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第5話 問題児+路地裏=穴場

修正報告:あらすじで修道院名が『ディーネ修道院』になっていたので『レイクディーネ修道院』へと修正しました。

「ふう・・・。こんなところかね。」


ここはレイクディーネ修道院の院長室。


ババアが大人げなく権力を使ったあの後、現場のブツを副院長に任せたあたしたちはここで商人のおっちゃんから経緯を聞いていた。


で、その内容なんだけど・・・思っていたよりもえぐかった。


なんでも、あの麻薬の原料をおっちゃんに預けた相手・・・長いから麻薬野郎でいいや。


麻薬野郎はおっちゃんの若い頃からの知り合いで、盟友と言ってもいいくらいの間柄だったらしい。


お互いの商売を軌道に乗せるに当たって苦楽を共にしたとかなんとか。


そんな相手だから騙されるなんて思ってもいなかったし、おっちゃんに流れてくる評判も良いものが多かったらしい。


だからこそ信用していたし、未だに犯罪に巻き込まれた実感も薄いそうだ。


「これでも、人を見る目には自信があったのですが・・・どうやら私の目は節穴だったらしい。」


「そうだねえ。あんたは少し、他人を信用しすぎだよ。もっと疑ってかかりな。特に、古い知り合いなんてのはね。」


「さすが、ババアは長生きなだけあって言葉の重みが違うな。」


「そう思うんだったら、ちったぁ言葉遣いに気をつけな!このじゃじゃ馬娘が!!(ゴチン!!)」


いったぁ!?拳骨しやがったこのババア!!


「身長伸びなくなったらどうすんだよクソババア!!」


「こんくらいで成長が止まるほど人間はヤワじゃないよ。」


飄々とそう言い切るババア。


くそう。


「・・・・・・。」


ババアが急に黙って考え込む。


そして一瞬だけ視線をあたしに寄越すと、次の指示を出し始めた。


「さて、リタ。良い時間だし、あんたは飯でも食ってきな。前に教えた穴場があったろ?」


「・・・あいよ。じゃ、おっちゃんまたな。」


「ああ。リタちゃん、今日はありがとうね。君が気づいてくれなかったら、私はどうなっていたか・・・。」


「気にしなくていいよ!そんじゃね!!」


おっちゃんに挨拶して、あたしは修道院を出て昼食に向かう。


このレイクディーネ修道院、昼食は各自でとることになっているのだが、なんと外食も許可されている。


なんでも「健全な精神を育むには適度に開放的でなければならない。」という、昔からの方針らしい。


さすが、酒浸りな上に壁をしょっちゅう破壊するような豪快なババアが院長をやってるだけあるよね。


とはいえ、ここは更生施設でもあるので誰でも外出できるというわけではない。


けれど、あたしはもうここに来て5年が経つ。


そりゃ、自由に外食する許可ぐらい下りるってもんだね。


そんなこんなで、あたしは食事をするためにお淑やかに歩いて穴場の店へと向かう。


その途中、大通りから小さい路地へと入って少ししたところ。


そこで、それは行動を起こした。


「おい!待ちな、シスターのお嬢ちゃん!」


声をかけられたあたしは、驚いたように肩を跳ね上げる。


そして恐る恐るといった風に振り向くと、そこにはいかにもといったガラの悪い男が3人いた。


「わ、わたくしにいったいなんのご用でしょうか?」


声を震わせつつ、いかにも怯えてますって感じに返事をする。


そんなあたしを見たチンピラ3人組は、得意そうに話しかけてくる。


「へっへっへ。」


「まあ、そう怯えんなや。」


「ちょっと聞きたいことがあってよう。」


「な、なんでしょうか?」


ますます縮こまってみせると、思い通りにできるとでも思ったのか、3人はあたしに下衆な視線を向けてくる。


うげぇ、超不快!!


でも、今は我慢しねえとな。


あー、気持ち悪っ!!


