第42話 転移+拘束=鈍器
「は、はは、やった、やったぞ!」
「・・・。」
ども、あたしリタちゃん・・・なんて、呑気にあいさつしてる場合じゃないね。
視察してた村で魔物の襲撃にあったあたしたちは、その迎撃にあたっていた。
で、そんな中、村人の一人があたしの目の前で何かを地面に叩きつけたと思ったら、知らない場所にそいつと二人きりってわけ。
「相手はシスター一人。しかもこんなちっこいの相手ならオレでもよゆブベラァッ!?」
とりあえずうるさいアホは無言の拳一発で沈めて、まずは状況把握だね。
見た目としてはどこにでもある洞窟で、なんか仄かに明るい。
光源はなんか散らばってる・・・あれは、苔かな?
そんで、次は壁かな。
「ふむ。空洞はないみたい。」
漫画とかで良く見る、壁をコンコンするアレで確かめる。
いやー、実際手応えって大事なんだよねえ。
なので・・・
「そぉい!!」
その場で地面に一撃!
手応えとか振動とかでわかる情報を探っていく。
「えっと・・・地下空間も無さそうだし、地盤も固め。それじゃ、次は・・・わっ!!」
大きな声を出して反響を頼りに周囲を探る。
蝙蝠とか潜水艦のアクティブソナーと同じやり方だね。
なんでそんなことができるのかって?
院長に叩き込まれたからだYO!
なのでウチのメンバーは基本みんな使える。
本当、良く考えなくてもヤバい超人集団だよね、修道院。
ともかく、ソナーで近場を探った感じ、アリの巣みたいにぐねって枝分かれしてるみたいね。
さっきの道具は特殊な空間を作って閉じ込めるタイプじゃなくて、実際にある空間に跳ばすタイプのようだ。
「いや、そう決めつけるのもまだ早いか。」
自然物に似せてるだけの可能性もあるしね。
「ぐぅ・・・オレは、いったいグボアァッ!?」
気絶から目覚めた男をまた気絶させる。
こいつ、やけに覚醒まで早いな・・・
うーん・・・
「対策しとこ。」
あたしは柏手のようにして両手を合わせる。
そして離すと、そこから光のヒモが伸びて出てくる。
これは、あたしの魔法で作ったヒモだ。
色は灰色。
ちなみに、この世界の魔法には属性ごとに色がある。
例えば、火なら赤で、水なら青、といった具合に。
あたしの灰色は・・・実はどの属性にも当てはまらなかったりする。
前のリタは土属性で茶色だったらしいから、記憶がなくなったり、若返ったりした影響っぽいけど・・・
でも、実際はそうじゃなくて、あたしという異世界の魂が入ってるからじゃないかとあたしは睨んでる。
まあ、そんな理由で灰色のヒモを作り出したあたしは、倒れている村人の男をふんじばって、ついでに騒がれないように口元も別のヒモで塞いだ。
「これでヨシ。・・・ん?」
足音が聞こえる。
それも複数。
あたしと同じく罠にハマった・・・にしては足取りに迷いがない。
ってことは、
「「グオオオオ!」」
やっぱり、現地の魔物だよね。
赤茶けた硬質な肌に、伸びて口からはみ出した下顎の牙・・・オーガだね。
棍棒を持ったそれが二体、我が物顔でこちらにやってきていた。
「とりあえず返り討ちに・・・あ、そうだ!」
良いこと思いついた!
あたしの手には魔力で作った灰色のヒモ。
そしてその先には縛られた村人の男。
ならば!
「そぉーい!!」
足を思い切り踏ん張ってー、腰を入れてー、村人文鎮(雑に命名)をー!
「「ゴアアアアアアア!?」」
(特別意訳:なんだあああああ!?)
相手を薙ぎ払うようにシュウウウト!!
「「ゴガガァッ!?」」
超☆エキサイティン!!
「うん、いいね。」
これは、思わぬ武器を手に入れてしまったね。
あたしは手元のそれの威力に少し戦慄しつつも、洞窟を進むことにしたのだった。
次回は5月17日(土)午前6時に更新予定です。




