第50話 異音+疾走=芽生え
ちっす、あたしリタちゃん。
洞窟の外を目指していたあたしたちは、今・・・
ズドドドドドドド・・・
『『『『『ウガアアアアアアアアア!?』』』』』
「ノオオオオオオオゥッ!?」
「うおおおおお!?」
その他のオーガと一緒に全力疾走をしています。
さて、何故こんな状況になっているか、なんだけどそれは至って単純。
洞窟が崩落しかかっているからですねー、バカ野郎!
シュバルツの案内に従って、ゆったりと外へ向けて歩いていたあたしたちなんだけど、あるとき後ろの方から地響きみたいなのが聞こえて来たんだよね。
最初は、さっきのやつみたいに追手かな?って思ってたんだ。
いや、それも間違いではなかったんだけど、そんな風に楽観的に考えてたら、突然シュバルツが「まずい。」って言い始めた。
しかも、冷や汗を垂らしながら。
「どうしたの?」
「なあ、そこの壁、どう見える?」
「震えてるね。」
「だよなあ!走るぞ!」
「え?急に!?」
唐突に走り出したシュバルツに狼狽しながらも、あたしは遅れずについていく。
引きずってた村人?
凧揚げみたいになってるよ。
「流石にあんたでも、この狭い空間で大人数の戦闘は避けたい感じ?」
「それは避けたいが、そうじゃない!この洞窟は頑丈でな。大人数が暴れたところで、本来なら壁はビクともしない!」
嫌な予感がする。
「つ、つまり?」
嫌な、予感が、する!
「洞窟自体が震えている!早く出ないと、生き埋めになるぞ!」
「やっぱそういうことだよねー!」
当たって欲しくない嫌な予感ほど当たる!
あたしたちは全力で出口に向けて駆ける。
でも、奥の方からの振動はどんどん大きくなってきてる。
『『『『『ウガアアアアアアアアア!?』』』』』
そして、奥からたくさんのオーガが追いついてきた。
「はっや!?」
「やつらも必死だ。ペースを上げるぞ!」
全力疾走しながらすこし後ろを見れば、みんな無我夢中で走ってる。
良く見たら2体ほど運ばれてる個体がいる。
ああ!あたしらが倒したあいつらか!!
ちゃんと仲間意識があるのか、しっかりと運ばれてる。
そんなことに感心しながら、あたしたちは出口へ向けて全力で駆ける。
なんだったら、もう横並びで走ってる。
足がもつれそうになった個体がいたら、手を貸すくらいには同列に走ってる!
奥では崩落が始まってるのか、ガラガラという音も聞こえてきてるし、なんなら大きくなってる!
「!!あれは!?」
そして遠くに見えてくる光。
それはもちろん・・・
「出口だ!」
「ラストスパートオオオオオオオオ!!」
『『『『『『グオオオオオオオオオ!!』』』』』』
あたしたちは走る。
一丸となって、全力で、自身の生をかけて。
そして、その光に全員が飛び込んだのと同時に、ガラガラガシャーン!!と入り口までもが崩壊。
ここに、オーガの住処の洞窟は完全に崩落し、あたしたちは誰一人として欠けることなく走り抜けることができたようだ。
外は森へと通じており、洞窟の前はちょうど開けた空間だった。
あたしたちは全員がそこへ倒れ込み、大の字に転がっていた。
生き残った。
あたしたちにはその実感と、満足感があった。
あたしとシュバルツ、そしてオーガたちにはもはや敵対心などなく、むしろ共に生き残った仲間意識さえ芽生えていた。
そんな爽やかな空気が、この空間には流れている。
・・・内心、崩落の原因に心当たりのあるシュバルツとあたしは、その可能性からは全力で目を逸らすことにしたのだった。
次回の更新は7月12日(土)午前6時の予定です。




