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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第48話 進化+暴力=反撃

存在進化。


それは、魔物のみに限らず、この世界における生物全てに起こる現象らしい。


「とはいえ、どの生物も条件はわかっていないし、たいていはそんなことになる前におっ死ぬ。やろうと思ってやれるもんでもないし、見れたらラッキーぐらいに思っておきな。」


院長(ババア)も以前にそう言ってた。


「まさか、それを目の前で見ることになるなんてね・・・。」


あたしが“シュバルツ”と名付けた黒いオーガは、目の前で浅黒い肌をしたあどけない顔立ちの少年へと変化した。


なんでそんなことになったのかはよくわかんない。


とりあえず、名前を付けた瞬間に進化した事実からは、全力で目を背けるとあたしは決めた。


「あたしはここから出ようと思うけど、シュバルツはどうする?」


「俺はお前に「あたし、リタちゃんね。」リタチャンについて「ちゃんは名前じゃないよ」リタについて行く。」


なんとなくわかってたけど、こいつ生真面目?


それも、融通が利かないタイプの。


「じゃ、行こっか。」


あたしが壁に向かって腕を振りかぶると、シュバルツから待ったがかかった。


「道なら俺がわかる。わざわざ壁を壊すこともないだろう。」


「えー、こっちのが早くない?」


「いいから、まかせてくれ。というより、そんなにポンポン穴を開けられてはかなわない。」


ここは洞窟なんだぞ、とシュバルツは言う。


正直、転移させられて破れかぶれになってたけど、やっぱり洞窟だったんだね。


ってことは崩落とかの危険もあったのかー。


・・・あっぶな!?


と、ともかく、あたしは冷や汗をかきつつ、シュバルツの案内に従って洞窟を進むことにした。


え?一緒に転移してきた村人?


もちろん、簀巻きにして引きずってますが、何か?


「躊躇なく歩き出したけど、さっきのでかいやつはもういいの?庇ってたじゃん。」


「そうだな・・・あいつは世話になっていた群れのまとめ役の一体だったのだが・・・」


オーガにもそういうのあるんだ。


「さっきの件で、さすがに愛想が尽きた。」


だろうねー。


そこからさらに詳しく聞くと、なんでもシュバルツはこの洞窟の外で発生した個体らしく、親切なオーガに拾われたんだって。


それが群れのリーダー的な存在だったらしく、シュバルツはリーダーの居候として、群れにいろいろと貢献しながら穏やかに暮らしていたらしい。


でも、そのオーガはちょっとした事故で亡くなっちゃって、リーダーは他に引き継がれたんだけど、そいつがだいぶ短絡的で嫌われてたやつらしい。


それなのに群れのリーダーになれたのは、単に一番強かったかららしい。


そして、あの大きいオーガはそいつの腰巾着だそうだ。


群れのリーダーの威光を借りて好き放題に振舞ってるらしい。


「やつらに群れを牛耳られてからは、皆大変でな。取り巻きもいたせいで、俺を含めてやつらを止められる者はおらず、好き勝手を許さざるを得なかったのだ。」


「でも、シュバルツは居候だったんでしょ?なら、さっさと出ていけば良かったのに。」


「前のリーダーがあの群れを大切にしていたからな。これも恩返しだと居残って耐えていたのだ。無論、そんなのは俺だけで、良識ある者はさっさと逃げて行ったがな。」


「誘われたりしなかったの?」


「誘われたさ。でも、断った。恩返しが済んでいなかったからな。」


だが・・・と言いながら、シュバルツは立ち止まって振り返る。


その視線は歩いてきた洞窟の奥を見つめていた。


「もう十分だろう。すでに、あいつの愛した穏やかな群れは存在しない。」


その方向から、ドシンドシンと足音が響いてくる。


明らかに追いかけられてるね・・・なんで・・・ああ、そういえば村人の簀巻きを引きずって、跡が残りまくってますねー。


あたしったら、うっかり!


「さっきも言ったが、あの状況で俺を攻撃するんだ。もう仲間ではない。それに・・・」


シュバルツがそこまで言ったとき、目の前にはさっき倒したよりも一回り大きなオーガが現れていた。


『ウゴオオオオオオ!!』


怒りを込めて吠える巨大オーガ。


でも、その咆哮が途切れる前に、シュバルツは巨大オーガの目の前に踏み込んでいる。


とっさに振るわれる巨大な腕。


結構なスピードのそれを、シュバルツはさっと避けるとその上に着地。


さらにそこから上に飛んで、巨大オーガに両手を組んだダブルスレッジハンマーをお見舞いする。


そして衝撃でたたらを踏む巨大オーガの顎先へと、すかさず膝蹴りを叩き込み、あっという間に巨大オーガを沈めてしまった。


「今の俺は、こんなやつより強いようだしな。」


「ひゅー!やるじゃん!」


思わず指笛まで吹いて褒めるあたしに、シュバルツは照れ臭そうだ。


「さて、遺恨も解消できたことだし、さっさと行こうか。」


「うん、こんな陰気な所とは、さっさとおさらばだね。」


「ああ、そうしよう。」


あたしの言葉を否定もできず、シュバルツは困ったような笑みを浮かべて歩き出したのだった。


次回の更新は6月28日(土)午前6時の予定です。

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