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問題児in追放修道院  作者: バタ足攣り太郎


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第32話 聴取+少女=追加依頼

ちわーっす、あたしリタちゃん。


国軍に入り込んでいた間者を片付けたあたしは、ミアと一緒にリカルドから事情聴取を受けていた。


「それで、今回の件だが・・・お前さんらは街で攫われて、買い手の貴族に引き渡されるまであそこで監禁されていたって訳だな?」


「はい。」


「お詳しいですね。」


素直に答えたのに、リカルドは変な顔をする。


「お前、なに、その喋り方?」


「なにか問題でも?」


「キモい。」


「おい。」


あんまりの言いぐさに思わず素で返事してしまう。


あたしの素を初めて見たミアはびっくりしてるけど・・・まあ、もう隠す必要ないよね。


「ごめんね、ミア。あたし、こっちが素なんだよね。」


「唯一柔らかかった要素が無くなった・・・。」


「唯一!?あたし、ちゃんと女の子!柔らかい!!」


「鉄格子を曲げるのに、それはない・・・」


「ひどくない!?」


ショックを受けながらかなり辛辣なんだけど!?


やっぱりこの子、かなり肝が据わってるよね!?


そんなあたしたちを見て、リカルドの野郎は顔を後ろにめいっぱい逸らして震えている。


野郎ぉ・・・


「なんだ、リカルド?何かあったか?」


「い、いや、なに・・・も・・ぶふっ!」


「笑うなァ!!」


あたしだって、花の乙女なんじゃい!!


もう隠す気もないのか、こっちを向いたリカルドの目じりには涙まで溜まっていた。


「あー、笑った笑った。・・・さて、話を進めようか。」


「話が止まったの、お前のせいだけどな。」


「悪かったって。それで、聞きたいことなんだがな・・・」


リカルドの雰囲気が変わる。


もちろん、真面目な方に。


「攫われたときの状況が聞きたい。」


「あたしは宿でお茶を飲んだら寝ちゃって、気づいたら馬車の上だった。」


本当は睡眠薬とか耐性あるから効かないけど、寝てたことにした。


切り札はとっておくものだからね。


「ミアは?」


「あたしも同じです。飲んでる途中で気がついたんですけど、遅かったみたいで眠ってました。それに、あたしの場合は起きたのは牢に入れられてからです。」


そこまでぐっすりだと、結構強い薬使ってたみたいだね。


あたしには効かないけどね!!(重要なので2回目)


「その宿ってのは西門の傍にあるとこで合ってるか?」


「合ってます。」


「そうだね。」


あたしたちの答えを聞いたリカルドの眉間にしわができる。


「そこなんだが、部下の報告によると、今日は閉まっているらしくてな。」


「逃げられた?」


「だろうな。これ、どういうことだと思う?」


リカルドは大きくため息を吐きながらそう聞いてくる。


「情報、駄々っ漏れだねぇ。」


「だよなぁ・・・。」


さっきよりも大きなため息だ。


まあ、あんな間者に入り込まれてるようじゃ、そりゃ情報も出ていくよね。


「ねえ、リカルド。あんたがいながら、なんでこんなに国軍弛んでるの?」


このリカルド、こんな気安い感じだけど、軍の規律とかはしっかりと引き締めるタイプだったはず。


「ああー、それはなあ、最近、俺が現場から離れていたからだな。」


「え、なんで?」


「貴族関連のごたごた。」


「うげえ。」


思わず乙女にあるまじき顔をしてしまうが、それも仕方ないと思う。


あたしらの修道院みたいな特殊な権限(院長(ババア)由来)がある組織なら、割と貴族相手にも融通利いたりするんだけど、国軍ともなればそうはいかない。


それでも、修道院ですら貴族相手は面倒が多いのだから、国軍なんて想像したくもないのだ。


「まあ、こうやって戻って来たからな。いい機会だと思って、あとで締め上げるとして。ミアさん、あんたに聞きたいんだが、」


「は、はい。」


ミアに話を振るリカルドだけど、いったい何を聞くつもりなんだろう?


ミアって確かに戦い慣れしてるけど、商人の子って話だよね?


あれ?また厄介ごとの予感・・・


「あんた、パッセ商会のとこのお嬢さんで良いんだよな?」


「ぱ、パッセ商会!?そこって老舗のかなり大きいとこじゃん!」


いろんな品を取り扱っているのはもちろん、確か村への行商なんかもやってたはず。


「もしかして、行商の経験があったから、戦いに慣れてたの?」


「ええっと・・・そうなりますね。」


誤魔化そうとしたのか一瞬だけ微妙な表情を浮かべたミア。


けれど、すぐに諦めたらしく気まずそうに返事をした。


「今回の摘発、パッセ商会からの支援もあってなぁ。そんで商会長からの伝言があってな。『先に王都に行っているから、追いかけて来なさい。』だそうだ。」


「はい!?」


誘拐された直後に追いかけて来いって・・・すごいスパルタだ。


さすが老舗の大商会。


こんなこともきっと日常茶飯事・・・


「あんのクソ親父!!」


ではないっぽい。


ミアさん、額に青筋浮かべてブチギレてらっしゃる。


これは同情するほかないなあ。


「まあ、さすがにそのまま放り出すのも酷だからな。こっちから何人かつけるつもりだったんだが・・・」


そこで言葉を切ってこっちを見るリカルド。


ん?あたし?


「丁度いいとこにぴったりな人材が・・・」


「いや、あたしも暇じゃないんだけど?」


夫人からの任務中だし、道草くっちゃったから、急がないと。


「ん?そうなのか?ちょっと王都にこの子送ってもらうだけでいいんだが」


「ぜひ!ぜひお願いしたいです。」


うお!?すっごい食いついて来た!?なんで!?


「ルタさんなら強さもこの目で見ましたし、やる事成すこと荒々しいけど・・・」


「うおい。」


「一応人柄としては信頼できます!」


「ぐ・・・!そこまで言われると・・・」


そんな期待の眼差しで見られたら断れないって。


「一応、あたしも用事があるから急ぐ旅になるよ?」


「構いません。」


「街や村による余裕もないから、野宿になるけど・・・」


「慣れてます!」


最期の抵抗を試みてはいるけど、ダメなのはわかりきってるなあ。


「・・・わかった。ただ、本当に急ぐから、へばったら背負って連れて行くからね。」


「はい!お願いします!!」


「よし、話はまとまったな。聴取はこれで終わりだ、ご苦労さん。どれ、事情を書いてやるから、ちょっと待ってろ。」


そう言ってリカルドは天幕を出ていく。


こうして、あたしの任務に宛先別の追加の手紙と、同行者の護衛が追加されたのだった。


うん、ミアは横でほっとしてるけど、マジで強行軍だからね。


君には走るあたしの背中で眠る夜が一晩は待っている。




次回の更新は3月8日(土)午前6時の予定です。

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