表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/78

第57話 暗殺+潔さ=無意味

むっすー。


「いい加減、腹を括りなって。」


「・・・いや、括ってはいるよ。」


「じゃあ、さっさと機嫌直しな。そろそろさね。」


「・・・わかった。」


いつまでも膨れててもしょうがないしね。


ってことで、おっす、あたしリタちゃん。


王族暗殺とかいうアホな任務の実行犯に抜擢されて、しかも強制連行。


そりゃ膨れるよねって内容だけど、仕事は仕事。


そういうのはしっかりこなすのがポリシーのあたしは、渋々、二代目について仕事に来た。


まずは潜入をどうするんだろう、って思ってたら二代目の手引きであっさり成功。


しかも、ここ前王弟のいるお城みたいなんだけど・・・え、警備ザルすぎない?


「そうでもないよ。あたしが前から入ってるから、簡単に入れたってだけさね。」


いや、絶対に簡単じゃないって。


今もすれ違った使用人に「お疲れ様です」って普通に挨拶してるし。


馴染みすぎじゃない?


「あんたもこんぐらい、できるだろう?」


「できるけど、この規模の敵地ではもっと慎重になるって。」


マジですげえな。


いや、でも良く考えたら当然か。


あたしの潜入のノウハウの師匠は今の院長。


そしてこの人はその直下の二代目なんだし。


「あんたも教わったろ、大事なのは雰囲気に馴染むこと。違和感を感じさせないことだよ。」


「いや、それが難しいんだけど。しかも、あたしもいるのに違和感を感じさせてないし・・・」


「そこも、元々想定してそういう動きをしておくんだよ。だれか一人増えたところで問題ないような普段の動きをね。」


「いや、できないから。」


院長(ババア)に習った時も思ったけど、どう考えても無理だって。


・・・でも、習い終わるとできるようになってるの、何でなんだろうね?


リタちゃん、不思議。


「ま、今度教えてやるとするよ。ほら、今度こそもう着くよ。気を引き締めな。」


「はいよ!」


いつの間にやら、前王弟の部屋の前に到着。


二代目がドアをノックし、楚々とした動きで部屋に入り、あたしもそれに続く。


「・・・来たか、マリア。このタイミングで貴様が来たということは、我が陣営は詰みのようだな。」


「そうですわね。」


「その喋り方は止めよ。寒気がする。」


「・・・へいへい。ま、あんたっていうキングの前にポーンのあたしらがいる時点で、そりゃ詰みさね。」


「貴様がポーンなものか。どう考えてもクイーンであろうが。」


「チェックメイトできればなんでもいいじゃないか。」


軽口を叩きあう二人。


あれ、この人たちって仲良い?


「幼馴染だからな、この程度はあいさつのうちだぞ、娘。」


あ、何考えてるかバレた。


どうして・・・


「顔に出てるよ。いくら何でも、油断しすぎじゃないかい?」


「いや、二代目がリラックスしてるし、いいかなって。」


「ん・・・」


「はっはっは!これは一本とられたな、マリア!まったくもって、愉快!」


「うっさいよ、エリック。」


おぅ、王族相手に名前呼び・・・


すごいな、幼馴染。


「ったく。さて、エリック。今日の要件だけど・・・」


「わかっている。俺の首でも取りに来たのだろう?ほれ、持ってけ。」


「いや、軽!?そんな物みたいに・・・」


「何を言う、マリアの連れの娘よ。」


「あ、あたしリタちゃんです。」


「ふむ、リタチャンよ。」


「いや、すんません、リタです。」


「・・・そうか。すまぬ。」


「いえ。」


き、きまずい。


まさか、シュバルツと同じ間違いをする人がいるなんて。


さては、この人、生真面目だな?


なんか、聞いていた印象とさっきからだいぶ違うし、これ、どういうこと?


