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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第40話 会議+丸薬=減気

おはよーさん、あたしはリタちゃん。


はるばるやって来た森の結界の中に入ったあたしたち。


そこには簡易拠点として複数のテントが設営され、あたしたちはその中でも一番大きなテントに通されていた。


「お!来たねー、問題児ども!」


青い髪の見るからに姉御肌のシスター“ルー”が開口一番にそう声をかけてきた。


「わたくしをそこに含めないでくださる?」


「いや、むしろお前以外に誰がいんのよ?」


「なんですってぇ!?」


「なんだよ!?」


「いや、お前らどっちもだから喧嘩やめい。上見ろ、上―。」


上?・・・ひぃ!?


「二・人・と・も~?」


「「ごめんなさい!!」」


青筋!青筋立ってる!!


「もう・・・。」


「はっはっは。大変だねマリー。」


「ん。子守りは大変。」


「お、サリアも元気か?」


「いぇーい。」


眠そうな目のままピースしとる。


気が抜ける・・・。


そんなこんなで、あたしたちは用意されていた席に着いた。


中にいたのはルーだけだったから、あたし、サリア、リリス、マリーを追加した五人での会議が始まった。


今回の作戦の概要はこうだ。


まず、前提として国境近くにある村で麻薬栽培の疑いがある場所が確認された。


産業は主に畜産や農業。


交通の便も決して良いわけではなく、行商人もたまに訪れる程度という、ありがちな僻地の村だったが、最近、どうにも様子が変わった。


以前は見かけなかった集団が村に逗留しており、さらに頻繁に近所の森に入って行くという。


村人たちも以前は慎ましく穏やかに暮らしていたようだが、最近はどことなくその表情が優れない。


まるでなにかに怯えているような、でもそれを隠そうとするような暗い雰囲気が、村全体に漂っているそうだ。


以上の説明を聞いてあたしが思ったことはただ一つ。


「罠じゃないの、これ?」


ということだった。


「まあ、そう思うよなぁ。」


やれやれと肩をすくめながらルーもため息をついてる。


「素直に同意するのは癪ですが、わたくしも同じ意見ですわ。」


リリスも嫌そうだけど同意らしい。


まあ、喧嘩はしてるけど、これはお仕事だからね。


こういうときにフラットに物事を考えられるのはこいつの良いところだ。


・・・本人には絶対に言わないけど。


「サリア、ちゃんと裏はとれていますの?」


「ん。一応。」


「あら、断言はしないのね?」


「というか、罠が確定してる。」


「「え゛。」」


「村の内部だけじゃなく、周囲にも監視が常駐している上に・・・」


サリアは話しながら懐から丸い球を取り出して机に置いた。


ポケットに入るくらいの大きさで、磨きが途中の泥団子のような質感を持った黄色い球だ。


あたしは、この球に見覚えがある。


っていうか、全員が見覚えがあるはずだ。


サリアが球を出した瞬間に、みんな「マジかよ!?」って顔してたし。


だって、これって・・・


「この、魔物誘因剤を持ってる。」


「だよねぇ・・・。」


「うっわ、マジかよ・・・。」


「最悪ですわ・・・。」


「嫌ねえ・・・。」


全員がげんなりとした返事を返す。


この魔物誘因剤はまぁ、文字の通りに魔物を引き寄せるお薬だ。


もちろん、非合法。


そんで、あたしたちはこれを使われた現場に遭遇したことがある。


「もう二年は経つっけ?魔物大行進事件。」


「むしろ、それしか経ってないんですわね・・・わたくしは昨日のように思い出せますわ・・・。」


「お姉ちゃんもそうよー。あれは、つらかった・・・。」


「いつまで経っても出てくる魔物、増える死体で足場は崩れ、挙句の果てに共食いで強くなる魔物たち・・・あの地獄が、また来るのぉ?」


今から気分が重くなる。


「あれは、密輸犯の持ってた分が全部零れたから。今回はそこまで量はない。」


たしかに、あのときは崩れた荷馬車からミカン農家かってくらいの量がボロボロ落っこちてたね。


それよりはましだったとしても、問題は他にもある。


「サリアはそう言うけどさあ、あれってネコのマタタビみたいに魔物を酔わせるじゃん。みんな狂乱して襲ってくるから、個体全部が普通より強いんだよねえ。」


そこが本当に厄介で、強い衝撃を与えても目を覚まさなかったりするから、殲滅以外の選択肢がとれないんだよねぇ。


「でも、凌げないわけじゃない。」


「うっわ、だからか。」


「ルー、何が“だから”なの?」


「ここに来る前に院長が言ってたんだよ。『大変だろうけど頑張んな』って。イイ笑顔で。」


「あんのクソババアー!!」


思わず魂の叫びを上げちゃったけど、あたしは悪くないと思うの。


「今回の作戦、相手の策に乗った上で、正面から突き破る。」


「それにしては、人数が少なくありませんこと?」


「私からも院長から伝言。『そんくらいできんだろ、気張れ。』」


「あんのクソババアー!!」(二回目)


「落ち着け、リタ。怒ってもどうしようもない。」


「そうよー、リタちゃん。気楽にいきましょう?」


こうして、あたしたちは大量の魔物と戦うことが、この段階でもう確定したのだった。


あのババア、帰ったら覚えておけよ・・・!!








次回の更新は5月3日(土)午前6時の予定です。


追記:誤字を修正しました。

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