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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第54話 悲鳴+火傷=決意

お知らせ:前話の国境の街ベリエルの状況説明において、少しわかりにくいところがあったため、修正しました。

     具体的には、ベリエルには夜の食事処が酒場しかない旨を追記いたしました。

「ぐうううぅ、おおおおおおお!!」


「やめろ、ダルセム!!」


「ちょ、ダルセム!?何してんの!?」


時は一週間ほど前に遡る。


隣国クエイ公国に転移してしまったあたしは、元変異オーガのシュバルツとあたしを転移した元凶であるダルセムと一緒に、森の中で野営をしていた。


あたしの所属は追放修道院・・・つまりは元罪人だ。


そんな人間を軽々しく、それも正規の手続きを得ていない状態で国外に出すことなんて、本来はありえない。


なので、あたしたち・・・というか、あたしは公国の人間に見つかる訳にはいかず、街道を避けてシエル王国への帰還を目指していた。


土地勘のあるダルセムの話では、普通は一週間あれば王国まで戻れる位置に転移していたらしい。


でも、あたしの存在を隠す意味もあって、森や山を進む関係上、想定以上に時間がかかっていた。


そんな状況での野営なので、食料や野営道具は現地調達になる。


あたしは修道院でサバイバル訓練を受けてるし、シュバルツは元魔物。


なので、そういった技能に乏しいダルセムの野営での役目は、必然的に薪集めと焚火づくりになる。


ダルセムが薪を集めて焚火を作り、シュバルツが周辺警戒、そしてあたしが獲物を狩るというのが野営時の定番になっていた。


そんないつもの割り振りでの準備中にさっきのダルセムの悲鳴が響き渡ったわけだから、あたしとシュバルツは大慌て。


最初は敵襲を疑ったけど、現場に駆け付ければ、すぐにそうじゃないとわかった。


この辺りの魔物はそこまで強くないし、シュバルツが逃しそうな魔物もいないとダルセムも言ってた。


それに、鼻腔をくすぐる独特な匂いと、駆け付けたときにダルセムを抱えていたシュバルツとその言葉。


どう見ても、シュバルツがダルセムを焚火から引き剝がしていた。


ダルセムは、自分で自分の顔を焼いてたんだ。


「ぉぉぉぉ・・・」


「服や髪に火はついてない・・・シュバルツ、薬草探して採って来れる!?」


「いくつか心当たりがあるが、人に効くかがわからん!」


「そっか・・・じゃあ、ダルセムをお願い!あたしが探してくる!」


あたしはそう言って森へと駆けだした。


この世界には火傷に効く薬草は確かにある。


しかも、採取難易度もそこまで高くなく、雑草に交じってそこらへんに生えていたりもする。


でも、あくまでも薬草は素材・・・特に火傷に効く薬草は、しっかり加工して効力を高めなければ効き目には期待ができない。


それでも、ないよりはましだと考えて、簡単に加工してダルセムへと持っていく。


「ダルセム、大丈夫?」


火傷はひどいもので、顔の半分が完全に焼け爛れてしまっていた。


あたしはそこにすり潰した薬草を塗りながら問いかける。


けれど、痛みによってダルセムは朦朧としており、呻くのみで話は聞けそうにない。


仕方なく、ダルセムを看病しながら夜を明かし、翌日に話を聞くことにした。


「もう、大丈夫ダ。」


朝に起きたダルセムは、火傷で引きつった肌と痛みで話しにくそうにしながら、事情を話してくれた。


なんでも、ダルセムも早めにシエル王国へと入りたかったらしく、いい方法はないかと考えていたんだって。


それで、時間がかかるのはあたしの修道福が原因で集落に入れないからっていうことに気付いた。


シュバルツは元魔物なので常識がないから集落への潜入は厳しい。


かといって、ダルセム自身も自分を死んだことにしたいから、すでに地元じゃないとしても、集落には寄り付けない。


ならどうするかと悩んだ結果、ダルシムは思いついてしまった。


自分が顔を変えれば、別人として集落へ潜入して服を調達できるのではないか、と。


「それで、顔を自分で焼いたんだね?」


「あア。これなラ吾輩とは気づかれまイ。」


「いや、普通に変装すれば良かったじゃん?」


「それだとバレる可能性が高イ。吾輩ハこの国の出身だゾ。」


「あ、明言しちゃうんだ。」


「今更ダ。それニ、ここまでした理由もあル。」


「それは?」


「・・・家族ガ、人質にされていル。」


最初に協力させたときの態度から、そんなとこだろうとは思ってたけど、やっぱりか。


「任務を成功させれバ、家族ハ何も知らずに平穏に過ごせル。だかラ、吾輩は奴らに従っタ。逆らわズ薬を嗅いデ、自分が自分じゃなクなる感覚も我慢しタ!吾輩ハっ・・・ぐ・・・」


徐々にヒートアップしてきたダルセムは、苦しそうに呻くと、一度喋るのをやめた。


その顔には滝のような汗が流れていて、それすらも火傷にしみるはず。


そしてまた痛みで冷や汗が出る・・・負のスパイラルだね。


「そんな様子じゃ、今日は動けそうにないね。何をするにしても、明日かな。」


「俺も同意見だ。」


静かに周囲を警戒していたシュバルツも同じ意見らしく、あたしたちはダルセムを介抱しつつ同じ場所でもう一泊。


翌日にはダルセムも普通に話せるくらいには回復し、移動を再開した。


そしてたどり着いた街でダルセムがあたしの服を調達し、あたしたちは転移から二週間という早さでシエル王国へと帰ることに成功したのだった。


次回の更新は8月9日(土)午前6時の予定です。

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