第25話 謎+敵=見落とし
「まず最初に考えるべきは、ギャルム侯爵が麻薬を扱ってどんな得をするか、ということね。」
「どんな得・・・ですか。私も商人として様々な場所に行くので、ギャルム侯爵領の評判も耳にします。善政を敷いて栄えている領地であり、領民から領主への信頼も厚い・・・というのがもっぱらの評判ですね。正直、そんなギャルム侯爵領が麻薬に手を出したとしても、リスクしかないでしょう。」
「それは私も同意見です。ミミ、あなたはどう考えて?」
「そうですね・・・例えば、脅されている、なんていうのはどうでしょう?」
「それはありえないわ。ギャルム侯爵はウチと同格の上位貴族ですもの。それこそ、王族の関与まで疑うことになってしまうわ。」
「あくまで、例えでございます。そのような恐ろしいことを一メイドである私に口にできるはずもございません。」
「今のは言っていたのと同じよ?」
「いえいえ、まさか。おほほほ。」
大人の悪だくみは、きわめて和やかに主従のじゃれ合いから始まった。
ここにガリットのおっちゃんも混じっていろいろな推測が為されていく。
ここからの行動を決めるのに必要な作業なんだろうけど、あたしには何だか違和感があった。
もちろん、あたしみたいな木っ端修道女には、ギャルム侯爵への面識なんてない。
でも、評判を聞いている限り麻薬に手を染めるような人物だとも思えないし、アンネマリーの言う通りに何かを隠している可能性もあるとは思う。
でもさ。
「隠してるのって、本当に麻薬か?」
「あら、リタちゃん。どういうことかしら?」
「いやさ、ギャルム侯爵が関与しているのが確定の前提でさっきから話してるよね?」
「ええ、そうね。」
「でも、おっちゃんも含めての話し合いでも、ギャルム侯爵の得になることがわからないんだよね?」
「うん、そうだね。私も評判を聞く限りはそういったことをする人物ではないと思うよ。ただ、私の場合は長年の知り合いに騙されてたからねえ・・・あまり自分の勘を信じきれなくなってるんだよ。」
「いや、あれとは場合が異なるからそこまで気にしなくてもいいんじゃない?」
「そう言ってもらえると助かるね。」
「でさ、問題のギャルム侯爵・・・嘘をついてるってのは確定だとしても別のことで、おっちゃんと同じで利用されてるって説はない?」
「でも、相手はこのリーフィ侯爵領と同格のギャルム侯爵領の主よ?」
「うん、それはそうなんだけどさ・・・」
でも、それはギャルム侯爵が麻薬を隠している決定打にはならないんだ。
「このガリットのおっちゃんだって、かなりの大きな商人でしょ?それを騙すような相手なら、侯爵も騙せるんじゃない?」
そもそも、侯爵夫人と個室で商談できる商人が騙されるような相手だ。
おっちゃんの人の好さから見落としがちだが、それを忘れてはいけない。
あたしのそんな主張に、みんなは目を丸くした後で大きく肯いて納得していたのだった。
すみません、少しお知らせを。
本作『問題児in追放修道院』ですが、今回のお話をもって一時休載とさせてください。
理由としましては、作者の多忙によるものです。
本当に申し訳ありません。
ですので、次回更新は未定となります。
再開の目処も未定でして、そちらが確定しましたら、作者が並行して連載している『変人たちが行く異世界紀行』の方か、もしくは活動報告にてお知らせしたいと思います。
追記
お待たせいたしました。
2025年1月18日午前6時より、連載再開です!!




