『二章』① 銀の覚悟
ーー崩壊が始まっていた。
鉛色の空が重くのしかかり、いくつものクレーターが地面を抉っている。周囲には木々の緑があったはずなのに、今は見る影もなく倒木し、空間は広がり煙が漂う。
ーーここで屈したら、約束は叶えられない。
「……生きることは、恥ずかしくない」
銀の髪に赤いリボン、蒼の瞳の少女。
刀身の半ばから折れた日本刀を持ち、全身傷だらけで額から血を流して片目を閉ざすサクラ・アカネは、今にも倒れそうであった。
一房だけ黒い髪の毛が、風に揺れる。
最早痛すぎて体のどこにどう異常があるのか区別がつかない状態で、骨が確実に折れていることしか分からない。
それでも譲れないものがあるから、その青い瞳には熱い闘志が宿っている。
「生きることに、誰かの許可なんて必要ないんだ。そんな書類審査の判子みたいなモノに囚われて、自分の人生を、命を握られるなんて絶対に間違ってるよ」
固い意志がある、何者にも否定させない力強い声がだった。
そして彼女の耳に届くのは、破壊の音。
泥犁島ー九泉牢獄が崩落している、その轟音。
ーー譲れないものがあると言った。
だからこれだけは言っておきたかった。
どうしても許せなかったから。
このまま黙って逃げるくらいなら、またあの時みたいに友を失うくらいなら、死んだ方がマシだ。
だから。
「あたしは第二王女。「レイシア・エル・アルテミス」よ。民を見捨てるようなバカな女じゃない」
刀を構えて言ったのだ。
堂々と。
この世界に戦いを挑むように。
「頭が高い、分を弁えろ!痴れ者が!!」
第二章ってことにします!
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