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第13話 怒り+壁=妨害

こんにちは、あたしリタちゃん。


ルタを名乗って潜入した街で、何でか一番大きいクランハウスに殴り込むことになったわけなんだけど、そんなあたしたちの目の前では・・・


「ええ!?店長何をやってるんだい!?どうしてウチをぶち壊してるのさ!?」


金髪ロン毛の強そうな男が狼狽えていた。


「さっきも言ったけど、ちょっと元気がすぎるみたいだからねえ。」


「いや、確かに元気なのはボクの取柄だけども、それがいったい何の・・・」


「うふふ。本当に、元気が有り余ってるみたいねえ。」


「み、ミユキさんまで!?え、こっちも怒ってる!?な、何で!?」


金髪ロン毛はちょっとしたパニックになってる。


店長とミユキ姉の2人も怒り心頭だし、仕方ない。


ここは、あたしが一肌脱ぐか。


「こんにちは、クランリーダーさん。」


「え!?あ、うん。こんにちは?」


「あたしは新人ウェイトレスのルタって言います。」


「これはどうもご丁寧に。ボクは『誓いの剣』でクランリーダーをやっているカインといいます。」


「はい、よろしくお願いします。・・・で、カインさんは何でこの2人がこんなことになってるのか、わかってます?」


「いや、それがまったく。何が何やら・・・」


「うん、そうだろうね。」


おっと、ここで店長が割って入ってきたぞ。


「でなきゃ、そもそも僕たちがこうやって、やってくることもなかった訳だし。」


「うふふ、そうですねえ。」


うわ、まだ核心に触れないってことは・・・自分で気づけ、とか考えてそうだなぁ。


でも、このカインってクランリーダーって見た感じ・・・。


「??いったい、どういうことだい!?」


察しが悪そうなんだよねえ。


このままじゃ埒が明かないし、あたしが話を進めちゃおっかな。


「カインさん、『誓いの剣』ってとても大きいクランみたいですけど、しっかりと制御できてます?」


「む?何を言う!クランの運営はルータスの助けも借りてしっかりとだね」


「ルータス?・・・ねえ、カイン。ブレイたちはどうしたんだい?」


「そうですわねえ。カイン君よりも先に姿を見せると思っていたのですけれど・・・。」


後で店長たちに聞いたが、ブレイたちっていうのはカインの古株の仲間たち・・・つまりはクラン立ち上げから一緒の幹部連中のことらしい。


しっかり者が揃っていて、クラン運営に関してはポンコツ気味のカインを良くサポートしていたという。


「ああ、皆は今、療養中でね・・・。」


「療養中?何があったんだい?」


「少し前にクラン内で食中毒が発生してね。それでやられて「カインさん!!!」」


カインの言葉が大声で遮られる。


遮ったのは・・・さっきぶっ飛ばした偉そうな男と一緒にいたヤツだ。


これって・・・。


「なんだい、急に。」


「そんな、内部情報を部外者にペラペラと喋られたら困りますって!!」


やっぱり、何か都合が悪いみたいだね。


表情からも焦ってるのがわかる。


流石にそれは通用しな


「む?確かにそうだね。」


通用しちゃった!?


え!?それで頷いちゃうの!?


リタちゃんショック!!


「はぁ・・・。」


「カイン君・・・。」


店長とミユキ姉もため息をついて頭抱えてるよ。


これ、この人は今回の件を知らないんじゃない??


「・・・カイン。君は相変わらずバカだな。」


「ええ、まったくです。」


「な、何だね急に!!怒っていたと思ったら、今度はどうしてそんな憐れむような目を・・・君たち、情緒不安定気味なのかい?」


「「「誰のせいだ(ですか)!!」」」


思わず3人してツッコんでしまった。


こいつ、さては天然バカだな?


ってことはやることは決まったね。


とりあえず、カインを遮ったこいつは敵確定だ。


一気に踏み込んでから回転で勢いを加えて・・・


「ひっ!?」


回し蹴りを浴びせる!!


「やらせないっ!!」


あと少しのところで、カインがあたしの蹴りを盾で捌いた。


いや、何してんだお前!?


「か、カインさん!!」


「ここはボクが引き受ける!君は下がるんだ!!」


「あ、ありがとうございます!!」


仲間はやらせない!!みたいな感じだけどさあ・・・カインさん。


あなたにお礼を言ったヤツ、見下した目を隠せてないんだよねえ。


ま、これでこの人が利用されてるのは確定ってわけだ。


店長とミユキ姉も見逃さなかったらしく、せっかく引っ込んだ怒りのオーラがメラメラと・・・。


「カイン。どうやら僕が来た目的にはそいつが噛んでるみたいだ。だから、退け。」


「いくら世話になった店「料理長」・・・料理長といえど、仲間をやらせるわけにはいかない!!まずはボクが相手になる!!」


「うふふ。カイン君は昔から頑固だものねえ。言っても聞かないでしょうね。」


「なら、押し通るよ!!」


「来い!!」


方や、食堂の店長兼料理長とウェイトレス。


方や、街一番のクランのクランリーダー。


その両者が、今、激突する!!


そして!!!!!!


「ぐわあああああ!?」


「「「「「「カインさああああああん!!??」」」」」」


あっさりと、カインが負けたのだった。


いや、「昔に面倒を見た」とか言ってたし、そりゃこの2人は強い訳で。


その2人が本気でキレてるのに、挑んだらそうなるでしょ。


でも、その行動は無駄じゃなかったようだ。


店長たちがカインの相手をしている間に逃げたようで、さっきの男はいなくなっていた。


しかも、あたしがさっき倒した副リーダーや他数人の姿も消えている。


どうやら、回収していったようだ。


逃げて行ったのは、ぱっと見素行の悪い連中だったみたいだし、このクランもいろいろ巻き込まれていそうだ。


とりあえず、まずはカインに話を聞こうと、あたしは店長たちに近寄って行ったのだった。




次回は7月3日(土)午前6時に更新予定です。

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