第51話 友情+旅路=困難
お、おっす・・・ぜぇ・・・あたし、はあ・・・リタ・・・ちゃん。
なんでこんなにバテバテなのかと言えば、全速力で崩落する洞窟を駆け抜けて来たからです。
マジで、死ぬかと思った。
周囲には一緒に逃げてきたオーガたちがあたしと同じように地面に転がってる。
本来、人間と魔物なんて敵対関係だけど、こいつらとはもはや敵対できそうにない。
友情のような、仲間意識のような何かが普通に芽生えてしまっている。
それは向こうも同じようで、こっちを見る目がなんか温かい。
うん、とりあえず息を整えよう。
そして数分後、なんとか起き上がったあたしは、とりあえずオーガたちにこれからどうするのか聞いてみた。
どうやら新天地を探して旅に出るらしく、もう洞窟は懲りごりだとか。
いや、なんで話が通じてるんだって言われたら、「勘で、なんとなく」としか言えないけども。
だって端から見たら
「どうすんの?」
「ガウ」
「そっかー。」
「ガウアー。」
ってな感じだもの。
会話って何?ってレベルだけど、わかるんだからしゃーない。
ちなみに、群れの長は今回の脱出では伸びたまんまだったけど、一応続投ではあるらしい。
ただ、今回の件で群れ全体の考えも変わったらしく、場合によっては長交代に踏み切るかも、とのこと。
まあ、そこは頑張ってとしか部外者のあたしには言えないけどね。
そんなこんなであたし&シュバルツとオーガの群れはここで分かれることになった。
群れのほとんどが去り際にシュバルツに申し訳なさそうに謝ってたから、内心では罪悪感を持ってはいたらしい。
・・・これ、群れの長の交代は決定じゃないかな?
「さて、次の問題はここがどこなのか、ってことかな。」
「?? 森だろう。」
「それは見ればわかるって。そうじゃなくて、ここがどこの森なのかってこと。」
「そうか。しかし、俺には人のつけた名前などわからんからなあ・・・」
そういえば、今は褐色の少年だけど、シュバルツってば元々変異オーガだった・・・
そりゃ、知らなくて当然かあ。
「だが、人がたくさんいる場所なら知っているぞ。あっちの方角だ。」
「お!じゃあ、とりあえずそっちに行ってみよっか。人に会えればここがどこかわかるだろうし。それに、引きずってるこいつもなんとかしないとだしね。」
そう、引きずるのが自然になって、存在を忘れそうになるこの村人ぐるぐる巻きを。
「その武器をか?」
「いや、これ捕まえてる敵。」
確かにぶん回して武器にしてたけどね。
ともかく、そんなお気楽な感じで歩き出した今のあたしはまだ知らなかった。
捕まえてる村人は目覚める度にうるさいから黙らせ、半日かけて森を踏破した先でたどり着いた街の門。
そこの門番の鎧が、あたしのいたシエル王国のものではないことを。
そして、追放修道院に所属しているあたしが隣国に踏み入った事実を作らないため、ひたすら隠れて帰国を目指す羽目になるなんて、このときのあたしには知る由もないのだった。
次回の更新は7月19日(土)午前6時の予定です。




