第44話 金髪ドリル+罠=救命
「なんですの!?」
ご機嫌よう、わたくしはリリス。
修道院の任務にて訪れた怪しい村落。
そこで突如として始まった魔物の襲撃に対処しているその最中のこと。
キィィンという甲高い音と共に、こことは離れた場所から光の柱が立ち昇るのを確認しました。
あの方角は・・・あの小憎たらしい娘の行った方角ではなくって?
「リリスちゃん、行ける!?」
「「ギャッ!?」問題ありませんわ!」
声をかけてくるマリーに、魔物を屠りながら応答して、現場へと向います。
その途中。
「シスター様!」
村人が慌てた様子で声をかけてきました。
「どうしました?」
「む、息子が!息子が瓦礫の下敷きに!」
「・・・どこですの?」
「こ、こっちです!」
慌てた様子の村人の案内にわたくしはついていくことに。
人命救助もまた、シスターの職分。
本来であれば真っ先に駆けつけるべき案件。
ですが、今回に限っては・・・この村に限ってはそうではない。
「あ、あれです!」
「たす・・・けて・・・!」
ついて行った先には、家屋の下敷きになって助けを求める少年がいました。
その少年は、わたくしを真っ直ぐに見て、助けを求めて来ています。
「そう。わかりましたわ。」
「シスター様、早ブベラ!?」
わたくしは愛用のモーニングスター、その鉄球を隣の男に叩き込みます。
「あの子があなたを見る目には確かな怯えがあります。それに、この村に子どもはいないはずですわ。」
鉄球まともに食らって気絶した男を放置して、わたくしは瓦礫の下の子どもの救助へと向かう。
「もう安心ですわ。わたくしが来ましたからね。」
「お姉ちゃ・・・後ろ!」
振り向かずとも、誰かがいるのは気配でわかります。
それが、武器を振り上げていることも。
でも、大丈夫。
「ゴッ!?」
「おいおい。おいたはいけねぇなあ。」
姉御肌の仲間、ルーが襲撃者を吹き飛ばしてくれたようです。
彼女の武器は身の丈ほどもある大剣。
それをまともにくらった相手には同情すら覚えますわね。
「よう、無事かい、リリス。」
「ええ,助かりましたわ。それより、この子を。」
「こいつは、この村のガキじゃねえな。どれ・・・」
ルーが大剣を構え、少年の方へと向ける。
「ひっ!?」
「大丈夫ですわ。」
悲鳴を上げる少年を落ち着かせると、ルーはその脇に思い切り大剣を突き立て、テコの原理で瓦礫を持ち上げる。
そしてできた隙間から、少年をわたくしが引っ張りだすことに成功。
パッと見て頭部の軽い出血以外は問題無さそうでしたので、そこの応急処置済ませる。
「これでひとまずは良いとして・・・この子はどうしましょう?」
「この状況じゃ、放っとく方が危ねえ。おい坊主、大人しくできるか?」
「う、うん。」
「よし、ならあたしらが守ってやる。ちゃんと言う事聞くんだぞ。」
「わかった。」
とりあえず、少年はなんとかなりそうです。
ならば、次の行動に移るべきときですわね。
この少年のことや、先ほどの襲撃・・・もはや村全体の敵対は決定的です。
わたくしは懐からホイッスルを取り出すと、それを一吹きします。
すると、独特の音が村全体へと鳴り響き、同じ音があちこちから、バラバラの長さで返ってきましたわ。
これは、事前に決めていた連絡方法。
音の長さで意味が変わるものですが、わたくしが鳴らした長さは「敵対の確定」を意味するもの。
そして帰ってきたのは同じ長さの笛と「制圧開始」、さらに「作戦段階の進行」を意味する笛でした。
「ルーさん、わたくしはこれより制圧しつつ、先ほどの光へと向いますわ。」
「おう、あいつが心配だもんな。」
「ち、違いますわ!異変の確認です!」
誰があんなボサボサ娘の心配なんかするものですか!
「照れんなよ。こいつは見ててやっから、さっさと行きな。」
「だから違いますわよ!」
その生ぬるい視線やめてくださいまし!
まったく・・・あの図太い娘のことです。
そこまで心配してはおりませんわ。
それこそ、何かあったら、盛大に馬鹿にして差し上げます。
それが嫌なら、無事に戻ってらっしゃいな。
そんなことを考えながら、わたくしは光の発生源へと向かうのでした。
次回の更新は5月31日(土)午前6時の予定です。




