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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第59話 鍛錬+呼び出し=拳骨

「995・・・996・・・」


窓から木漏れ日の差し込む穏やかな昼下がり。


修道院の中庭、その端にある柱の陰の通路。


すぐには見つかりにくいそこから、数字を数える声が響く。


「1051・・・1052・・・」


壁には竹ぼうきが立てかけてあり、掃除をさぼっていることはバレバレだが、そもそも人が通りかからないので問題ない。


そこをのぞき込めば、そこには修道服のままで指立て伏せをする一人の美少女シスターこと、このあたし、リタちゃんの姿が!


と、いうわけでこんちはー、リタちゃんです。


一週間前にレイクディーネの修道院に帰ってきたあたしは現在、いつもの日常に戻って、肉体鍛錬に励んでおります。


うん、まあ、さっきも言った通り本当はお掃除のお勤め中なんだけど、少し休憩中。


お掃除はこのあとでちゃんと終わらせるし、サボりでも鍛錬中ならちょっとは見逃してもらえたりするから、大丈夫だいじょうぶ。


「1562・・・1563・・・」


「何をしてますの、あなた?」


なんて、思ってたらうるさいのが。


・・・ま、いっか。


「1564・・・1565・・・」


「あなた、わたくしを無視するなんて・・・本当にいい度胸ですわね。」


声をかけてきたのはリリスっていう修道院の同僚。


まあ、あたしとは性格が正反対で細かいことでうるさいから、よくケンカする。


少し前まであたしと同じく国境の村での任務に行っていたこいつも、同じタイミングで戻って来ていた。


「1566・・・1567・・・ドリルうるさい・・・1568・・・」


「なんですってぇ!!」


しまった、つい本音が。


でも、肉体鍛錬中だから、これ以上の手出しはしてこない。


自己鍛錬を邪魔するべからずっていう、この修道院の隠れたルールだね。


いや、マジで修道女ってか修行僧みたいなルールだけど、あたしは助かってるし、文句はない。


疑問はあるけど、鍛錬できる環境の前では些細なものさ。


「・・・それにしてもあなた、相変わらずめちゃくちゃですわね。なんで指の力だけで全身を浮かして体を上下できますの?」


「1773・・・練習すれば誰でもできるって・・・1775・・・」


「できないから呆れてるんですのよ、この筋肉おバカ。」


このふわふわぼでーのあたしを捕まえて失礼な・・・


「1999・・・2000!」


「終わりですの?」


「うん。」


あたしは指立ての姿勢を解いて、その場に座りなおす。


「筋力トレーニングもほどほどにしませんと、見た目がムキムキになってしまいますわよ?」


「大丈夫、ならないから。あたしの腕、触ってみ?」


リリスに二の腕を差し出す。


「これは・・・!もっちもち・・・」


「筋肉は柔らかさも大事だからね。必要な時だけ、固くできればそれでいいのよ。」


リリスはもっちもっちとあたしの二の腕を揉んでいる。


・・・一心不乱に揉んでいる。


「・・・いつまで揉んでんの?」


「はっ!?わ、わたくしはいったい・・・」


「いや、知らないよ。」


人の腕を夢中で揉みしだいてくれてからに・・・まったく。


ふっ・・・あたしも罪な女だぜ。


「それで?見ての通り忙しいんだけど?」


「サボっておいてどの口が言いますか。」


「この口。」


「そ・う・で・す・わ・ねー!」


「いひゃいいひゃい!」


横に引っ張ってぐにぐにするなー!


「さて、お仕置きはこんなところですわね。」


あたしのお口から手を離したところで、リリスは本題に入るらしい。


「院長がお呼びですわ。」


「げ。」


「残りのお掃除はやっておいてあげますから、早くお行きなさい。さっきまでのやりとりで結構時間を・・・って、話は最後までお聞きなさいな、まったく。」


リリスが後方でなんか言ってる気がするけど、それどころじゃない!


あの院長(ババア)は理不尽の権化。


早く行かないと拳骨を落とされる!


あたしはただ急ぐだけでなく、壁や天井といった空間も足場に、三次元的な動きで院長室へと走っていく。


途中ですれ違った子が驚いて洗濯物を落としたりしてたけど、新入りかな?


こんなのは日常茶飯事だ、慣れてくれ。


そんなこんなで、三階にある院長室まで五分とかからずに到着!


ドアをバーンと開ける!


「呼ばれたって聞いて来ました!」


「もうちっと落ち着いて入って来な!」


ゴン!と拳骨をくらう!?


いってぇ・・・


「ぐおぉ・・・」


「ったく。ちったぁ慎みや淑やかさってもんを覚えな。」


「どの口が・・・」


「なんか言ったかい?」


「いえ、何も!」


くそっ!拳を構えるのは卑怯だぞ!!


「それで、何の用?」


「・・・はあ。」


態度の変わらないあたしにババアは溜息をつくけど、諦めたのか面倒になったのか、そのまま話を進めだす。


「あんたに客だよ。ほれ。」


そう言ってババアが指した先では・・・


「うふふ・・はーい、リタちゃん。」


リーフィ侯爵夫人こと、アンネマリー・リーフィがのほほんと微笑んでいたのだった。





次回の更新は9月13日(土)午前6時の予定です。

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