・・。」
うわー。
見た目通り、根性無しなただのチンピラだったかー。
「喜びなさい。あんたがさっきまで気にしてた“あんた以上の手練れ”なんていないみたいよ。」
そう。
さすがに上手くいきすぎだと思ったあたしは、実はずっとそれを警戒していた。
世の中は広い。
あたしなんか目でもないような強い奴が、世の中にはごろごろいるのだ。
そう考えたら、あたしワクワクしてきたぞっ!!
「・・・あんた、またどうでもいいこと考えてるわね?」
「な、何故バレた!?」
「わかりやすいのよ・・・。まあ、そんなことより。」
こほん、とシェリーは咳払いをする。
「尋問した結果、こいつらはただのチンピラで、ほとんど情報は持っていないみたいね。ただ、連絡役がこの街に潜り込んでるみたいだから、詳しいことはそっちから聞けばいいと思うわ。」
「そっかぁ。で、その連絡役については?」
「いや、それもねえ・・・。」
「え?まさか・・・。」
「うん。警戒網のど真ん中に引っかかってる。むしろ逃がすのが難しいぐらい。」
「うわあ・・・。」
ここ、レイクディーネは追放修道院を有した都市だ。
追放修道院は、その名の通り追放された者が集う。
追放されるような、何らかの罪を背負った罪人・・・つまりは立場の弱い女性が集うのだ。
その事実だけを見てちょっかいを出してくる輩も存在する。
それらに対抗するために、ここでは様々な手段を講じているのだが、警戒網もその1つだ。
「まあ、なんにせよ解決しそうなら良かったよ。あたしも安心して飯が食えるってもんだ。」
「安心するのはいいけど、あんた今日のお勤めは終わったの?」
「あー、シェリーのご飯は美味しいなあ。」
「それは嬉しいことを言ってくれるわね。」
「うん!あたしここのご飯大好き!」
「で、あんた仕事は?」
ちっ、誤魔化されなかったか。
「ご飯くらいゆっくり食べてもいいじゃん。ほら、チンピラが根性出して意外と口が堅かったとかさ?」
「いや、もう院まで連絡回してるから。諦めてさっさと食べてお勤めに戻りなさいな。」
「ちぇー。」
あたしは渋々、とはいえしっかりと食事を味わうと店を出て修道院へと帰還。
そこからは元の予定通りにお勤めを果たした。
ここから数日が何事もなく過ぎ、あたしはお役御免かな?なんて考えていた昼下がり。
商人のおっちゃんの護衛に選ばれたのを、あたしはババアに呼び出されて知ったのだった。
次回更新は4月15日土曜日の午前6時予定です。