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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第47話 赫怒+名前=進化

・・・ちわっす、あたしリタちゃん。


目の前の黒いオーガが吹き飛ばされたのを見て、あたしは不覚にも大きいオーガの一撃をもろにくらってしまった。


受け身はとったけど、ダメージは大きい。


具体的には、左肩が外れてる。


けど、そんなことより、あたしは今、猛烈に腹を立てていた。


こいつ・・・味方を吹き飛ばしやがった。


それも、自分を庇ってくれた味方をだ。


『ガガガッ。』


しかも、それで鼻で笑ってる?


このクズ、許せねえ・・・!!


『ウグガッ・・・!』


だから、あたしは久々に、全力を出すことにした。


魔力を一息に全身に循環させ、基礎能力を強化。


灰色にスパークする魔力を纏い、瞬時に敵の大きなオーガへと接近。


その鳩尾にボディブローを叩き込んだ。


くの字に折れ曲がるオーガに、即座に追撃の蹴りを叩きつける。


吹き飛ぶオーガ。


でも、それだけじゃ終わらない。


オーガの吹き飛んだ先には、既にあたしが回り込んでいる。


ここから始まるのは、オーガを球にした一人ピンボール。


それも、意識を失わないように・・・いや、意識を失っても即座に目覚めるよう、適度に加減をした恐怖のピンボールだ。


薄暗い洞窟の中に灰色の光が煌めくたびに、オーガは傷ついていく。


打撃を叩き込んだ回数は53回。


キレイにその回数ぴったりの打撃で壁に埋め込んでやった。


目の前の大きいオーガにはこの段階では意識はない。


そして再び気つけしようと一際強い打撃を叩き込もうと振りかぶった右腕は、何かにガシっと掴まれた。


「邪魔、しないでくれる?」


その何か、いや、黒いオーガにあたしは語り掛ける。


横目でチラッと確認してみれば、この黒いオーガもボロボロだ。


あたしの肩を外したことといい、目の前で壁に埋まってるこいつの力は、かなり強いらしい。


「ガウ・・・!」


「無駄だよ。今のあたしは、あんたの力じゃ動かすことはできない。この拳をあんたごとこいつに振り下ろすのも容易い。だから、離しな。」


「ガウ!」


実力差は明らかなのに、それでも黒いオーガは首を振る。


「なんで、こんなのをかばうの?」


「ガウ。」


黒いオーガはまた首を振った。


ってことは、こいつを庇ってるわけじゃない?


「じゃあ、何で・・・もしかして、あたしのため?」


「ガウ。」


今度は縦に振られる首。


「ふ・・・ふふ。あははははははは!!そっか!こいつには殴る価値もないって訳!?あははは!!」


さっきまでの流れから大きいオーガを庇ってるのかと思ってたけど、結構辛辣な考えだったね!


この黒いオーガ、真面目そうなのに、見放されちゃったんだ。


まあ、確かにアレはない。


あたしでもブチギレてぶん殴るもん。


むしろ、あたしを止めるこいつは優しすぎるくらいだ。


「あー、笑った笑った。じゃ、もうこいつはいいや。」


あたしがそう言うと、黒いオーガはあたしの右腕を放した。


「にしても、やっぱ気のせいじゃなく、あたしの言ってることわかってるよね?」


「ガウ。」


「そしてあたしもあんたの言ってることがなんとなくわかる。」


人と魔物。


異なる種族と異なる言葉で意思の疎通ができている。


その現象は、この世界で確かに確認されているテイム・・・つまりは従魔契約した人と魔物のものと一致している。


「でも、それは契約魔法を使ったものであって、あたしはそんなものを使ってない。でも、まあどうでもいっか。何言ってるのかわかると便利だし。」


「ガウウ。」


使えりゃなんでもいい、だって学者じゃないし、あたし。


「じゃ、一緒に行こっか。えっと・・・」


「ガガウ。」


「え?名前ないの?まあ、そりゃそっか。でも不便だし、名前つけてもいい?」


「ガウ。」


「わかった。ちょっとまって、考える。」


名前・・・名前かあ。


あたし、お世辞にもネーミングセンスがあるとは言えないタイプなんだよねー。


黒いからクロ・・・オーガだし、オニ・・・合わせてクロオニ・・・クローニ・・・うーん、どれも微妙。


でも、他に思いつかないし・・・黒の言い換え・・・ブラック・・・アールエッ・いや、なんか危険な気がする!?


ならいっそ、それっぽい聞き覚えのある言葉で・・・


「シュバルツ。あんたの名前、シュバルツはどうかな?」


「!!」


あたしがそう言った途端、黒いオーガの全身が輝きだした。


そのまぶしさに、あたしは黒いオーガを直視できないものの、その気配は動いてはいなかった。


でも、その大きさはそうではない。


光を放ってる間中、黒いオーガの気配は大きくなり続けていた。


それは物理的な大きさではなく、存在の大きさ。


あたしの感じる黒いオーガの強さは、どんどん増していっている。


そして、光はそれから1分くらい放たれ続けてから収まった。


かすむ目を、魔力を体に循環させる応用で回復させたあたしが見たものは、黒いオーガではなかった。


そこには、浅黒い肌をした15歳くらいのあどけない顔立ちをした少年が静かに佇んでいた。


「シュバルツ、でいいんだよね?」


「ああ。俺はシュバルツ。よろしく。」


黒いオーガは名前を経て、その存在を次の次元へと進めた。


あたしは、図らずもその手伝いをしてしまったのだった。



次回の更新は6月21日(土)午前6時の予定です。

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