「さっき、あんたが出てきた修道院に商人がいただろ?」


ビンゴ。


うまく釣れたようだ。


「俺たち、あいつの連れでよぉ。」


嘘だ。


連れというのは護衛を指してるのだろうが、あのおっちゃんはあれでも大店の店主だ。


こんな質の悪いのを雇うはずがない。


「雇い主がいつまで経っても出てこないもんだから、なんかあったのかとおもってよぉ。」


だったら直接行って確かめればいいのに、こんな路地裏でシスターに話しかけるのは明らかに変だ。


「なあ、何か知らねえか?」


「えっと・・・その・・・あの・・・。」


とりあえず、恐怖で言葉が出ないフリをしながら周囲の気配を探る。


この3人以外にいる気配はないが、いくらなんでも探りが下手すぎる。


あたしが気づけないほどの手練れが、潜んでいるとか?


「あのとかそのとかじゃ、なぁんもわかんねえんだけどなあ!!」


あたしがまごつく様子に、チンピラの1人が声を荒げる。


本格的に脅しにかかってきたな。


「まあ、落ち着けよ。悪いな、嬢ちゃん。こいつは気が短くてよ。」


お?


「俺たちはただ、雇い主のことが聞きたいだけなんだ。質問に答えるだけでいいだが・・・。」


へえ・・・恐怖の後に優しくして、口を滑らせ易くしようってか。


分担してるけど、やり口がまんまDV男のそれじゃね?


ま、せっかくだし、ちょっと揺さぶってみるか。


「あ、あの商人の方は院長に大切なお話しがあるとかで、ずっと話し込んでるみたいです。」


「へえ・・・。その内容は知ってるの?」


「そ、その実は少しだけ話が聞こえてきて・・・。」


ここで3人の雰囲気が少し変わった。


「何でも、高いお金になる商品を仕入れたとかで・・・。」


「そっかそっか。・・・ねえ、そのお話を聞いちゃってたのは君だけ?」


「は、はい。近くには誰もいなかったはずです。」


「うんうん、よくわかった・・・よ!!」


話していた男が、あたしに対して手を伸ばして捕まえようとしてきた。


あたしは仰け反ってそれを躱すと、その勢いのまま後ろに宙返りをする。


その動きの中で男の顎を蹴り上げ、手始めに1人を撃沈。


「「な!?」」


一瞬で攻守が逆転したこの突然の状況。


それに他の2人は対応できず、ただ驚きの声を上げる。


そんな隙を逃がすあたしではなく、向かって右側にいる男に素早く詰め寄ると、その首にラリアットを叩き込む。


「がぼぉっ!?」


男の口から、空気の抜ける音が出る。


この段階で、あたしの腕はまだ男の首にかかったままだ。


あたしはそれを利用して、男の体ごとクルリと横に1回転。


勢いをつけて、残った1人へとラリアットした男をぶん投げた!!


投げられた男はそれを避けられず、仲間の体が覆いかぶさる形で地面へと倒されてしまう。


「くそ・・・ぐっ!?」


そこから顔を出したが、あたしはそれを思い切り踏んづけて意識を奪う。


「戦闘終了っと。少し埃がついちゃったかな?」


着ている修道服をパンパンとはらう。


昼食に向かっていたはずが、思わぬ足止めを食った・・・訳ではない。


修道院を出るときにババアがあたしに言った「穴場の店」。


あれは作戦を示す暗号の1つで、内容は「誘いこんで確保」を示している。


だからわざわざ一人で裏路地に入って行ったし、修道院を出た段階で猫を被っていた。


それに、「穴場の店」ってのもこっちの協力者なんだよね。


だから、確保した対象をそこまで運ばなきゃなんないんだけど・・・


「面倒だなぁ・・・こいつら、無駄に頑丈そうだし・・・よし!」


ロープで縛って引きづってこ。


あたしはロープで3人の足首を縛ると、気が付かれても喋る余裕がないように走って穴場の店へと向かうのだった。





次回更新は4月8日(土)午前6時の予定です。

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