第20話 牢屋+記憶喪失=提案
2024/6/11追記:リタの名字がモルディオになっていたので修正しました。ウチのリタちゃんは天才学者じゃない・・・。
その少女・・・幼くなったリタ・ルディガンは違和感まみれだった。
外見は儚げなのに牢屋で逆立ちをするほどの快活さ、そして纏う雰囲気も明るく、活発な性格が窺える表情。
まるで、深窓の令嬢の体に腕白なガキ大将が入っているかのような、そんなちぐはぐな印象をメルティーナたちは受けた。
「そんで、ミミさんや。そんなに引き連れてどうしたの?お友達?こんなところに?」
「いえ、流石にここに友人を連れて遊びに来るのは・・・。」
「だよねー。」
「ちょっと面白そうですね。」
「マジで!?」
この2人、会うのは2度目のはずだが、仲が良さそうである。
いや、単純に2人の性格がうまくかみ合ってしまっただけなのだろう。
そんな2人を観察していたメルティーナは、こほんと1つ咳払いをすると、話を進め始めた。
「ごきげんよう。リタさん・・・で、よろしいのですわよね?」
「おう。あたしはリタっていうらしいぞ。」
「らしい、とは?」
「牢番のおっちゃんに聞いたからな。『あんたがさっきから言ってる“リタ・ルディガン”って何?』って聞いたら『お前の名前だ』って教えてくれたんだよねー。」
軽い調子でリタはそう言うが、メルティーナとアンネマリーの表情は険しくなる。
リタの発言は、遠回しに「自分は何も覚えていない」と言っていることになるのだから。
あれだけの・・・国家を転覆させかねない大事件を引き起こして、中枢を好き放題かき回しておいて、自分は何も覚えていないと。
貴族として体面を大事にする教育を受けた彼女らでさえ、眉を顰めてしまうのも無理はない。
しかし、そんな風に怒りを抱く前に、懸案しなければならないことがある。
それは目の前のリタの現状・・・本来の見た目から幼くなってしまっているという、物理的な現状についてだ。
明らかな異常事態であるし、それを鑑みれば本人の記憶に異常をきたしていてもおかしくはない。
メルティーナたちは一旦、リタの申告を真実として受け止めることにした。
「そう・・・あなたは自分のことがわからないのですわね。」
「そうなんだよなあ。何もわかんねえの。いや、ごめん。1個だけわかってることがあるわ。」
「それは、何ですの?」
「あたしが、何かやらかした・・・ってこと。じゃなきゃ、こんな牢屋に入れられないでしょ。」
この少女、どうやら洞察力はあるようで、それに、と言葉を続ける。
「あんたら、お偉いさんだろ?そんなのが直接会いに来るんだから、よっぽどのことをやったんだろうな。」
リタは記憶がないはずなのに、自身の立場をほとんど正しく理解しているようだ。
その理解力の高さは驚きだが、話が早いのはメルティーナたちとしても都合がいい。
「そうですわね・・・あな「だからさ。」」
リタはメルティーナに無理やり言葉を被せた。
そして、自身の状況を打破するために、
「指、詰めるからそれで勘弁してくんない??」
違う世界の極道のようなことを目の前にいる貴族の少女たちに提案しだすのだった。
次回は7月22日(土)午前6時に更新予定です。




