第26話 再開+思考=貞淑
こちらではお久しぶりです。
また、よろしくお願いいたします。
連載再開です!!
「ガリットのおっちゃんを騙すような相手だったら、ギャルム侯爵も騙せるんじゃないかな?」
こんにちは、あたしリタちゃん。
なんだかすっごくお久しぶりな気がするのは、頭を使ってるからだよね?
でも一応、今までを少し振り返っておこうかな。
追放修道院のシスターをしていたあたし“リタ”は馴染みの商人ガリットのおっちゃんの運ぶ荷物から麻薬の原料を見つけた。
そこで話を院長の“マリア”ババアに持って行って、はいお疲れ様でしたって思ってたら、「薬の元を探って来な!」って問答無用で叩き出されちゃったんだよねえ。
おかげで修道院のあった“レイクディーネ”から近隣の“ディライト”の街まで行って、食堂の看板娘までやる羽目になったんだ。
その時は、勤めてた食堂の店長(街の有力者)がこれまた薬関係の騒動に巻き込まれてさ・・・。
それで街一番の冒険者クラン『誓いの剣』ってとこに殴り込みかけたら、副クランリーダーとその仲間が好き勝手やってて、そこも内部からボロッボロで。
そいつ逃がしたと思ったら、口封じの偽装で、おまけに副クランリーダーは北東にある隣領の“オルレ伯爵領”の元使用人で?
情報量がこの時点でも多いってのに、その後に手がかりを求めてレイクディーネの東にある、この“リーフィ侯爵領”に来てみれば・・・
更に北の“ギャルム侯爵領”が麻薬の出元の可能性が高いって話が出て来たんだ。
でもギャルム侯爵領って領主の評判も良いし、そんなことする?って。
そしたら、「でもあれは嘘をついている目よ(キリッ)」なんてリーフィ侯爵夫人が言い出してみんなが頭を抱えだしたんだよね。
ちなみにみんなってのはあたし、リーフィ侯爵夫人、そのメイドの“ミミ”、ガリットのおっちゃんの4人ね。
それで、ふと閃いたあたしがさっきの「ギャルム侯爵も騙されてるんじゃね?」発言をしたら、みんな目をまん丸にした後に大きく頷いて納得したのがここまでの流れ。
以上、長めの回想終了!!
「ギャルム侯爵は夫人と同格の上位貴族。そう簡単に騙されるとは思えませんが、それが可能だとすれば・・・」
「王族、かしらね。」
夫人、扇をパチンっとして言い切った。
「なんとまあ、話が大きくなって参りましたね。」
「あら、さっきのミミの軽口が的を射ていただけじゃないの。」
「奥様。私はそのような事、一言も口にはしておりませんよ。」
「あれは言ってたのと一緒よ。」
「それは解釈によりますね。」
またも主従がじゃれ合ってる。
ホント仲良いなあ、この2人。
いや、動揺してるからこそ、軽口を叩いて落ち着きを取り戻してるのかな?
すごいな。
「・・・さて、王族という線が浮かび上がって来たとなると・・・ガリット。」
「ええ、そうでしょうな。今現在の王族の方々で、他には考えられますまい。」
「厄介ですわね・・・。」
ん?なんか2人だけでわかりあってるけど、こっちは何にもわかんないんだけど?
あ、ミミも頷いてる。
「あたしだけ仲間はずれ!?」
「あら?」
「そういえば、リタちゃんはこういったことに疎いんだったね。」
「でしたら、わたくしめが補足いたしましょう。」
そう言って、ミミが教えてくれた内容は、こうだ。
今の王様はかつての第2王子が勤めているが、それは第1王子がかつてのあたし“リタ・ルディガン”に誑かされて王太子の位をはく奪された結果なのは有名な話。
しかし、その王位継承の際に問題となったのは前回の王の弟、つまりは“前の王弟”の存在だ。
この前王弟、実は以前から第1王子と仲が良く、第1王子がそのまま王になれば、影響力の増大が確実視されていたらしい。
でも、第1王子はあんなことになって、しかも今の王である第2王子にはあまり好かれていないらしい。
あー。
それは焦ってやらかしそうではあるよねえ。
「でも、それで麻薬って・・・バレたら一貫の終わりなのに、そんなことするかなぁ?」
「うふふ、あの前王弟は権力欲が強いから。それにね、リタちゃん。」
夫人はそこで言葉を切ると、まっすぐにあたしの目を見て、
「追い詰められた人間は、何をしでかすかわからないものよ。」
力強くそう言った。
確かにそうだけど、これで嫌な予感は確実になったよ。
「それで、その前王弟の手先がオルム伯爵で、ギャルム侯爵は利用されてるって図が出来上がるわけだね。」
「ええ、その通りです。そうなってきますと、第一優先はギャルム侯爵がどのようにして謀られているのかを探ること。・・・奥様。」
「ええ、ミミ。許可します。」
「はっ。それではお二方。私はこれで。」
そう言ってミミは部屋から退出していった。
きっと、これから情報を探るんだろう。
「ガリットのおっちゃん。あたしたちはどうする?」
「そうだねえ・・・」
「ああ、それなのだけれどね、ガリット。」
「はい?なんでしょうか、夫人?」
「リタちゃん、しばらく貸して頂戴な。」
「それは私は構いませんが、本人の意向は・・・」
「あなたの許可があれば問題はないのよ。」
「おい。」
あたしの扱い、雑すぎるだろ。
まあ、だいたいのことは断らないけどさあ。
「ガリットには商人としての視点から、情報を集めて欲しいの。ひとまず、1週間を目安にお願い。」
「かしこまりました。」
「それで、リタちゃん。あなたには今日からしばらく、ウチで使用人をやってもらいます。」
「・・・なんで?」
理由がわからんぞ。
「ここからの動きで必要になるからよ。あなた、それでお淑やかさを身に着けなさい。」
「いや、必要ないです。」
これでも地元では猫被ってるんで。
いや、ホントに。
だから、そんな疑わしい目でこっちを見るな!!
「この娘の矯正は追々ね。ひとまず、動きましょうか。」
夫人がそう言って、この場はお開きになるのだった。
いや、だから、お淑やかになんてすぐにできるってば!!
次回の更新は1月25日(土)午前6時の予定です。
1年以上お待たせして申し訳ありませんでした。
また、本作をよろしくお願いいたします!!
追記:王弟だと意味が違ったため、前王弟に描写を修正しました。