「その戸惑いは当然だが、良いのか?俺を知れば、首が獲りにくくなるぞ?」


「あ、そこは仕事なんで、お構いなく。」


「そうか。・・・マリアよ、この娘、アレだな。」


「ああ、言わんとすることはわかるよ。良い拾い物だろ?」


「然り。俺の周りにも一人欲しかったな、こういうのが。」


褒められてるんだろうけど、なんか釈然としないな。


「さて、リタよ。改めて問おう。貴様らは俺の首を獲りに来たのだろう?」


「そうだけど、首だよ?とられたら死ぬよ?」


「然り。だが、貴様らはそれが任務であろう?国の暗部が人を送り込んできた。即ち、俺が見過ごせなくなったのであろう。」


「正確には、あんたの派閥が、だけどね。」


「その頭は俺なのだから、俺を見過ごせなくなったのと変わらんだろう。なんせ俺は、王位に執着する愚かで傲慢な王族らしいからな。」


「それだよ!」


やっぱりおかしいって。


「む?なにがだ?」


「今、話している殿下のその風評だよ。全然そんな風に見えない。むしろ理知的だよね?」


「それはまぁ、演技だからな。」


「普通にぶっちゃけた!?」


それ、隠しておいたんじゃないの!?


あたしは思わず二代目を見ると、二代目も珍しく目を真ん丸にして驚いていた。


「あんた、それは・・・」


「ふむ・・・どうやら、俺はこのリタという娘を存外気に入ったらしい。自分でも驚いているぞ、マリアよ。」


「・・・そうかい。」


あれ、なんだか二代目が面白くなさそうな・・・?


「ふっ。安心するがいい、マリアよ。俺の心は、いつだってお前のものだ。」


いきなり二代目を口説きだしたぞ、この前王弟!?


「・・・何を言ってるんだい、まったく。」


ん?呆れてるように見えるけど、二代目のこの反応って・・・


あ、ヤバい二代目の目が怖い。


あたしは何も気づいてないですよー。


口笛とか吹いてみたり。ぴゅー、ぴゅー。


「吹けてないし、ここで音を出すのはお止め。」


「ごめんなさい。」


潜入中だったね、忘れかけてたけど。


「さて、本題に戻そう。俺の首を持っていけ。」


「いや、さっきはああ言ったけど、やっぱりまともな人の首とか持って行きづらいって。」


良心が咎めるじゃん。


「ふむ・・・だが、俺が死なねば、内戦が始まるぞ。今が最後のチャンスだ。俺を打ち取れば、派閥は瓦解する。」


「いや、そんなはずないだろう?」


前王弟殿下の主張に対し、二代目は呆れ気味に反論する。


「む?俺は派閥の頭だぞ?」


「表向きは、ね。あんた、やりすぎなんだよ。神輿の頭を軽くしすぎて、価値が下がり過ぎた。あんたがやられたところで、裏で牛耳ってたやつが出てくるだけだよ。」


「ふむ、ゴルドラ侯爵か。」


ゴルドラ侯爵・・・典型的な傲慢貴族で有名なやつだ。


貴族以外を人とは思わず、贅沢三昧。


表の前王弟殿下を隠れ蓑にして、好き放題やってるってのが、修道院(うち)の調査でも判明してる。


説明してくれた時のサリアが、珍しくすごく嫌そうな表情だったから、印象に残ってる。


「ただあんたを殺したところで、『私が殿下の意思を引き継いだ!』とかなんとか言って出てくるよ、あのハゲ。」


あ、ハゲなんだ、ゴルドラ侯爵。


「むぅ・・・参ったなぁ。」


「はぁ・・・まったく、あんたは昔から肝心なところで抜けてるんだよ。」


「・・・こうなっては、反論できん。」


「そこで、あたしから提案があるのさ。」


「聞こう。」


「あんた、本格的にクエイ公国と内通してみないかい?」


「なに?」


手詰まりの状況を打破するために、二代目はとんでもない提案を前王弟に持ち掛けたのだった。




次回の更新は8月30日(土)午前6時の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